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魔物資源活用機構  作者: Ichen
旅の準備に向けて
630/2952

630. 龍の子との質疑応答時間

 

 次の朝。イーアンは朝から空へ。


 出発前、ファドゥの連絡球を手に取ると、朝なのにすぐに応じてくれた。

 午前中は男龍に話を聞きに行くが、その前に寄りたいと言うと、快く返事が戻る。『もう来ても構わない』フラカラも呼んでおくと言われて、イーアンは最初にファドゥの家へ向かう話。



 支度を済ませ、伴侶に『午前は龍の皮について、午後は龍の民の町で』と予定を伝えると、『頑張って。ビルガメスに俺の龍の皮を』と両手を握られた。それについては粘ることを約束したイーアン。


「他の者は、別に放っておいても良い。ザッカリアだけはちょっと事情が違うから、俺の余りで、ベストでも作ってやれれば良いと思うが」


 ザッカリアは一応ありなのね(※ベストだけど)とイーアンは理解し、出来るだけ前向きに交渉することにした。


「あとは。オーリンに気をつけるのだ。彼は調子に乗るから。何かあったらすぐ、ファドゥでも(※伴侶認定:ママっ子)ビルガメスでも(※伴侶認定:良い人)呼んで、とっとと逃げてきなさい」

 伴侶の注意事項を守ると答えて、見送りに手を振り返しながら、イーアンはミンティンと一緒に空へ向かった。



 イヌァエル・テレンに入り、まっすぐ一枚岩を目指して飛ぶ。向こうから、龍が何頭かこちらへ来るのを感じたイーアンは、ちょっと目を凝らしてみる。無理だった。


「うむ。見えません。気配だけは、角のお陰で知ることが出来ます」


 ミンティンが警戒していないので、特に問題もなさそう。そのまま直進すると、それが誰か分かった。赤い龍が先頭にいて、ミンティンを見つけると寄ってきた。背中のイーアンを見て、ちょっと笑顔のように表情が動く。


「フラカラ」


 イーアンが笑顔を向けると、赤い龍は首をゆらゆら動かし、ミンティンの横について、そのまま一緒に飛んだ。イーアンは嬉しい。フラカラが迎えに来てくれたのだ。後ろからついて来た龍たちは、全部で5頭。彼らは誰だろうと思い、赤い龍に『友達ですか』と訊ねてみた。


 赤い龍が、ついて来た5頭の側へ進み、彼らもまたミンティンの周囲に並んだ。さながら、ミンティンを囲む会。


「こうして見ると。ミンティンの子供たちみたいです」


 そう。翼がない彼ら。伴侶たちが乗っている龍は、ザッカリアの龍以外は翼があった。やっぱり違ったのかと、イーアンは認識する。そんなことを思っていると、ミンティンが振り返り、イーアンをじーっと見た。


「むむ。お前。もしや私に、龍になるように促していませんか」


 まー、確かに。龍になれる場所まで来て、まだ龍に乗るのかとご本人に言われたら、それは降りた方が良い気もする。イーアンの質問は正解だったようで、青い龍は突然、背鰭を解いて高度を下げ、背に乗るイーアンは浮いた。


 慌てて翼を出したイーアンが『お前は前置きがないのですか』これ!と青い龍に注意するが、ミンティンは少しだけ振り向き、ぴゅーっとどこかへ行ってしまった(※自分でどうぞの状態)。


 6翼で飛ぶイーアンは、さっさと消えた青い龍を見つめ、それからフラカラたちの視線に気が付く。


「龍になることも出来そうですが。どうしましょう。なった方が良いでしょうか」


 自分が人間の大きさだと、フラカラたちも大きく見える。イーアンがそう訊くと、赤い龍は頷いたように見せたので、イーアンは『では龍になります』と答えて、彼らから少し距離を置いた場所で上がり、白い龍に変わった。


 フラカラと5頭の龍は大喜び。さーっと寄ってきて、首を擦り付ける。『これは。どうも咆哮を求められて』またですか、と思うものの。イヌァエル・テレンでは咆哮がOKと知っているので、一度だけ吼えた。


 皆さん大はしゃぎして、ワーッと寄ってきては、大きな白い龍に頭や顔をこすり付けて、もっとやって~を繰り返す。イーアンは朝っぱらから、ガオガオ吼え、吼え続けて一枚岩まで辿り着いた。



 さて、ここからどうするのか。一枚岩には、さすがに自分が入れる隙間はない。ちらっとフラカラを見ると、それを察してくれたようで、岩のさらに先へ導いてくれた。


 イーアンはここでようやく、一枚岩の全体像を知る。岩は、言ってみれば、突き出た岬のようなもので、岩の下は、開放された洞窟の状態だったと分かった。一枚岩が硬くて、屋根のような突出状のため、それを利用した中に、ファドゥたちの建造物があったのだ。


 この前もそう言えば、ここをくぐって皆で戻ったような。あの時は意識が別に向いていたから、ここの場所をよく見ていなかった。思い起こせば、そうだそうだ、となる。自分はここを通ったのだ。


 こりゃ良いや、とイーアンも思い、今度からイヌァエル・テレンに来たら、ここから入れば良いと分かった。


 フラカラたちと一緒に、いつもの反対側から入った、龍の子の町。鳥瞰図のようにじっくり眺めてみると、広い自然の中に大きな建物が所々、どーん、どーんとある以外は、それほど建造物が目立たない。彼らは、一つの建物がコロニーなのかもと思った。中国の円楼を思い出す。形は違うけれど、その中で生活が回る。


 それに飛べるということは、道路が要らない。道も要らない。つまり歩く場所に、あまり用がない。これはすっきりしているなと思う。家畜の放牧などもないし、やれ、船だ、馬車だと、そうしたものもない。ここの地面には家だけがあるので、それだけで雰囲気が違うものだと、しみじみ感じる。



 ゆっくり飛んでも、飛ぶとあっという間。あっさりファドゥの家近くまで来て、ここでイーアンは6翼に戻した。フラカラたちは次々に、ファドゥの家のバルコニーに姿を変えて降り立つ。


「あ。ここはファドゥの部屋ではありません」


 イーアンも入ったものの、違う誰かの部屋だった。迎えてくれたフラカラがイーアンを招き、『私の部屋』と微笑んだ。

 イーアンは幸せ。大好きな彼女の寝室って・・・(※ちょっと違う方向)少々ポッとしながら、有難く『お邪魔します』と呟いて、部屋の中へ進む。


 フラカラに意識が飛んでいたイーアンは、ハッとした。自分を見ている人たちと目が合う。フラカラが5人の仲間を紹介した。


「この前。イーアンが龍になったでしょう?あの時もいたの。でも挨拶していなかったから」


 背の高い5人は、男女。男の人が2人で、女の人が3人。皆、綺麗な顔をしている。この世界は、何か綺麗な顔に生まれる法則でも働くのかと思うくらい、高確率な美男美女出現に、心から羨ましいイーアン。


「カーレ・リベラ、クィーレ・レスペラトーリ、ジュマタテア、タチレア・メア、スフェントゥ・フォルタ。私たちは龍の子で、皆ここに住んでいるわ」


 フラカラは皆の名を紹介すると、『ファドゥを呼んでくる』と言って、部屋を出て行った。イーアンは6翼を畳み、しまおうとする。一人の女性がすぐに肩に触れ、見上げると『そのままで』と頷いた。


「あなたは。タチレア」


「はい。タチレア・メア。タチレアでも良いです。この前、イーアンの龍と一緒にいました」


 長く揺れる、光のように細い金髪が儚く見えるほど、シミ一つない真っ白な肌、滑らかな造形で作ったような細面の優しい顔。

 細い体に豊かなお胸があり、ひたすら羨ましい美人に、イーアンはちょっと照れながら『イーアンです。宜しくお願いします』と小学生のような返事しか出来なかった(※あっちの扉全開)。


「私は後から付いて行きました。あなたには見えてなかったかも。私はジュマタテア」


「ジュマタテア。そうですか。皆さんの龍の状態と、人の姿を覚えられるようにします」


 淡い亜麻色の髪の毛を一つに結び、少し褐色がかる皮膚の色の、目の大きな可愛い顔をした女性が微笑む。ちょっとシャンガマックを思い出す。

 可愛いですねぇ・・・(※やらしいおっさん状態)うんうん、頷くイーアンは、握手してまた照れる。


「カーレ・リベラよ。カーレと呼んで下さい。あなたと一緒に飛ぶなんて、信じられなかった。女龍が来てくれるなんて」


 灰色の髪の色は金色が混ざるのか、光り輝く金属のように見える。彼女の髪の毛は大きな波を打ち、肌の白さは薄緑色が入る。少しルガルバンダのような雰囲気があり、美しい上に強い目をしている。ルガルバンダの子供さんかと思うが、訊けなかった。


 カーレもイーアンの瞳を見つめて、ニコリと笑うと握手した。イーアン、朝から幸せ連発でお腹一杯。あ~ 女龍で良かった~(※使い道が違う) 自分のこの世界での立ち位置に、感謝するのみ(※美人に会える)。


 男の人も側へ来て、イーアンを見てから『私はクィーレ・レスペラトーリ。あなたはファドゥの母に似ていると。そうでしょうか』白い柔らかそうな髪を束ねた、しっかりした体の彼はそう訊ねたが、その言い方は、決して悪く取れるような印象はなかった。


 イーアンはその意味を知りたいので、少し黙って彼の続きを待った。

 もう一人の男の人がすぐに側へ来て、イーアンとクィーレの間に腕を伸ばす。『スフェントゥ・フォルタです。私のことはスフェントゥと呼んで下さい。彼は悪気がないのです。許して下さい』白い髪の色が同じで、兄弟のように見える二人を、イーアンはぽかんとして見つめた。


「許す?そんなことは言っていないよ」


 クィーレが、心外そうに顔をしかめた。イーアンも急いで『私は何も。気にしていない』と伝えた。ただ、話の続きがあるのかと思って待っていただけ、と言うと、クィーレもスフェントゥもくるくるした髪の女を見た。イーアンは誤解されないように答えた。


「ファドゥのお母さんと似ている、と言われることは多いです。ですが、そっくりでもないようです。顔つきなどの見た目が。どうも似ているらしいですが、私も知らないのです」


「そうでしたか。私はあなたが龍になった時のことを。似ているとは、ファドゥの母が龍になった時と近いかと思ったのです」


 クィーレが笑顔を向けて、そういう意味だったと言うので、イーアンも了解して『それは自分では分からない』と困ったように笑って答えた。



「そうだな。イーアンにそんなことを訊いても。彼女が知るはずはない」


 開けてあった扉の向こうから、優しい低い声が響いた。イーアンは振り向いてニコッと笑う。ファドゥもイーアンを見て微笑み、近くに来てすぐに抱き締めた。


「会いたかった。朝から会えて良かった」


「今日は急で。申し訳ないです。皆さんを紹介頂きました」


 体を起こして微笑むイーアンに、ファドゥは笑顔を送り、もう一度しっかり抱き締めた。『来てくれて有難う。とても嬉しい』素直な表現に、イーアンも笑顔。背中に回した手で広い背をとんとん叩いて『私も会えて嬉しいですよ』と答える。


「彼らも、あなたを楽しみにしていた。生きている間に、女龍に会えるだけでも私たちは心待ちだった。本当の気持ちを言えば、ずっとイヌァエル・テレンで暮らしてほしいくらいだよ」


 ファドゥはフラカラと彼ら5人を見て、イーアンの背を優しく押し、別の部屋へ移動する。どこへ行くのかなと思うと『皆で座れる場所へ』とファドゥは言う。


「あなたの話を聞けたらと、話していた。時間は限られているだろうが、それは可能だろうか」


「この後、男龍の所へ向かいます。それまででしたら問題ありません」


 ファドゥがイーアンと話していると、フラカラが横に並んで『ファドゥばっかり』と少し怒っている。ファドゥは当然のように頷いて『イーアンは私と連絡を取るから』と答えた。


「皆もいるのよ。一人で喋っていたら、折角の時間なのに、聞きたいことも訊けないでしょ」


「まぁ。そうだな。だが」


 答えに詰まるファドゥは、そのままフラカラを流して、イーアンとまた話し始める。イーアンはフラカラの機嫌が悪くなりそうで、そっちの方が気になった。ファドゥに受け答えしつつ、ちらっと見ると彼女は唇を噛んで怒っていた。


 うおっ 美人がお怒りっ これはマズイ。焦るイーアンはさっとフラカラに振り向いて『部屋に着いたら、何でも訊いて下さい』と笑顔を向けた。フラカラはさっと顔を戻して微笑む。180度の展開が早く、イーアンは安心した。



 廊下をずっと歩いて、迷路のような建物の中を進み、ようやく辿り着いた広間のような部屋。白一辺倒の彫刻と、大きく開け放たれた背の高い窓。揺れる白いカーテン。空の向こうの輝く青空。どこでも、白と青の世界なのねと、イーアンは静かに感動。


 ゆったりとした長椅子が並び、8人はそこへ座った。座るなり、ファドゥの側に、イーアンが居るのはおかしいと指摘されて、銀色の彼は眉根を寄せた。


「スフェントゥ。彼女は私の母にとても似ている。私は彼女を待ち侘びた。こうして会えたからには、いつでも側にいるのは普通だ」


「見た目がそうでも、イーアンはイーアンだ。ファドゥの気持ちは分かるが、今その場所に座られたら、話がしづらい」


 指摘は正しいような気がしたイーアンは、小さめに頷く。イーアン、端っこの席。ファドゥが自分の横で、イーアンの横に誰も座れないように、端っこ(※ママを守る、ウン百歳の息子)。長椅子は広いため、この状態だと対角線の端にいる方とは、ちょっと声を大きくする必要がある。


 せめてファドゥの位置と変わるように、とクィーレにも言われ、銀色の彼は渋りながらも席を変わった。フラカラは真向かいなので、ファドゥが動いたのと一緒に、横のカーレを押し退けて座った。カーレが少し冷たい視線を投げたが、フラカラは気にしなかった。



 そしてようやく、質問タイム。皆さんの質問に一つ答えると、そこから新しい質問が出て、それに答えると、応用系の別の質問が飛ぶ。イーアンは忙しく彼らの問いに答え、ファドゥを除く6名と話し続けた。


 内容の全体的な印象は。答えにくいことが沢山だった。


 ①どうして女龍になれたのか。これが一番、難しい質問だった。多分、そういう運命だからとしか思えなかったが、説明が具体性を欠くようで、何度も訊かれた。


 ②龍の子だった時は、女龍になる前の兆しがあったか。これも自覚がないので、どう答えて良いか悩んだ。言われてみれば・思い起こせば、の範囲でしかなく、その時は『龍の子』が何かも知らなかった。


 ③中間の地で龍になる時は、どういう負担があるのか。これは答えやすかったが、ではあれは、これは?と訊かれると、試したことのない方法は、返答を曖昧にするだけしか出来なかった。


 ④普段はどんな練習をしているのか、とも訊かれた。会うと龍気が増えているらしい。フラカラもファドゥもそう言うので、イーアンは、自分の龍気は分かっていないと前置きし、練習は時々、体を変えることくらいだと話す。


 ⑤男龍たちと一緒にいるけれど、彼らの卵しか孵さないのか、の質問も出た。これまた、答えにくい。ファドゥが肩を抱き寄せて『イーアンは私の卵は孵してくれる』と言い切ったので、複雑に頭を悩ませた(※そうだけど、そう言ったけど、でもそれまだ微妙で・・・×繰り返し)。


 ⑥タチレア・メアからのお誘い質問=『私たちと一緒に卵を孵す?』これは新しい卵問題である。即答出来ず、イーアンは固まった。ファドゥがやんわりと流してくれたが、タチレアは、静かな表情から想像できないほど、しつこく粘った。


 その他、呼応の使い方や、相手への共鳴の様子を確かめられた。イーアンが思うに、どうも龍の子は、それらが難しいらしかった。

 そしてもう一つはっきりしたのは、ここにいる6名は男龍・女龍になりたい意志があることだった。



 最初にここへ来た時。ファドゥに質問したオーリンの答えとして、『龍の子は増幅できないため、()で体を変えられない。受け入れて共鳴させる力は、龍の子の範囲の力にはない』と話していた。


 龍の民オーリンは、共鳴する。あれはなぜ?と、イーアンはこの時に思ったが、ただ単に、()()()()()()なのかもしれない。


 龍の民は、人間の体を変えることは出来ず、龍と一緒に生活する。だからもしかすると、彼らが龍と共鳴するのは、持って生まれた必要があってのことかもしれなかった。


 しかしファドゥたち龍の子は、共鳴と増幅が出来ない。彼らは人から龍になれるし、龍気を誰かに与えることは出来るようだが、呼応して高めることまで届かない。それは単身で龍になれるからか。


 そう思えば。チェスでいう所の、龍の子・彼らはナイトなのだ。強いし、動ける範囲も広いが、その駒を置ける場所は限られている。余談だが、イーアンは、クィーンが好きだった(※でもイーアンは、チェスや将棋は滅法弱い=頭ついてかない)。 



 もしや、と少しここで思った。女龍になる練習を積むフラカラ。彼女は、共鳴を覚えて増幅が出来れば、龍になるのも可能なのでは。そんなことが脳裏に浮かぶイーアン。


 でも、これを彼らに質問する気になれなかった。すぐに、とっくにそんなこと考えているだろうと思えた。それが彼らの種族的に出来ないから、さらに強くなりたくても、そこまで()()()()現状があるのだ。


 ちょっとフラカラを見ると、彼女と目が合って、金色の瞳が優しく微笑みを讃えた。イーアンはメロッとしたが、そうではなく(※美人に弱い)何か・・。彼女の願いを手伝える方法を探したいと、改めて思った。



 イーアンがそんなことを考えていると、タチレアはイーアンに『もう少し時間はありますか』と訊ねた。ふと顔を上げて、その理由を訊くと『一緒に卵を孵す部屋を見てもらいたい』と言う。


 なぬ。私が、卵ちゃんたちのお部屋を訪問と。何となくたじろぐイーアンに、ファドゥは少し間を置いてから『行こう、イーアン』と背中を押した。急いで振り向くと、ニコッと笑った銀色の彼は囁く。


「子供たちが可愛い。()()()()子供が生まれるのも想像できる」


 ぬはーっ それはマズイ表現でしょうっ!! イーアンが目をかっぴろげて言葉を失うと、ファドゥの意見に、クィーレとスフェントゥも満面の笑みで賛成した。


「そうだな。見てもらった方が良い。彼女はまだ、卵も子供たちも知らないようだから」


「見たら、自分も孵したくなる。私たちの卵を孵すのも思い描けると違うだろう」


 イーアンは逃げ場を失い、さっとフラカラを見た。逃がして!と視線を向けると、フラカラは微笑んで『私も孵したことがある。見たら可愛いと思う』と前向きな発言。この後、皆で卵部屋へ移動することになり、イーアンは何となく引け腰で連れて行かれた。

お読み頂き有難うございます。

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