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魔物資源活用機構  作者: Ichen
変化の風
683/2955

683. 交わり始める動き

 

「で?お前は、その部屋の子供全員に、祝福を授けたのか」



 角をくりくりされながら、イーアンは訊かれる。

 ビルガメスの家で、先ほどまでの出来事を報告している、ニヌルタの嬉しさレベルが、穏やかなおじいちゃんの冷めた目つきで、温度差微妙に見えるイーアン。


「そうかも。しれません。分かりません。私、祝福したのか」


「お前な。そんな好き放題、祝福してどうするんだ。ニヌルタ。部屋の子供を祝福して止めなかったのか」


「俺の子供を最初に祝福した。タムズも、シムも、ルガルバンダの子供も。それで最後まで祝福して、イーアンはケロッとしてる」


 ビルガメスは小さな溜め息をつく。『そうじゃないだろう。途中で止めないと』何を放置しているんだと、少し叱る。ニヌルタは笑顔で首を振って『大丈夫そうだぞ』と返した。おじいちゃんは呆れたように首を振る。


「イーアンは分かっていないんだ。イヌァエル・テレンで暮らすなら、俺もそこまで言わない。しかし彼女は中間の地で生きるつもりだ。祝福で龍気を常に誰かに渡していたら、イーアンは早くしなびるかも知れん」


 しなびる・・・しなびる? ええっ!何ですってぇ?!! ()()()()、の言葉に、イーアンはバッとおじいちゃんを振り向く。驚く女龍に、ビルガメスは少し同情気味に『そういう可能性も考えられる』と付け加える。龍気は気力でもあると。


「い、いやよっそんな!しなびたら・・・ただでさえ、ドルドレンより私の方が早く老けるのにっ!いやよ、そんなのダメよ、いや~!」


「だから。所構わず、好き放題に祝福なんかするから」


 イヤ~~~っっっ!!! 裏声で取り乱すイーアンは、頭を抱えて現実逃避で叫ぶ(※今年45&中年期真っ盛り)。そんなイーアンが可笑しくて、ニヌルタもビルガメスも笑う(←見た目、永遠に老いない方々)。



「お前。自分にどんな影響があるか、知りもしないで。だから、ちゃんと理解してからにしろ、と俺は言っているのに。少し懲りたか」


 おじいちゃんに、こんな鉄槌を食らうとは。このタイミングで食らうと、涙が出るイーアンは、ふんふん泣きながら『だって。だって。赤ちゃんが可愛いから』と言い訳にならない言い訳をして、老ける自分を怖がる。


「お前が。お前の想像よりも早く老いそうなら、選択肢を残しておくぞ。俺と一緒に暮らす手もある。イヌァエル・テレンなら、体が老いるのは遅い。俺はお前の中間の地での寿命くらいは、残っているだろうから、世話も出来る」


 ビルガメスが少し気の毒そうに笑うと、ニヌルタがイーアンの側に来て『大丈夫だ。俺もいる。ビルガメスが死んでも(※普通に言う)俺はまだまだ生きれる。俺がいるから』元気を出せ、と軽く肩を叩いた(※おじいちゃんムスッとする)。


 うえ~ん、と泣くイーアンに苦笑いで、二人は慰め、とりあえずニヌルタの報告を、ビルガメスはまとめることにした。



「俺の卵はないから、まぁ。見に行くこともないが。お前と、シムか。子供に角らしきものが確認出来たのは。さすがに早いな。それは俺も聞いたことがないぞ。いや・・・・・ うむ。そうだな。俺の母が男龍を生んだ時の話が、近いかも知れんが。確かめようもない」


 やっぱり、精霊に龍気を多くされた分、イーアンは始祖の龍に近いのかも知れない、と二人は話し合う。ズィーリーの代で、男龍が生まれなかったのもあるのか。イーアンの龍気を増やしたのは、種の存続に向けてもあるのかと、ビルガメスは考える。


 そうであれば。ビルガメスの中には、少し自信はないものの、やるべきこととして、早めに始めた方が良い計画が()()浮かぶ。



 ひんひん泣くイーアンの角をよっと摘まんで、泣き顔を見てちょっと笑う。涙を手で拭ってやり、イーアンをよいしょと自分の上に乗せると、自分の顔を見せてから『イーアン。聞け』と静かに言う。


「お前は。自覚が出来る前に動くだろう?それはお前の人間の習慣が、龍のそれと異なる意味だからだ。お前の相談役に、今、タムズが努力しているが。もう一人、努力させる相手が欲しいところだな。じゃないとお前は、放っておくと、自分の足を引っ張るばかり」


「うへっ」


 ビルガメスは笑う。イーアンはしょんぼりして、ぐすぐす鼻をすするので、ニヌルタも横に座って頭を撫でた。


「イーアン。ドルドレンだ。彼を連れてこよう。何が起こるか分からんがな」


 そう言った途端、アーッハッハッハ、と笑うビルガメス。ニヌルタも驚いてから、つられて笑い出した。『それは分からないな。イヌァエル・テレンに龍族以外が入って禁止を破るのか。俺たちが自ら呼んで』ハッハッハと高らかに笑う男龍。


 イーアンはビックリどころではなく、二人の男龍を見て、一度だけ鼻をすすって『ドルドレンを。ここへ?』と、どうにか聞き返した。何が起こるか分からない、と言っているのに、ドルドレンを生贄に??!!!


「え。ちょっと、ちょっと。お待ち下さい。ドルドレンの身に何があるか、分からないって。分からないのですよね?それで、彼をここへ引っ張り込むのですか?」


「引っ張り込むなんて、奇妙な言い方をするな。彼も来たがっていただろ。俺にはそう聞こえたぞ」


 ビルガメスは可笑しそうにイーアンに言う。それからイーアンを見つめ『お前は彼と一緒だ。大丈夫だろう』と頷く。


 いー・・・え。い、え。いえいえいえいえ。ちょっと、お待ちになって。


 イーアンは全身の血が引く。もしも呪いとか、そんなのが張ってあったら。ドルドレンは空に入った時点で死んじゃう可能性もある。大体、ドルドレンの家系が初代からヤバイから、始祖の龍の怒りに触れて、出禁になったのだ。

 その子孫が入った日にゃ、何が起こるか!冗談じゃないわよーーーーーっ!!!


「ダメです、ダメダメダメダメ!!絶対、いけませんっ ドルドレンが死んじゃったらたまりませんよっ」


「ダメと言ったって。お前のためでもある。まぁな、ドルドレンに危険が及びそうなら()めるから。イヌァエル・テレンに入った直後に、消滅はしないだろうと思いたいし」


「思いたいって。曖昧すぎますでしょう!彼に消滅されたら、私も死にます、もう即、後を追います!世界の滅亡は、責任取ってビルガメスが防いで下さい。冗談じゃありませんよ」


「何を言っているんだ。滅亡なんか、俺でどうにかなるわけないだろう。それが可能なら、元からお前たちなんか、精霊が呼ばん」


 そうじゃないでしょーーーっっ!!!何を冷静に解説してるのーーーっっ 


 取り乱したイーアンが喚くので、二人の男龍は、目を見合わせて大笑いする(※気にしない)。ニヌルタは、わぁわぁ言う女龍の顔をちょっと触って、自分を向かせる。目が怒ってるイーアンに笑い、『そんなに慌てるな』と宥めに入る。


「ビルガメスが言う時は、何かあるから。全く自信もなくて、提案しているわけじゃない」


「ハハハ。ニヌルタ。自信なんかないぞ」


 おじいちゃんは、ニヌルタの言っている側から全否定する。イーアンの目が『信じられない、この人』の見開き方をするので、ニヌルタもゲラゲラ笑いながら『そういうこともあるのか』と女龍の肩を叩いた。


「イーアン。賭けだと言っただろう。ん?お前じゃないか、ドルドレンに言ったのか。そうだ、あいつに言ったんだ。生きていれば、賭けも出る。おい、そんな顔をするな。俺を見下すような目をして、こらっ(※おじいちゃんは叱る)」


「ビルガメスが適当なんですもの。ドルドレンに何かあったらどうするのです。私、死んでも死に切れません」


「賭けだって。言ってるだろ(※聞いてない)。いつか死ぬんだ。誰でも。ちょっと早いか遅いか」


「ダメですって!!!」


 平行線なので、イーアンは目を瞑って頭を振りながら、絶対許しませんと抵抗を続ける。男龍は困りながら苦笑いで、イーアンを説得に入る。しかしムリ。ドルドレンが危険ではない、と確約出来ないなら、お断りし続ける。


 おじいちゃんは頑なで目が据わるイーアンに、苦笑しながら、顔を寄せて額にキスをする。『笑え。お前はいつでも笑っていないと(※ムチャを言うおじいちゃん)』でこちゅーを受けつつも、目の死んでるイーアンは仏頂面で首を振る。


「笑うんだ。お前は笑っていると可愛い。ほら、笑え(※ビルガメスの都合)」


「ムリです。笑えませんよ。ドルドレンを連れてくるなら、絶対に安全安心確実でなければ。どうにか約束されて下さい。始祖の龍の歴史を調べるとか、何か禁止状況を解禁する手がかりが」


「イーアン」


 ビルガメスは、イーアンの頭を押さえて、頬にもちゅーっとする(※男龍・信頼&祝福系表現)。

『笑うんだ。やってみるから』ちょっとだけ妥協すると、目の死んでるイーアンも、ちらっとおじいちゃんを見た。


 おじいちゃんは。身長4m超えなので、頬にちゅーされると、ほぼ片頬全面によだれが付く。おでこも付くけど、頬は止めてくれ、と思う(※かゆくなる)。彼はイケメンだが、それとこれは関係ないのだ。


 3m版タムチューの時も、唇どころか、鼻の下や顎まで埋まった事実(※だから、キスの範囲ではない)。下手したら窒息するだろう。伴侶は、2m版タムチューだったので、きっと丁度良い具合に『キス』だったのだ。私の場合は、動物園のキリンとちゅーする感覚しかない。


 頬ちゅーをもう一度かまされると、顔を洗いたくなる衝動に駆られると思ったので、咳払いしたイーアンはビルガメスに向き直り、指摘されにくい角度で頬っぺたをちょっとずつ拭きつつ(※見つかると何言われるか)、『お願いします。ドルドレンに話は通します』と答えた。



 ビルガメスは金色の瞳で柔らかい眼差しを送り、ゆっくりと頷いて『そうしろ。俺も調べておくから』と言うと、もう一度、嫌がるイーアンの頭を引き寄せて、頬っぺたにちゅーーーっとした(※長い)。


「頬は。そうして口付け、されませんでしたのにね」


 手の平できゅーっと拭いながら、イーアンはおじいちゃんを訝しんで見た。ビルガメスはニコッと笑って『お前に合わせてみた』と。それから、手で拭くなと叱られた(※拭いてる手を掴んで下ろされる)。


 うう、ちょっとかゆい・・・イーアンは必死でかゆみに耐えながら、もう帰りますと伝えた。早く帰って、早く洗わないと。縫い物篭を持って(※結局、一針も縫えなかった)お暇のご挨拶をする。


 ビルガメスとニヌルタは、イーアンをミンティンのいる場所まで送り、また迎えに行くと不穏な言葉を、遠ざかる背中に投げた。



 おうちで待っているドルドレンは。『もう暗いのだ』イーアンが帰ってこない空を、神殿調の温室から見上げる。


「連絡した方が良いのか。もう少し待とうか。今日もいろんなことがあった。イーアンもいろいろ持ち帰るだろう」


 日が暮れて、夜空が濃さを増す時間。ドルドレンは呟きながら、風呂の支度をする。夕食は、初・火入れをしてみたので、ドルドレンの料理で始まった台所。『馬車の料理』これ、美味しいのだと微笑みつつ、鍋の蓋を開ける。鍋と材料は、支部で分けてもらった。


 早く帰ってこないかな、ともう一度、空を見上げて『きらーん』を見つけた。『あ、イーアンだ』すぐに外に出ると、空はふわーっと白く明るくなり、すぐにミンティンが来た。


「良かった。今日はミンティンに乗っている」


 それなら疲れないね、と頷き、ドルドレンは愛妻に手を振ってお出迎え(※可愛い旦那)。名前を呼びながら、青い龍の側へ行くと、ニッコリ笑ったイーアンが縫い物篭と一緒に降りた。


「ただいま戻りました。随分暗くなってしまってごめんなさい」


「お帰り。良いのだ。食事を作ったよ。風呂も沸かした」


 優しい伴侶にイーアンはとりあえず抱きつく。とにかくぎゅーっと抱き締めて、笑う伴侶に頭を擦り付けた。『あなたを死なせるわけには』抱き締めるイーアンの言葉に、ドルドレンはギョッとした。



「今。とっても恐ろしい一言を、聞いた気がしたが」


「そうです。だから、まず。ええ、一先ずおうちへ入りましょう。大丈夫です、死なせませんので」


 何それーーーっ ドルドレンは愛妻の言葉にビビりながら、眉を寄せて一緒に家に入り、早く続きを話してくれと頼んだ。


 ミレイオのくれた食器に、料理をつけるドルドレンの横で、伴侶の料理に感激するイーアン。しかし、ドルドレンは気になって仕方ないので、お礼を言いながら『さっきの。教えてくれ』とせっつく。


 料理と不安が交互に混じる食事の時間。イーアンは『大変、美味しいです』と目を閉じてうっとりしつつ、最初にビルガメスの『危険な提案』から話した。ドルドレンは料理を食べながら話を聞き、言われて見ればと思うが、それでも空へ招かれていることに強い関心を持った。


「イーアン。俺もイーアンの立場なら同じことを思う。でも、今俺がどう思っているか。正直に言うなら、俺は是非行きたいよ」


「そう言うと思ったのです。私も逆の立場なら、命懸けでも行ってみたいと思います。そうです、だって。自分の愛する人の故郷で、決して立ち入ることの出来なかった場所へ、向こうから招いているのですもの」


「そのとおり。こんな機会は捨てられない。俺は行きたい」


 伴侶の切実な訴えに、だからー、とイーアンは顔をしかめる。美味しいお肉の料理を大きめに切って、ぱくっと頬張り、もぐもぐ食べると『美味しい。最高です』と満足そうに呟き、ごくっと飲み込む。そして『危険が伴うのです。何が起こるか、彼らも知らないのです。ちゃんと安全を確保して頂かないと』ダメよ、ダメダメと首を振った。



 それから、イーアンはハッとして『顔を洗わなきゃ』と突然洗面所へ立った(※肉料理で忘れてた)。すぐに戻ってきたイーアンに、どうしたのかとドルドレンが訊ねると『このやり取りで、ビルガメスにちゅーされて、かゆかった』と言われる。


「イーアン。ビルガメスにまで」


「ドルドレン、引かないで下さい。説明しますから。きっと羨ましくも何ともありません。まして、やきもちも起こらない気がする。ちゅーは、おでこと頬っぺたです。でも大きさが。尋常じゃない大きさの相手ですからね、ここら辺全体が埋まるのです。ぶちゅーって感じ」


「ぬ。それは。そうだ。そう思う。あのビルガメスの顔はイーアンの倍以上。背だってイーアンの3倍近いのだ。そりゃ、イーアンの小さな頬は埋まってしまう。ヨダレもすごそうだ」


「そこです。人間の唾液とは異なるでしょうが、乾けば、かゆいわけですよ。行為が嬉しいかどうかより、そっちが気になって仕方ないです。拭いたら叱られたし」


 ドルドレンは笑って食事を続け、頷きながら頬張る。『叱りそうだな、ビルガメスは』もぐもぐしながら、男龍の愛情表現?と、イーアンに訊くと『私に合わせたと言われました。面白がっているのと、思うに、彼らの信頼を表す口付け場所が、額とか頬では』の答えだった。


「どうしてビルガメスがそうしたか、と言うと。私が、安全を約束するまで譲らなかったので『自分を信じるように』と・・・もしくは、『私を信じているから』とか。何か分かりにくいですが、そうした意味での行為に感じました」


「そうなのか。彼らの口付けは、基本的に、肉体的な愛情を示す行為が伴わないから。分かるかも、それ」


うん、と頷くドルドレン。タムズもそんな感じだった。自分は肉体愛に走りかけたが(危)。


「そうそう。逆にね、私たちがなぜ、口に限ってするのかって。ニヌルタにも訊かれました。祝福は額、とあちらは思っているみたい。この話の手前の出来事を話しますと、彼らの赤ちゃんがいて」



 ここから、赤ちゃん部屋のことを話すイーアン。ドルドレンも想像したか、可愛いと微笑んで、自分もそうするだろうと伝える。イーアンもニッコリ笑って『ドルドレンも、沢山、愛情をあげたくなるはず』と、赤ちゃんの雰囲気を教えた。


 そして、赤ちゃんに祝福を与え過ぎたらしい、そのことから、先ほどの話しに続く流れを説明すると。伴侶は納得していた。


「大事なのだ。イーアンが知らずに行うことが、実はイーアンの生命に関わるとなれば、俺だって気が気ではない。

 タムズに及ばなくても、この地上で俺が任命されるなら、俺はビルガメスの指示に従いたい。俺もイーアンを守るのだ」


 優しく力強い伴侶に、イーアンは心から感謝する。そして自分の行いを反省。それを言うと、ドルドレンは微笑んで、イーアンの顔を撫でた。


「仕方ないのだ。龍の存在を理解することから始まる。最初の印象、彼らとの接触、付き合いから学ぶこと、これを日々体験しながら、決して覆せない厳しい存在の意味を自分にも当てはめる。それは簡単ではないよ」


 イーアンは伴侶の方がずっと早く、理解をしている気がする。いつもそう思うので、お礼を言って、自分は努力を続けると約束した。



 ドルドレンは食後、洗い物をしながら、今度はイーアンに自分の今日の出来事(ハイライト)を話す。横で食器を拭くイーアンは、聞いていて、伴侶の心境に動きが出たのが伝わる。


「手紙自体は、王が謝罪の場を設ける内容だけど。よく読めば、日はまだ決定していないし、とりあえず謝罪文だけ送ってきたというところかな」


「それ。タンクラッドたちも同行すると」


「うん、そう。一緒に行こうと誘った。彼らは、自分たちは関係ないと断ったが、俺は、この件で怒りのために立ち上がろうとした彼らは、既に関係していると思っている。彼らは仲間なのだ。同じ思いを持ったなら、動く時は一緒」


 伴侶の実直な言葉に、イーアンは微笑む。『そうですね。王様はすぐに分かると思います』お返事を出す時は、来場する全員の名前を書こう、と言うと、ドルドレンもニコリと笑って頷いた。


「俺たちの旅は始まっている。いつでも一緒だ」


そう言って、濡れた手を拭き、イーアンを抱き寄せてから『いつでも皆、一緒なのだ』と囁いた。

お読み頂き有難うございます。

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