第30話 冒険者連合組合とアバレウサギ
マクロスFが大好きです。
最終決戦のジェフリー・ワイルダー艦長が
「己が翼に誇りを持つ者よ!我と共に進め!」
…この辺りから毎回泣きます。
「領主様!こんにちは!でっかい剣かっこいいね!」
「こんにちは。これは俺の大事な剣なんだ。褒めてもらえて終告げる紅薔薇も喜んでるよ。ありがとう」
「おお!領主殿!代理のファテナ殿……良いですな!仕事はやや雑だが美人であのくらいの年齢が色々と良い!何よりおっぱいが大きい!おっぱいが大きい!!!」
「に、2度も大きな声で言わないでくれ……当たり障りの無い程度に本人に伝えておこう…」
「領主様!あの代理人の方、少し業務態度が悪くなくて?てっきり私は領主様が来てくれると思っていたのに……これ、住所です。昼間は私しか居ませんので…色々と困っているんです…」
「その、ご婦人……ボタンをあと2つ程掛けた方が良いと思う…風邪をひいてしまう」
領主になってからというもの、街の人々にとにかく話しかけられる。
仕事はファテナに引き受けてもらっていて、自分はほぼ名前だけになっている状態である。
なんだか申し訳ない。とても申し訳ない。
顔まで覆われた兜でバレないかと思ったが、明らかに頭1つ飛び抜けた身長と、背負った終告げる紅薔薇で、一発で人々にはバレた。
人々に挨拶を返し、軽い会話を交わしながら、センヤは『冒険者連合組合』へと、ようやく辿り着いた。
ドアを開け、中へと入る。
「募集、引受、どっち……おぉ、領主殿!何か御用ですか?」
「領主?……相変わらず身体も剣もデカいな…」
「コート下に見える鎧は……見ない鎧だな。やっぱり領主クラスだと持ち物が違うのか?」
窓口の男性がセンヤに話し掛けると、中に併設された酒場にたむろしていた冒険者や傭兵が、センヤの方へと一斉に視線を向けた。
「すまない、俺も冒険者として登録をしたいんだ。必要になってな」
「て、てっきり持っているものかと……では、説明をさせて頂きます」
「聖騎士軍への依頼は『割高』『手続きが面倒』となっていますが、我々は『割安』『手軽に』をモットーとしています。依頼を頼む側、受ける側の双方が簡単に手続きを行えます。まぁ…その分どちらか、または両方が黒に近いグレーだったりするんですが……」
男は視線を逸らしながら最後の方を早口でボソボソと言ったが、吸血鬼のセンヤには丸聞こえだった。
そりゃ魔人のギンベッカも仕入れに使う筈だ。
「と、まぁここはちょっとしたお使いから、商人の警護、魔物の討伐など様々です。依頼量が多いので、極稀に普段立入る事の出来ない、指定保護区へ入れる依頼も来たりします。まぁ依頼を引き受ける為の必要なランクも高くなりますが…」
「そうですそうです、ランクの説明がまだでしたね。依頼を出すのは依頼人、しかし引き受けるのは冒険者や傭兵たち。その冒険者や傭兵達が居なくなれば、当然私も飯が食えなくなります。即ち廃業です。なので彼らの命を守る為にも、ランク制度が採用されているのです」
「何が飯だ!オヤジ座ってるだけじゃねーか!働いてんのは俺らだぞ!」
「まさか剣も持った事無いとかねーよなァ!ペンと紙じゃ魔物にゃ勝てねぇぜ!即死だ即死!」
「ワハハハハハハハハ!!!!!」
酒盛りをしている傭兵たちからヤジが飛んでくる。
窓口の男性はぐぬぬという表情を浮かべるが、実際その通りなのか、言い返す事は無かった。
「アイツら今度2ランク上の任務引き受けさせたる……」
窓口の男性は再びボソッと独り言を言うが、これもセンヤには丸聞こえであった。
今後の彼らの無事を願うしかない。
「ランクは6つ。海の深さに例えられます。表層級、中深級、漸深級。ここまでは並の冒険者。ま、先程ヤジを飛ばして来た者達ですな」
チラッとヤジを飛ばした傭兵を見つつ、後半は小声になる男性。
言わなきゃいいのに…
「そして後半の3つ。ここに所属する方達は、相応の力を持つ方々です。深海級、超深海級、核級。最後の核級に所属している方は全大陸において、5名しか存在しません」
「1人は、リズアニア大陸の勇者様」
(ソルシエラも所属してるのか……まぁあの人外じみた強さなら納得だ)
「2人目は聖騎士軍大元帥、エトワール・スターダスト様」
(大元帥…ファテナさんよりも更に偉い人だな。でもファテナさんも、この大きな大陸の支部長を務めるくらいだから、かなり偉かったのでは)
「3人目は聖騎士軍、聖羅十傑の1人、リリカ・コープテレス様」
(聖羅十傑…?幹部クラスの事か?なんかかっこいいな)
「4人目はフリーの冒険家、メイツ・カロス。最近彼を見た、という話を聞かないので、死亡説が流れてます」
(急に普通の冒険者になった……いや、だがメンツがメンツだ。多分インディ・ジョーンズ並に凄いのだろう)
「そして5人目が……」
バァンッ!!
窓口の男性が言いかけた時、冒険者連合組合の入口のドアが、思いきり開けられた。
逆光になっているが、ドアを開けた人物は足を上げており、足でドアを開けたようだ。お行儀が悪い。
その人物は開けたドアを、足を器用に後ろに回し閉め、こちらへと歩いてくる。
ドアが閉められたことによって光が遮られ、その人物が少女である事をセンヤは理解した。
服装はショッキングピンクのダボダボのパーカーを身に付け、フードを被っている。
ズボンはデニムパンツを履いているのかは不明だが、膝まであるダボダボのパーカーのせいで何も履いてないように見える。
足は長めの靴下、ニーハイ?というものだろうか。
窓口の男性の前に立ち止まると、少女はフードを脱いだ。
髪型は黒のロングに、所々金のメッシュが入っている。
頭を振るい、乱れた髪を整える。
「オッサン、仕事。なんか無い?」
少女は恐らく自身の父親と同い年であろう男性に、大きな態度で容赦ないタメ口をきく。
窓口の男性は困った様に笑い頭をかくと、再び言い直した。
「…あらためて、核級所属の5人目がこの方。フリーの傭兵…通称『処女脱兎』メロ・ウヅカさんです」
「こ、この女の子が…?」
「…なんか文句ある?」




