920. 貴族の絡む夜
大旦那様とお食事を楽しむ空間。
お食事開始予告の、10分前に到着した部屋。それは、騎士たちには不慣れどころか、見たこともない場所。
壁は、金色の柱と赤い壁。壁には金枠の中に風景が描かれ、それが場面ごと物語のように、柱を境にしてぐるりと囲む。
彫刻された柱と、天井に続く曲線を描く梁は、深緑色の地に金で塗られた花模様が鏤められ、吊り下がる大きな王冠型の照明器具には、灯火をもっと明るく輝かせるガラスの飾りがびっしり。
浮き彫りのような白い織物をかけた食卓は、広く長く、既に幾つかの料理が載っている。その純白の白と、起毛仕立ての赤い座面の椅子が並ぶ線は対照的。
食卓には、5本の飾り蝋燭を立てる金の燭台が並び、合間に大振りな花を活けた、優美な形の花瓶が置かれる。
色の異なる木で作られた菱合わせの床は、煌くほどに磨き上げられ、食卓の下には白い平石が花模様に組まれて広がっていた。
唯一、ドルドレンはこんな光景を知っているが(※王城に呼ばれたこと何度かあるから)親方もミレイオもオーリンも、漏れなくイーアンも。この前の王城で、貴族と夕食を過ごしたあの部屋より、今自分たちのいる部屋の方が強烈に感じた。
職人軍団でさえこれなので、若い騎士3人はもっと困惑している。フォラヴは容姿雰囲気こそ、貴公子とよく称されるが、本人はその出身ではないので、このような華美な場所に気圧されて悩んでいた。
シャンガマックは、情報処理が追いつかず、少々固まり気味。初めて見る豪華さに戸惑うザッカリアが、ぎゅっと手を握るとハッとするが、すぐに意識が飛ぶ。
「シャンガマック。俺、こんなとこ、ムリだよ」
「む。うん、ああ。そう。そう・・・・・ 」
「シャンガマック!」
ザッカリアは意識の消える褐色の騎士に、名前を呼んで『しっかりして』と頼む。ドルドレンは部下たちを振り返り、予想以上に彼らが大変であると知り、どうしたものかと考える。
ふと、自分の横に立つイーアンを見ると、正面を向いたイーアンも、何かを言い続けているように唇が微動している・・・・・
気が動転していると分かり、イーアンの肩を抱き寄せ『大丈夫だ』と囁くが、見上げたイーアンの目が泳いでいるので(※ヤバイ状態)これは無理かも、とドルドレンも悩む。
「イーアン。おいで、私と一緒にいよう」
ミレイオが気が付いて、ドルドレンから放心するイーアンを引き取る。『済まないな』謝る総長に、ミレイオは首を振って『あんた、この子たち面倒見なさい』担当を顎で示す。
ドルドレンの目を向けた先は、固まるシャンガマック、泣きそうなザッカリア、不安に青ざめるフォラヴ。
「ザッカリア、タンクラッドと一緒にいろ。オーリン、ちょっとフォラヴを見てくれ。
シャンガマック、おい、シャンガマック!分かるか?俺だ、ドルドレンだ。目を、こっち見ろ。そうだ、分かるか?俺といろ。俺の横に」
この状態だと一番、厄介なシャンガマックを扱うドルドレン(※意識飛ぶ人担当)。褐色の騎士は、何度も瞬きをしては、総長の声に反応して頷きを繰り返す状態。
ザッカリア担当のタンクラッド。子供の腕に触れた途端、泣きそうな顔を向けた子供が、親方の胴体に、ひしっと両腕を回してしがみついた。
『嫌だよ。俺、無理だよ』違うところで食べる、と訴える大きなレモン色の瞳に同情する親方は『早く食べて、早く戻ろう』と答える。
親方もコルステインを待たせるのが心配。一度、抜けた方が良いと思うので、しがみつく子供に『後で一緒に出よう』と約束した。
オーリンは、不安そうな妖精の騎士の側に行って、ちょっと肩に手を乗せる。振り向く妖精の騎士の顔が、戸惑う女みたいに見えて可哀相になった。
「大丈夫かよ。何か顔色、悪いぞ」
「オーリン・・・あの。恥ずかしながら、私はこうした場所は縁もありませんため、得意ではなく」
「俺もだよ。でも食ったら終わるだろ。ほら、箱の中は、趣味もいろいろってだけだ。腹が一杯になるかどうか、目的はそこだから」
年齢差17年。日に焼けた野性味の残る顔つきの男に、絢爛豪華な部屋は意味がないと教えられ、フォラヴは妙な落ち着きを得る(※この人が言うなら、の気持ち)。『俺が横に座るからさ。食えないものあったら、食べてやるよ』ハハハと笑うオーリンに、フォラヴもちょっと微笑んで頷いた。
イーアンは、ミレイオに座布団にしてもらうことで、若干、我を取り戻す。『あんた。余計なこと考えちゃダメよ。あの肉だけ見てなさい』分かった?と頭の上で言われて、イーアンは、うん、と頷く(※食卓の上にデカイ肉の塊ある)。
不安定な精神状況を抱えたお客様8名が、入り口を跨ぐことなく立ち止まっている様子に、召使さんたちが気にし始め、呼ばれたリヒャルドがすぐに対応に出た。
「お待たせして申し訳ございません。どうぞこちらへいらして下さい。こちらとこちらと」
席に案内するリヒャルドに、ドルドレンはすぐ『すまないが。慣れない者が多いのだ。好きに座らせてもらえるだろうか』と相談した。リヒャルドは笑顔で了承し『勿論でございます』と自由を促す。
「大旦那様も、もうじきお見えになります。お掛けになってお待ち下さい」
そう言うと、大旦那様のお迎え場所に立ち、来客が席に着くのを見守る。執事に見守られながら、ドルドレンたちは銘々、無理のない場所を選んで(※端っことか、花瓶に隠れる場所とか)座った。
遠慮がちな来客に微笑みながら、リヒャルドは情報に聞いた話を思い出す。
――『彼らはね。とても恥ずかしがり屋なんだ。質素で謙虚な騎士修道会の生活で鍛えた精神だから、贅沢や豪華なもてなしには慣れていないんだよ。極力、花や飾りは控え目にね。ちょっと田舎風にして、寛げるようにしてあげて。
職人たちもそうだからね。オーリンはどこでも自由だけど、ミレイオとタンクラッドは警戒心が強いから、やり過ぎは禁物だ。気構えが取れないんだ。
それとイーアン。彼女は本当に、生活で苦労した人だと思うんだよ(※察しが良い)。本能で嫌がるから、出来るだけ、明るさから身を隠せる場所と、彼女の好物(※肉)の近くに案内してあげて』
『大旦那様。その、最後のイーアンにつきましては。それでは、野のイヌやネコに接するような表現でございます』
人を相手にと思ったリヒャルドが、やんわり注意すると、パヴェルはくすっと笑って『正にそうだよ』と答えた――
本当でございました・・・リヒャルドは、大旦那様の眼力に脱帽(※大袈裟)。
刺青の男性に抱え込まれたイーアンは、挙動不審。仲間も熟知しているから、イーアンを肉の目の前の席、光の影になる角度に座らせていた。
見ていると、ちょっと影から手が伸びて、腸詰を持ってすぐに引っ込んだので、あれで少し落ち着くのかなと思った(※お行儀は誉められない)。
リヒャルドはもう一つ気が付いていた。イーアンは角がある。小さいが、白い捻れた角が2本。
大旦那様には、龍族がいると聞いてはいるものの。もしや、と過ぎることを口にはしないが、もしも、自分の想像が当たっているならば。
そこまで思ったところで、パヴェルの足音が聞こえ、執事はさっと向き直る。
「皆様はお席に着いて頂いています」
「あ、そうなの。待たせてしまったか。済まないね、服に迷っちゃって」
どれもこれもヒラヒラしているが、色や生地が違うだけで、ヒラヒラぐらいに差が付く。パヴェルは淡いブラウンのシャツと、キャメルカラーの光沢ズボンに、織りの見事な銀色のベストで登場。
リヒャルドが一通り誉めて感想を伝え、席に歩く大旦那様の先を回って、席を引き、腰を下ろしてもらうと、ようやくパヴェルは笑顔で皆さんに挨拶。
ドルドレンたちは、初老の貴族の嬉しそうな挨拶を3分聞いた後。
『さて。ではどうぞどうぞ!皿に取り分けますから、好きなだけお食べ下さい!』両手を叩いたパヴェルに呼ばれた召使さんたちに、わらわらと群がられて、皿にちょびちょびと料理が乗るのを見つめる。
「もっと乗せて良いよ。俺、これじゃすぐ食べ終わるぞ」
オーリンがすぐに抗議し、笑うパヴェルに命じられた召使さんが走ってきて、オーリンの皿に言われるままに盛り付ける。
タンクラッドもそれを頼み、するとドルドレンも同じようにお願いし、結局全員がそうしてもらった。
昼を抜いていた皆は、食べ始めると勢いづく。口に入っている状態で、飲み込む前に次を口に入れる。繰り返す速度に拍車をかけるように、注がれた酒を水代わりに食べ物を流し込み、がつがつと食べ続ける。
「いやぁ、圧巻だなぁ。こんなに美味しそうに食べる姿は、私の人生ではまず見れない」
パヴェルの言葉に反応したオーリンが『礼儀がないって?』と笑うと、パヴェルは笑って首を振る。
「違いますよ、オーリン。私は自由の良さを最近知ったから。今までの人生は、随分大人しく生きてきたなと思って」
「答えが違うんじゃないの。分からないよ」
むしゃむしゃ食べる弓職人は突っ込む。パヴェルが困って笑うと、オーリンは料理をごくんと飲み込んで、ニコッと笑った。
「あんた。本当に助けてくれたな。有難うな。お礼、言ってなかった」
「オーリン・・・私は今。ここにあなた方がいるだけでも、役目を果たせている満足を感じているんです。助けると約束した以上、助けますとも。お礼は要りません」
パヴェルの言葉に、旅の皆は彼を見た。それから、ドルドレンが食べる手を止めて『仲間を助けてくれて有難う』と一言。
パヴェルの水色の目が総長に向いたと同時に、イーアンも『本当に有難うございました』続けて頭を下げた。
そんな、と笑いかけたパヴェルに、シャンガマックが『あなたが味方である救いを、精霊に感謝』とはっきり伝えた。不思議な青年の言葉に感動するパヴェルは、褐色の騎士に微笑む。
「おじさん、イーアンとオーリン出してくれて有難う」
「そうだな。パヴェルが来たら一発だ。助かった」
「場所を壊さないで出せる方法って、人に寄るわ。手伝ってくれて有難う」
ザッカリアが自分もお礼を言う、と伝えた後、タンクラッドとミレイオも礼を口にした。妖精の騎士が微笑んで『あなたのような貴族がいらして下さると心強い』と添える。
パヴェルは笑顔を忘れる。自分が取った行為が、自分にしか出来ないと分かっていて行ったことだが、素直に『有難う』と、皆が思いを口にしてくれたことに心が温かくなった。
貴族の社会では、遠回しにお礼をする習慣・お礼はお礼返しを伴ってチャラにする習慣、貸し借りなしを笑顔で細工するのが普通なのに、当然そんなことを知らない彼らは、正直な眼差しで心の声を言葉にする。
「パヴェルが困ったら。俺が助けてやるよ」
オーリンは分厚い肉の切り身に突き匙を刺して、ニッコリ笑う。『俺とガルホブラフが助けてやる』驚く顔の貴族に、ハハハと笑って、オーリンは肉を口に押し込んだ。
「龍の民の約束は、絶妙に微妙ですので(※あんま信用できないと言っている)私が助けましょう。私も受けた恩は忘れません。パヴェルがお困りの際、私が役に立てる時は教えて下さい」
イーアンもニコッと笑って約束する。『私を助けて下さいました。私の血、私の兄弟、私の同胞、オーリンも助けて下さったお礼をします』力強く伝えた声に、なぜかオーリンが感動。
横でドルドレンが『俺は?オーリンは、イーアンの血なの?』小さい声で説明を求めて、イーアンは笑っていた(※同じ龍族だからとか)。
パヴェルは、じんわりと沁みるものに瞼を閉じる。
裏表ない誠実な心による、感動。自分の取ったささやかな動き。それに感謝をしてくれる純朴な彼らに、出会えたことをパヴェルは心から喜んだ。
夕食が始まって30分後。かき込むように食べた親方は、ザッカリアを見て『行くか』と訊ねる。ザッカリアはちょっと慣れて来ていたので、うーんと考えた。その様子を見て笑った親方は『俺はコルステインが来るから』と言った。
「うん。タンクラッドおじさん、戻って良いよ(※子供は順応が早い)」
ザッカリアの声で、皆が剣職人を見た。ドルドレンが気がついて頷くと、タンクラッドも頷いて、パヴェルに食事の礼を伝える。
「タンクラッドはもう。もっと食べても」
「いや。俺を待つ仲間が来る。俺の部屋には誰も来ないでくれ」
タンクラッドが立ち上がってそう言うと、皆は顔を無表情に決め込む(※俺を待つ仲間=俺を待つ彼女)。皆の雰囲気が、いつものことのように了承しているため、パヴェルも事情を訊ねずに了解した。
「分かりました。それではまた明日に。いつかその、もう一人の仲間の方にもご紹介下さい」
貴族の挨拶に親方はちょっと笑って、何も答えずに部屋を出て行った。
彼の態度がどうとか、それはタンクラッドと食事をした王城の夕食会で知っているので、そうした事は思わないにしても、パヴェルは『もう一人の仲間』はどんな人なのかと想像した。
「パヴェルが出会うことは、恐らく、ない」
心を読んだように総長が微笑んで教えた。視線を向けた貴族に、『人ではないのだ』とだけ添えると、貴族は少し目を見開いて驚く。
「それは、イーアンやオーリンのような」
「いや。また異なるな。世界は広い。俺たちの仲間は天地の別がない」
ミレイオは少し頬を緩ませるが、何も言わないで食事を続けた。皆も特に口を挟まず、パヴェルも訊かない方が良いのかと思って、そこは黙って頷いた。
この後、話題を変えて夕食の時間は更に30分ほど続き、パヴェルが用意した肉60kgは、親方が途中退室したため、半分の30kgしか減らなかった。
皆はお腹一杯食べさせてもらい、大人は少々の酒も飲み、子供は極上の果汁を飲ませてもらい、夕食は終了。
風呂と食事のお礼、おやすみなさいの挨拶を交わし、明日の朝食の時間をリヒャルドが伝えてから、解散となった。
*****
この夜。バイラは本部で、副団長たちと話し合っていた。
あの時、バイラは、首都にある5つの分館の一つへ赴き、本部に戻ってきたところで、『不明者は別の分館にいるらしい』話を聞いた。すぐに行こうとしたが、既に副団長が向かったと言われて『戻るのを待つように』と命じられていた。
副団長が戻るまで落ち着かないバイラは、事情を詳しく知ろうと考え、再び町に出る。貴族が来たことなどを周辺の店の者から教えてもらい、一体何事が起きたのかと、自分なりに調べ回った。
そうしているうちに、暗くなってしまったことに気がついて本部に戻ると『数分前に騎士たちを連れた貴族が帰った』と聞く。
魔物製品のあった部屋は、何もなかったように片付けられ、彼らがここにいた痕跡は見えなかった。副団長を探し、団長と話していると仲間内で聞いて、待っている時間でまた1時間経つ。
今日はもう、総長たちに会えないと諦め、明日のことなど、彼らが何かを伝言していないかだけでも知ろうと、仲間に話しかけた時、副団長と団長が現れた。
そしてバイラは、副団長に同席を求められ、この夜は10時を過ぎるまで話し合うことになった。
知った事実が衝撃以外の何ものでもなく。バイラは言葉を失う。団長は、副団長に捜索許可を与えただけだったが、戻った副団長の報告に、自分の読みが甘かったと話した。
「イサ副団長の話は恐ろしいものだ。インガル地区のキンキート家が出てきた事態でも、私はどうなるかと国にまで相談したのだ。まさか本部の分館でも繰り返すなんて」
警護団長チャドゥルカ・キュケス ――63才。焦げ茶色の頭髪はふさふさ。南の出身で肌の色も浅黒く、瞳は緑色。
団長として勤務し早20年。警護団設立以降、二代目の団長で、職務意識が高く、体もきちんと動けるように鍛える、責任感の強い男。
キュケスは腕組みして大きな溜め息を吐き出す。
「バイラ。君は実戦経験を積む機会として、騎士修道会一行の魔物退治に一時同行志願と」
「そうです。ですが実は」
「いや。分かっている。君の上司のヤンケスが許可しなかったんだろう?それは連絡が来た。だが私は許可を出そうと思う」
「あの。ええと、私は実は」
彼の同行を許可することで、騎士修道会への無礼をちょっとでも緩和するようにと、バイラにも持ちかけている団長だが、バイラの表情が困惑しているので、何となく不安を感じる。『何だね』眉を寄せ、言ってみて、と頼む。
「辞職を。考えています」
何で? 躊躇いながら告げるバイラの一言に『この勃発時に、何を更に被せる気だ』と、頭に手を置く団長と副団長。
『バイラ。なぜ辞めるのかね。ここへ騎士を連れてきたのは、君が辞職を告げる序か』たまらなくなった副団長が、バイラに首を振って、考え直せと答える。
「違います。騎士たちは、テイワグナから魔物がいなくなる日まで滞在するのです。私は護衛業で国内の道も様子も知っていますから、彼らと共に、魔物退治をし、彼らの齎す知恵や技術を広める手伝いもしたいと」
「それで。君が辞めて?何も辞めなくても。だって、辞めたら資金はどうするんだ。急だし、仕事の引継ぎもある」
「資金は、自分の貯えやその場しのぎの仕事で賄います。仕事の引継ぎは、私の推薦する団員がこなせると思います。
私はこの国の未来のため、彼らに同行して魔物退治の実戦経験を積み、警護団に指導するなどで、今後の魔物退治への取り組みをしようと思いました。でも実際に一度戦いましたが」
バイラは同行した今日までの3日で、何を感じ、何を考えたかを上司に詳しく伝えた。上司の二人は話を聞き、二人ともバイラの意見が尤もに思えるだけに、何もその場で言えなくなった。
団長も副団長も、7000人を抱える警護団の中で、バイラの活動と態度は高く評価していた。
大別すれば7000人の内、内勤が約2000人、動き回るのが5000人だが、その動き回るはずの5000人は、ほぼ地方勤務なので、全くと言っていいほど、動きが伝わってこない(=動かないと分かる)。
そんな中、率先して、地域活動に精を出すバイラの名前はよく耳に入るし、報告書も真面目に作って律儀に送るし(※これをやらない人が多い)若手の教育も熱心なので、こういう模範的な人物に辞められたら嫌だ!と思うのが、団長と副団長の正直な気持ち。
バイラ辞職願。そして騎士修道会とハイザンジェル貴族への無礼。
解決しなければならない問題が、2つも突き付けられた団長と副団長は、頭を抱え、バイラを交え、時間の経過に怯えながら会議を進める夜を過ごした。
この日。彼らが帰宅したのは夜10時半。バイラは、本部の当直室に宿泊許可をもらい、仮決定の内容を考えながらベッドに横になる。
内容の濃い一日の終わり。体力には自信のあるバイラも、さすがにこの日は、目を閉じて1分もしないうちに眠りに落ちた。
お読み頂き有難うございます。




