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魔物資源活用機構  作者: Ichen
旅は道連れ
926/2955

926. 首都での午後 ~資料館情報・夕方情報交換

 

 皆が資料館にいる頃。資料館近くの店頭販売で焼き魚の串を買って、店前に置かれた長椅子でお昼を食べるイーアンとオーリン。



 ――15分前。この真上まで翼で飛び、上から見て『これが資料館じゃないの?』とオーリンに言われたイーアンは、うんうん頷いて『もろ、そうです』と答えた。


 上から見た資料館はとても広く、中心となる建物を囲む別館は、配置を決められて建設されたようで、敷地内に広がる建物と緑の並びは、テイワグナ共和国の形状を模倣したものだった。


「すごいね」


 オーリンが咳き込んで笑う。『ハイザンジェルに、こんなのあるのかな』首を傾げるオーリンと一緒に笑いながら、イーアンは人の影の見えない路地へ急降下して、町へ降りた――



 はふはふ言いながら、二人で焼き魚を食べる昼食。『ここでお魚。有難いです』今日も疲れたとイーアンが言うので、オーリンは彼女を労い、『俺、頭は食べないんだけど』と食べ残す予定の頭を見せる。


「それ。私に食え、と」


「え。嫌ならいいよ。腹減ってそうだから」


 笑うオーリンの串を傾けてもらって、イーアンもアハハと笑いながら、頭を齧って取った。頭をむしゃむしゃ食べる姿に、オーリンがゲラゲラ笑って『君は無駄がない』と変わった誉め方をしてくれた。


 食べ終わって、果汁を買って飲みながら、郷土資料館へ向かう二人。


 オーリンは気分が良い。この前、彼女に振られたばかり(※龍の民の女性二人目)だが、イーアンとこうしていると、ちょっとデートみたい。この方法良いなと、味を占めたオーリンは、暫くこうして、イーアンを昼に迎えに行くのを繰り返そうと決めた(※彼女いない期間限定)。



 郷土資料館の前庭を通り、入り口案内に沿って進み、大きな入り口をくぐったイーアンたちは、キョロキョロ見渡して、最初に『お金要らないのかな』と同じことを気にする。


「高いと困ります。お食事代くらいならありましたけど」


「そうだな。俺もそんな、持ち合わせないぜ。馬車に置いてきちゃったから」


 どうしましょうね、どうしようかと二人が話していると、向こうから背の高い男の影が近づいてきて『来たか』と声をかけられた。オーリンは笑顔で手を上げ、遠目の利かないイーアンは、目を細めて『タンクラッド』と呟く。


「道に迷ったかと思ったが。無事で何よりだ。昼は食べたか?」


 イーアンとオーリンの前まで来て、親方が二人を剣の壁へ案内する。『ここお金は』イーアンの質問に首を振る親方。『払っていない。無料なんだろ。もし料金があってもパヴェルがいる(※任せること間違えてる発言)』そう言うと、ほら、と壁を見せた。


「剣だらけです。圧巻」


「面白いぞ。お前も勉強がてら、俺と一緒に見ろ」


 タンクラッドはイーアンの背中を押して、この剣はウンタラカンタラ、始める。オーリン、つまらない。


「ここで止まったら時間潰すぞ。全体見てからの方が良いだろ」


「オーリン、行って良いぞ。イーアンは弟子だ。教えないといかん」


 尤もらしい言葉を言わせれば、頭の回る親方に敵わない二人。イーアンは言い返せないので、それもそうねと頷く(※弟子認識あり)。

 オーリンは苦笑い。ミレイオでもいれば良いのに(※ミレイオなら親方相手に奪取できる)と思いつつも、了解して、自分は館内を回ることにした。


 剣の壁に沿って、人の少ない館内を歩くと、続く左側に広がる空間に防具が見え始めた。盾や鎧がかかる奥の壁が目に入るが。

 その手前の凹んだ一角。天井から下までを、埋め尽くすほどに相当量の弓矢と槍が掛かっていた。


「すげぇ。剣と防具の間にあったのか」


 目立つ場所に剣があるから、弓矢なんかはひっそりかなと思っていたら。角度を変えてみてみれば、弓矢と槍は形状も大きさも様々なので、壁を芸術のように華々しく飾っていた。


 オーリンが、へぇと笑顔で見上げていると、後ろから『全部見た?』とオカマの声。振り向くとミレイオがいて、入り口から左手部分は、全部が武器や防具だと教えてくれた。


「こっちに盾もあってさ。盾の横・・・見えるかな、その横の出口から回廊に続いてるのよ。ほら、あの扉のないとこ。向こうの回廊に出て、中庭越えたところの別館にもあるみたいよ。そっちは私もまだなの」


「俺はここでも良いよ。見応えあるし」


「来たばっかなんでしょ。イーアンは?」


 あっち、と剣の壁に指を向けると、ミレイオも笑って首を振り『捉まったか』と理解した。


「まぁ良いわ。別館はもっと古い時代の考古資料だって書いてあるし、ここにある複製品じゃない本物よ。本物見たいでしょ?行こうよ」


 いい、って言ってるのに。オーリンはミレイオに引っ張られて回廊へ向かう。これもデートの一つなのかと苦笑いし諦めて、ミレイオに腕を引かれるまま付いて行った(※オカマとデート)。



「いかがですか。勉強になりますか?」


 ザッカリアが振り向くと、微笑むフォラヴが、壁に掛かる絵や、遺跡の石板を眺めている。『龍の歴史がこんなに』妖精の騎士も感心して、素晴らしいと誉める。


「フォラヴ、どこにいたの?パヴェルは、飾りばっかり誉めるんだよ。俺が知りたいこと、あんまり知らないんだ」


 そんなパヴェルは『ちょっとあちらを見てきます』とザッカリアに断って、王国時代の宝飾品を集めた部屋へ行ってしまった後。

 勉強にならないと、愚痴るザッカリアに笑って、フォラヴは『私は様々、教わってきましたよ』と振り切った案内員の女性から逃げるように、壁の影へ隠れる。それを見たザッカリアは、同情したように笑って『俺と一緒に見て』とお願いした。


「これ見て。俺のソスルコに似てるよ。そうじゃない?」


「本当ですね。えー・・・ソスルコの、模様。足も4本ですし、これは背鰭でしょうか。ミンティンとは違いますものね。空は沢山龍がいるから、限定出来ませんが」


 イーアンに訊けばいいんだ、とザッカリアは見回す。でも側にいないと知ったので、仕方ないから、先の展示を見ている総長を呼び(※代用)やって来た総長に質問する。


「うん?ソスルコ。お前の龍か。そうだなぁ。ティグラスの龍とも違うから、そう見えなくもないな」


「こんな昔から居るんだね(※決定)!ソスルコは長生きだ。おじいちゃんかな」


 ハハハと笑う大人二人は、『龍の寿命はとても長いから、まだ若いかも』とザッカリアに教える。総長は、タムズが話していたことを思い出し『そう言えば』と子供に教える。


「龍は200年くらいだと、やっと大人のような話だ。タンクラッドのバーハラー。あれが200年とか。

 男龍のタムズたちは、その何倍も長生きしているし、ビルガメスなんて、1000年以上前から生きているのだ。あんなピチピチでムキムキで、カッチョイイけど」


「ビルガメス、おじいちゃんなの?!全然そう見えないよ」


「そうなのだ。イーアンもよく、そう言う。イーアンは彼をおじいちゃん扱いしているが、彼はめちゃめちゃ若々しいのだ。あんな老人でいたいものである(※願望)」


 話が龍の寿命から、男龍に逸れて、3人は遺跡の石板を巡りながら『これはイヌァエル・テレン』『これ男龍かな』『これ、イーアンみたい』と身近な相手に重ねて勉強(?)する。


「フィギの後に見た、あの7本の柱みたいのもあるよ」


 展示室にどーんと立った木製の柱を撫で、見たことのある遺跡に段々楽しくなる3人は、あれもこれもと探し、案内員さんに教わった解説をするフォラヴに質問しながら、身になる時間を過ごした。



 資料の巻物を貪るように読み漁るシャンガマックもまた、複写が可能な範囲で、大急ぎの作業に追われる時間。人と話すのも惜しいので、誰にも話しかけることなく、ひたすら情報を集めていた。


「明日も。明後日も・・・来たい」


 呟く褐色の騎士は、せっせと書いては、指をずらして必要な情報を探し、またせっせと書き写す。総長に頼んで、首都に居る期間は、ここに通わせてもらえる相談をしよう、と心に思う。


 さっと目を上げれば、各地から集めた遺跡の数も魅力で一杯。『旅の最中に出会う、遺跡の解読に役立つはずだ』これも縁だ、と思えば。ここに籠もる気で。得られる情報は、この際、何でも手に入れようと決めた。


 シャンガマックの手元の巻物には、ここに来るまでに見た、古い時代の遺跡の資料が幾つも積まれる。


『これを書いた人にも会いたい』ブガドゥムの織り手が話していた館長・・・『彼もいるのだろうか、ここに』呟きを落としながら、もっと知りたい気持ちに駆られるシャンガマックは、今は没頭して、資料にのめり込んだ。



 タンクラッドもイーアンと一緒に、剣の棚を覗き込んで、二人であれこれ謎解き中。


 イーアンは白い剣の柄に入っている、白いナイフをちょいちょい引っ張り出し、『ここの文字が』小さい声で親方に見せ、親方もそれをちらちら見ては、ガラス蓋の下に置かれた、古代の剣の樋と見合わせ『これそうだ』と小声で教える。


 二人で覗き込んで、ああだ、こうだと小さい声で話し合いながら、別の棚へ移動して『これも字体の特徴が前後100年程度の差』指差すイーアンが伝え、親方がそれに目を凝らし『柄の装飾は時代が一緒だ。剣身は作り換えしている。後世のものだぞ』こんな具合でお互いの発見を教えるという、マニアックな会話を続ける。


 ひそひそ話し合う二人は、人の少ない広い資料館の一角にいるので、そういう意味では目立たないものの。

 職員の目から見ると、妙に張り切って学んでいるように見え、その行動がなかなか面白いので、長い時間、観察されていた(※親方と弟子は目立ってないつもり)。



 時間がどれくらい過ぎたのか。向こうから手荷物を持った職員さんと一緒に、パヴェルがやって来て『さて。そろそろ帰りましょう』と、なぜか帰りの号令をかけた。


 急に声をかけられたイーアンとタンクラッドが驚いて、さっと身を起こすと、笑顔の貴族が『お土産、買っておきましたよ!』ほらっ・・・後ろの職員さんを示す。

 細い職員さんは、両手に4袋の荷物を持たされていたので、タンクラッドは慌てて彼から荷を引き取った。


 手の平が真っ赤になった職員さんに、タンクラッドは『すまないな』と謝り、笑顔で首を振ってくれるのを申し訳なく思いながら、パヴェルに振り向いて『俺なり誰かなり、呼んでくれ』と言った。


「いえ。皆さんが夢中になっていましたので。これは邪魔しちゃいけないな、と思いまして」


 ハハハと笑う初老の貴族に理解を示し(※理解=言ってもムダ)イーアンとタンクラッド、パヴェルは、騎士たちを探しに館内を移動する。


 皆は一箇所からあまり動かなかったようで、すぐに見つかり、別館から戻ってきたばかりのミレイオとオーリンも見つけて、9人は資料館を出る。


 シャンガマックはすぐに『首都滞在中は通いたい』旨を総長に話した。総長はあっさり許可(※そうなるだろうなと思ってたから)。シャンガマックだけは、毎日通うことに決まり、それはパヴェルの家から馬を出すことになった。


 知らない間に、パヴェルに予定を握られている状態に陥っている旅の仲間は、笑顔で言うことを聞かせる貴族の人心掌握術に、『何か、おかしいなぁ』と思うのも束の間。洗脳されたように馬車に乗り、話題の弾む貴族と共に彼の家へ帰った(※頭がクラクラする)。



 お土産付きで戻った、夕方前。


『お茶の時間ですね。夕食前に、庭へ出ましょう!』元気なパヴェル(※おもてなし大好き)に操られ、一行はぞろぞろと屋敷の中を通過して、庭へ連れて行かれ、小振りで神殿チックな東屋に落ち着く。


 午後の陽射しを照り返す、真っ白な石造りの東屋で、お庭の花々とお池を眺めながら。皆はちょっと疲れた様子で口数も少なく、出されるままにお茶を飲み、皿に寄せられるままに茶菓子を食べる(※洗脳中)。


 ザッカリアはお菓子を食べ終わると『眠い』の一言を伝える。

 パヴェルが手を叩くと、近くに居なかったはずのリヒャルドさんが3秒で現れ、眠たい目のザッカリアを優しく促し『午睡にもってこいなお部屋』へ連れて行った。


 皆は、その様子を見て、自分も昼寝をしたいと言いたかったが我慢した(※喋るの疲れた)。


 だが、その願いは別の形で敵う。パヴェルがお菓子の追加をしようとしたところ、ザッカリアを部屋に届けたリヒャルドさんが来て『大旦那様にご面会の・・・・でございます』と耳打ち。


 パヴェルが執事の目を見ると、執事は小さく頷く。『分かった』腰をすぐに上げたパヴェルは、皆を見て『すみません。私は急な来客と話をしなければいけないため、どうぞ寛いでいて下さい』そう挨拶して、夕食の時間を告げると、後は自由にと言い残し、笑顔で去って行った。



「パヴェルは。元気だ」


 ぼそっと呟く総長。オーリンも欠伸をして『俺も寝たいよ』と本音を言う。笑うイーアンが『私も眠いです』と頷くと、ミレイオが椅子を寄せて抱え込んだ(※座布団)。


「寝てて良いわよ。私が腕に抱えてるから倒れないわ」


「本当に寝たらごめんなさい。でも寝るかも」


 ぐたっとするイーアンは、苦笑いでミレイオに寄り掛かる。皆も正直を言えば、少しお疲れ。いつもと違う一日は疲れるのだ。

 背もたれに体を預け、大きく深呼吸すると、お互いの目を見交わして笑う。


「今の内に、情報交換をしようか」


 ドルドレンは、パヴェルのいる時間に話し難いことを、この時間で伝えようと提案した。『こんなのんびりしていても、仕事中だ』ハハッと笑う総長に、騎士たちも微笑む(※そうだった、と思い出す)。


「イーアンは寝ていて良いのだ。午前のことは俺が知っている。あの後、空で特訓して、赤ん坊と遊んで戻ってきたのだ。疲れて当然である」


 優しい伴侶にお礼を言って、抱え込まれたミレイオの腕の中(※ミレイオも座布団使用だから互恵)イーアンは、ちょっとうつらうつらし始める。



「それではな、俺からだ。時間に限りがあるため、報告だけだ。質問その他はとりあえず後回しにするぞ。

 今日、イーアンとオーリンは警護団本部で、再び別室に通された。それは団長たちの意思ではなく、昨日の分館にいた輩の指図だった。無論、俺たちは何も知らない状態だ。


 先に、俺とパヴェルが団長と話していると、向かいの部屋から激しい衝撃音が聞こえ、続いて悲鳴が聞こえた。言わずもがな。それは彼女だ(※と言って、寝てる愛妻を指差す)。

 イーアンとオーリンを呼び出した分館の輩が、保身の頼みをしようと言い訳したらしい。その言い訳はイーアンを怒らせ、一部屋を破壊するに至る。


 イーアンは、自分を怒らせた男を、皆の見ている前で罰し、警護団長及び副団長に、以後、龍の約束を軽んじないようにと伝えた。

 ちなみに男は生きている(※これ大切)。この後、イーアンたちは空へ向かった。


 俺とパヴェルは、ベデレ神殿のその後を聞き、また異なる新たな情報を得た。これは近いうちに話そう。

 他、魔物製品の販売、警護団への戦法指導なる講義、俺たちに直接関係ないがパヴェルの提案で、テイワグナにいる貴族出資を募る、魔物製品製造への後押しなどについて相談した。

 恐らく、今日の夕方にでも、バイラが今週の予定を持ってくるだろう。明日以降、仕事が山積みだ」


 一同、しーん。 

 ミレイオは、自分の腕の中でぐーぐー眠る女を見て、その角を撫でる。『やなこと、あったのね』怒るのイヤよね・・・そっと呟く。


 オーリンはそんなミレイオに『龍をさ、普通の生き物みたいな言い方したんだ。国や警護団に貢献って上辺だけど。単に、飼いたい、自分も乗ってやる、みたいな感じだ』そう言うと、皆を見て『自分が怒る前に彼女が怒った』と付け加えた。



「そうか。俺たちは平和なもんだ。バイラの案内で馬4頭借りて、子供図書館へ行ってな。

 ザッカリアと一緒に、子供向けの伝説を探し回った。『図書館を先にした方が、国民の意識への理解が早い』と、勧められたからなんだが。

 確かに図書館には、各地の民話集もあるからな。絵もあるし。かなり面白かったぞ。


 時々描かれている『龍の女』『龍の島の女』は・・・あれは。あの絵を見た子供が、イーアンを見たらそう思うかも知れん。特徴が似通う。

 時代的には、ズィーリーと、始祖の龍が混ざっているだろう。地域によっては、始祖の龍だけの話もある。ズィーリーと始祖の龍の違いは、角と翼があるかどうか、だ。

 まぁとにかく。間違いなく、龍や精霊は信仰対象だろうな。

 民話収集地域の名前も絞り込んであったから、違いも楽しめたが、確実に言えるのは、全土に渡って影響していることだな」


 タンクラッドが、ざっくりまとめて図書館の感想を教えると、騎士二人とミレイオも同じように感じたことを、総長とオーリンに伝えた。『これからテイワグナを回るにあたって、理解が深まる』とのこと。


「話は変わりますが。気が付けば、馬がいませんでした。総長たちが来てから気が付いたんですが、バイラに借りた馬は、俺たちが戻る前にあの執事の人が、手配して戻したようです」


 余談を伝えたシャンガマックの言葉に、皆でちょっと笑って『やりそう』と頷いた。



「よし。ではこんなところかな。後は馬車へ移動して、オーリン。弓が届いているんだ、見ると良い」


 ニコッと笑った総長に、黄色い瞳を向けた弓職人は、嬉しそうな笑顔で『ホントかよ』と立ち上がる。鏃もある・・・総長はダビの鏃のことも添えて、自分も席を立つ。

 他の者もそれを合図に動き始め、イーアンはミレイオが抱えた状態で運び、全員で馬車へ移動した。



 遠目から見守るリヒャルドさんは、皆さんが馬車へ向かうのを察し、召使さんたちに、通路を開放するように伝え、迷ったらさり気なく案内しなさいと指示した。


 この後、庭園の東屋はさーっと片付けられ、リヒャルドさんの思惑通り、迷われてしまった客人は、通りがかりの召使さんに案内されて馬車へ辿り着いた。

お読み頂き有難うございます。


イーアンとオーリンが魚を食べる場面を描きました。




   挿絵(By みてみん)

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