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魔物資源活用機構  作者: Ichen
空と地下と中間の地
583/2952

583. 親方の、総長と交渉・笛と龍

 

 突然、親方を連れて戻った愛妻(※未婚)と、丁度、広間に降りてきたドルドレンは鉢合わせる。ドルドレンは、なぜタンクラッドがと少し驚いたが、『話がある』と大真面目な顔で言われたので、一応、躊躇いながらも了解した。



「こんなに早くから。どうしたのだ。魔物か剣か。他の何かか」


「俺の生命の危機に関わる」


 なにぃ??? タンクラッドの悲しげな瞳に、ドルドレンの目がむく。イーアンは項垂れた(※ご飯作り=生命の危機)。


「ちょっと待て。タンクラッドは病気でも見つかったのか?イーアン。工房へ食事を運ぶ。火を熾しておいで。食事は俺が運ぶから」


 慌てる伴侶に申し訳なくて、イーアンは自分が運ぶので、先にタンクラッドと工房へ行ってほしい、とお願いした。いや、だって、と焦る伴侶をどうにか落ち着かせ、何も言わずに、溜め息をつき続ける親方と一緒に、工房へ行ってもらうよう促す。


「先に話を聞いていて下さい。私もすぐに行きます」


「分かった。重かったら、誰かに手伝ってもらいなさい」


 深刻そうだと判断し、ドルドレンは頷いてタンクラッドを連れて工房へ。イーアンも急いで、食堂へ行った。



 工房に入ったドルドレンは、タンクラッドを座らせて、自分は暖炉に火を熾す。それからイーアンがいつもやるように、水を表から汲んで、暖炉の中の鉄棒に鉤でかけた。


「どうしたのだ。何があったのか、聞いても良いのか」


「まずは最初に。笛を2つ作ったことを知らせておく。イーアンに持たせてある」


 ええっ 出だしが『俺の後は宜しく』系。ドルドレンは困惑しながら、火の世話をしてタンクラッドの表情をちらちら見る。


「元気がない。具合はどうなのだ。数日前はイキイキしていたような記憶がある」


「今は。そうでもない。今朝、打ちのめされたばかりだ」


「今朝?早くに異変が見つかったのか?それでイーアンを呼びつけたのか」


「総長。俺がこの話をしても、今日笛を吹いて、龍が来るのを確認するまでは、俺も居させてくれ」


「どうしたのだっ 一体何がお前にあったのだ。居させるが、そんなのは構わんが。もう短い命なのか」


 旅の仲間で、時の剣を持つ男って。代わりなんかいるの~?ドルドレンは心配が募る。こんな運命設定あるんですか、と精霊に聞きたくなる。目の前の男は少し、うっすら涙も浮かべて溜め息を吐く。


「聞かせてくれ。タンクラッドに何が起こった。俺が出来ることがあれば言え。俺も手伝う。どこか痛むのか?イオライセオダの病院じゃ治せないのか」


「俺は。生き延びられるかどうか。もう分からないんだ」


 ドルドレンは腰を抜かしそうになる。慌てて剣職人に駆け寄り、その椅子の横に座り、剣職人の腕を撫でて、俯いた顔を覗き込む。イケメンは寂しそう・・・可哀相になって、理由を言うように繰り返した。



「イーアンが。もう。俺の家では料理できないと」


 ぼそっと呟いた言葉に、ドルドレンはピタッと固まる。『え?』もう一度言ってくれ、と我が耳を疑う。


「騎士修道会の規則で。個人に関われないという。だから二度と、俺の家で料理はないだろうと」


「う。む。ぬう・・・そう。そうかも、な。で、それとタンクラッドの命の危険は、どう繋がるのだ」



 そこから、タンクラッドはぼそぼそと総長に、胸の内を打ち明ける。ドルドレンとしては、どう受け止めて良いやらの悩み相談。


 この男は今。俺の奥さんの手料理が食べられなくなる悲しさを、その旦那の俺に相談しているわけで・・・・・ 奥さんがお礼で気楽に作っていた料理に、いつの間にか自分の生命の源まで預けていたと。それを旦那である俺に『また作ってもらいたい』と言い続けている・・・・・


 戸惑い100%のドルドレン。時々固まりながらも、我に返って剣職人の切実な(?)打ち明け話を聞いた。

 答えに困っていると、愛妻(※未婚)が盆を持ってきて、後ろのブローガンがもう一枚の盆を持って入ってきた。


「何だか、タンクラッドさんの元気がないと言うので。急ごしらえですが、これ良かったら」


 心配そうな部下は、突然朝っぱらからやって来た剣職人の具合を心配し、粥のようなものも増やしてくれていた。総長は有難く礼を言い、ブローガンを戻す。扉を閉めて、ちょっと振り返ると、頭を支える愛妻と目が合った。

 まさか本人も、ここまで深刻になるとは思っていなかったと理解する。すまなそうに瞼を閉じる愛妻に、ドルドレンもどうして良いのか分からない。


「イーアンは、ええっと。この前の話をしたのだな?それで、タンクラッドがこれか」


「はい。私がお礼と思い、喜んで頂けるのを嬉しくて、続けた行為がこの結果」


 自覚はあるらしいことに、ドルドレンも小さく頷いた。だから言ったのに、とは思うが、それは黙っておいた。

 まさか愛妻も、ここまで重大な事態になるとは思いもしなかっただろう。相手が純粋過ぎだ。

 これが非常に稀な結果のような気がするのは、自分だけではないはずとドルドレンは思った。客観的に見て、料理を作った結果がこれは。『生命の危機』って。


 少し考えてから。じーっと自分たちを見つめる、イケメン職人の寂しそうな瞳を見つめ返す。


「あのだな。タンクラッド。まあ、まずは食べろ。体に異常ではなく良かった」


「異常が起こるんだ。これから」


「宣言するな。宣言は危ない。そんなことを言ってはならない。良いか、聞くのだ」


 とにかく3人は食事を始める。食事しながら話そう、と決めて、沈黙も料理のうちに入れておく。愛妻は申し訳なさそうに、俯きがちに食べている。タンクラッドは料理を食べながら『すまないな』『気を遣わせて』と小声で落とす。咳払いして、ドルドレンは話す。


「イーアンに話したのは。直に個人相談に乗ることや、その相談に関わるといけない、と。そうしたことだった。この前、そういう相手だったのだ。

 そこでタンクラッドの話も出た。以前、市場へ買出しへ行ったのだろう?その時、お前に言われた言葉で、イーアンは『慈愛の会』とした言葉を口にした。これは、騎士修道会の業務内容に関わる一言だ。


 タンクラッドは、その発言に深い意味はなかっただろうが、俺たちがそうした、線引きの曖昧な活動をしていると思われると大変なのだ。人数も限られているし、そもそも個人は範囲じゃない。


 だが、イーアンは騎士ではなく、作り手だ。工房を運営すれば、修道会の中とはいえ、騎士とは異なる個人との繋がりも生まれる。

 その最たる位置が職人だ。次は業者だろう。それを思慮すると、個人的な繋がりと業務が重なるイーアンの職業上の立場は、全てを規制することも難しいのだ。分かるか」


「分かる。その範囲がどこまでか。それはイーアン自身の行動にかかってくるな」


「ということだ。イーアンが騎士修道会の所属である以上、動きの範囲は、彼女の見解に重きを置く。菓子を作って持って行くくらいなら、北西支部(ここ)は店も近くにないし、そういう礼もあると思える。

 これが料理を、相手の家で作るとなれば。それはどうだ?一度ではないのだ。行く度に、その個人だけに施す行為としては」


 タンクラッドは目を伏せた。イーアンも目を伏せる。総長の個人的な感情を抜きにして、規律真反対のやってはいけない行為を続けていたと、今更二人は、各々自覚中(※個人的な感情には立ち向かってた)。


「イーアンは。この感覚を分からなくて当たり前だ、と思った。彼女は以前の世界でも、こうした団体に勤務していない。個人で仕事をし、個人の繋がりで仕事の有る無しが決まるからだ。ここで急に言われても、仕事が職人業である以上、ピンと来ないだろうと思った。

 タンクラッドは分かるかと思ったが、それはお前が単に、理解が早そうだったからだ。でも。タンクラッドも違ったようだし。俺はなんと言えば良いのか」


 タンクラッド。目に見えて項垂れている。ブローガンのお粥をちょびちょび口に運び、『これも美味しい』と呟いていた。そして総長を見ずに、質問する。


「ダメ。ダメなのか」


「それを俺に訊くのか。俺より10以上も上のお前が。俺に」


 剣職人も駄々を捏ねる。それを知って苦笑いのドルドレン。あんなに強気で命令がちな男なのに。ちょっと可笑しくて、(ついで)に言いたかったことを付け加えた。


『もう一つな。俺の奥さんだ、イーアンは。彼女の料理を今後も食べたいと、お前はその旦那に相談しているのだ。分かってないかもしれないけど』灰色の瞳が覗き込むと、さっと顔を上げた親方の目が合う。ビックリしている。やっぱり・・・普段はあれほど自慢げに『あれ食べた、美味しかった』と話すくせに、こうした深刻な状況だと分かってない、と知る。


「そうだ。そう、そうか」


 親方の困惑する言葉に、ドルドレンはもう笑いを堪えられなくて、たまらずに笑い出す。ここまで天然だと、責めるのも違うし、怒るなんて出来ない。横を見ると、イーアンも苦笑いしていた。



 結局この後。ドルドレンは丁寧に、二人に言って聞かせ、よく理解したであろうと確認した上で『度々なら、良いんでないの』と結び、笑って終わった。


「ミレイオは違う方向で、イーアンに作らせることを習慣にするな、と言った。彼女自身にも習慣化をやめろと。そうしたことも交えて、よく考えた上であれば。()()()()作るくらいは、問題ではないだろう」


 イーアンには話していないが、ドルドレンは、知っていて見逃している部下のこともある。


 厨房担当の部下たちの中には、休日に出先の町などで、老人や、子供の多い家庭に、食事を作ってやる者がいる。何かのきっかけで知り合った相手だろうが、ちょっと支部から余りの食材を運んで、そんなことをしているらしい。


 それがなぜ耳に入ったかと言えば、相手がお礼に来たからだった。ドルドレンもそれには笑って対応するしかなく、そこだけの話しとして終えた。以後、続いているような気もするが、ドルドレンとしては範囲内であれば、見て見ぬ振りをしている。

 ドルドレンが思うに、きっと料理の腕が良い者は、そんなことで喜んでくれるならと、他人の笑顔に自分の料理を振舞いたい気持ちが働くのだろうと。それはベルもそうだったし。部下もそう。イーアンもそうなのだと捉えていた。



 こんなことなので、3人は食事を終えてから、時計を見ると8時を回る頃になったのもあり、食器を片付けて一緒に表へ出ることにした。


 ドルドレンは、シャンガマックとザッカリア、フォラヴを呼んだ。もれなくギアッチも付いてきた。イーアンが笛を渡すと、先の二人は満面の笑みで喜んだ。ギアッチも一緒に喜んでいるようだったが、どこか心配そうに見ていた。


「俺。これ吹いて良い?」


 ザッカリアはレモン色の瞳をきゅーっと大きくして、総長に許可を取る。総長が吹いてみるように言うと、息を吸い込んで、空へ向けた笛を勢い良く吹いた。


 空は白く穏やかに光り、小さな点が現れて、それはどんどん近づいてきた。ザッカリア、大興奮。両腕を振って、降りてきた龍を迎える。そしてちょっと止まる。全員、ちょっと止まる。


 やって来た龍は、ミンティンの小型版のような形で、翼がなかった。色も変わっていて、透けるような体で乳白色の鱗に丸い青い点がたくさん付いている。頭の2本の角は少しイーアンに似て捻れ、背鰭も棘のように長く、宙に揺らいでいた。


「お前が俺の、俺の龍なの」


 ザッカリアは龍に近づいて眺め渡す。龍は細い顔を向けて、首を下げた。『乗って良いの』ザッカリアが訪ねると、龍は鼻先でザッカリアの背中を、自分の肩に向けて押した。


 嬉しいザッカリアは、よいしょっと跨って『お前は綺麗だね。とても綺麗。何て綺麗なんだろう』と笑顔で撫でた。龍は少し嬉しげに瞬きして、うん、と頷いた(※周囲、ちょっと驚く)。


「乗りやすいよ。落ちなくて済みそう。翼だと掴まれないけど、この龍は背鰭が太いから掴めるもの」


 ザッカリアがギアッチに感想を伝えると、ギアッチも一安心した。続いて、シャンガマックが笛を吹く。シャンガマックには、あの龍が来て、彼もまた騎龍する。


「この際だ。全員、龍を呼ぼう」


 タンクラッドも復活したし、と笑みを浮かべて呟く総長に、タンクラッドはちょっと恥ずかしそうに笛を吹いた。総長も笛を吹く。フォラヴも吹いて、5人全員が龍を迎えた。離れた場所から、集まってくる龍を見ていた騎士たちは、5頭の龍が揃った様子に見入っていた。こうなると、総長は自慢したくなる(※総長以下同様)。


「イーアン。呼ばないのか」


 騎龍したドルドレンに訊かれ、イーアンは意外そうに答える。『私。私の笛は元祖ですもの』吹かなくても、と複製の性能確認不要と伝えた。


「ミンティンを呼ぼう。一緒に空へ出るのだ」


 イーアンはドルドレンを見上げる。ノリだと分かる、キラキラした笑顔。さっと皆さんを見渡すと、男の子のロマンを眼差しに込めた、わくわく視線を送られた(※5人中、男の子は一人のみのはず)。


 分かりましたと、イーアンも笛を吹く(※中年女性はノリが薄い)。多数決ですね、と呟きながら、ミンティンがやって来るのを待ち、青い龍がのんびりやって来たところで、イーアンも摘ままれて乗せてもらった。


「圧巻だ。6頭も龍が。それも北西支部にいる。そして俺が乗ってる」


 嬉し過ぎて、ドルドレンがちょっと破壊気味の興奮具合。イーアンは微笑みながら、下にいる皆さんを見守る(※ミンティンが一番大きい)。


「はい。ではどうしましょう。揃いましたので、少し飛びましょうか」


 促すと、イーアン他5名は笑顔丸出しで次々に龍を浮上させる。30分前まで、余命を危ぶんでいた親方まで(※最年長47才)なぜか笑顔を青空に向けていた。

 皆さんが勢い良く浮上し、空に飛び立つのを見て、イーアンもミンティンを浮上。『皆、嬉しいのです。龍がいると、人は幸せなのですね』青い背中にそう言うイーアンの声に、ミンティンは振り向き、ニコッと笑った。


 目を丸くして見つめたが、ミンティンが前をすぐに向いたので、イーアンは質問しないで済ませた(※訊いても教えてくれない)。そして、青い龍は、5頭の龍が飛ぶ後ろについて行く。



 イーアンは思う。大体、こういう感じの流れでは。『誰が一番早いか』とか、そんな競争が始まるのだ。短い学校時代、常に男性には、そうした傾向の競争精神が見られていたことを思い出す。きっと『一番○○~』『世界一○○~』のフレーズは、彼ら男性の、永遠のキャッチフレーズに使えるのだ。


 後ろからのんびり飛ぶミンティンとイーアンは、きゃっきゃきゃっきゃと前で楽しそうにはしゃぐ、平均年齢36才(※28・33・36・47)の成人男性4名と、この場合、最もはしゃぐのが似つかわしい年齢の(※推定10~11才)子供を見つめる。


 見ている前で、突然シャンガマックの龍が加速した。あら、と思って先を見ようとすると、ドルドレンの龍も追いかける。と同時にタンクラッド、ザッカリア、フォラヴが続いて加速し、一気に先へ飛んだ。


 ミンティンはじーっと、小さくなる龍たちを見てから、イーアンを振り返る。『どうする』と云わんばかりの目つきに、イーアンは微笑む(※楽しくて良いんじゃないの~・・・の気持ち)。


 前方から、まるで部活動のような、男子の高らかな笑い声が響く。空に、男子の笑い声が響く日が来るとは。ハイザンジェルの民の誰が思っただろうか。イーアン、龍の影響力に感心する。



 彼らは初めて乗るし、きっと本当に自由を感じてハイテンション。イーアンも最初はそうだったので、そっと彼らを見守る(※もう見える位置にいないけど)。


「私たちはこのまま。ゆっくりしましょう」


 そんなイーアンは午前の日差しを受けて、暖かさにまったりする。ミンティンもまったり。二人でふわふわしていると、向こうから何かが光って近づいてきた。



「すまない、イーアン。うっかり置いていってしまった」


 ドルドレンの龍が戻ってきて、ドルドレンがその背中から、すまなそうに叫んだ。あら、良いのよ・・・そう言おうとしたイーアンは、突然の加速に驚いて背鰭を掴む。ミンティンがもの凄い勢いで急加速した。


「ミンティン。どうしましたか」


 青い龍は、向かってきたドルドレンの龍の真横を、一瞬ですり抜け、そのまま加速し続ける。『うえ~!!ミンティンどうしたの。止まって』なぜ加速しているのか分からず、イーアンは背鰭に掴まって頼むが、青い龍はどんどん速度を上げて聞いていない。


 そのうち、イーアンの胴体に巻きつけた背鰭が(おもむろ)に締められ、ぐいぐいと引き上げられ始めた。『まさか。この速度で私に立てと』敵もいないのに??なぜ?!イーアンが抗議しても、イーアンは結局、背中に立たされる。


「どうしたのです。危ない、危ないです。こわいっ 絶対離さないでっ」


 ひえぇ~っ 叫びながら、時速が世界最高アラブのジェットコースターを超えた速度で、イーアンは恐ろしさに怯えっぱなし。龍はカクンカクン角度を変えて、空を駆け巡る。


「凍るっ!凍りますっ、うわっ す、滑るっ、危ないっ!! 寒い、冷たいっ ミンティン、いつまでこんな速さで」



 どんなに言っても聞いてもらえず、イーアンは震える。ハッと気が付けば、目の前にフォラヴたちの龍の姿。ミンティンが、彼らを探して猛スピードで(※猛スピード過ぎる)飛んでいたと、ようやく分かった。

 振り向いた彼らの龍の中に突っ込んで、青い龍は蹴散らかす(※ガラ悪い)。牙をむき出し、小型の龍に顔を一瞬向けると、そのまま一気に上昇した。



 イーアンは連れて行かれ(※どこ行ったか分からない)。蹴散らかされた龍たちと、後から戻ってきた総長の龍は、ミンティンの気持ちを考えた。

 それは、乗り手の皆さんも同じで、『きっとミンティンは、自分が一番だと教えたかったのかもしれない』とした意見で落ち着いた。

 ドルドレンは言わなかった。自分が『置いていってしまった』の言葉をミンティンに言ったこと。あの一言で、多分、ミンティンはカチンと来たのだ。青い龍の目つきが鋭くなったのを見たドルドレン。自分の言葉がまさか、愛妻をどこかへ連れて行ってしまう事態に発展するとは思わなかった。


 イーアンはそのまま、帰ってこなかった(※被害者)。


 空の上で待っていたが、10分立っても戻らないので、皆さんは北西支部に戻る(※そのうち戻ってくるだろうとした意見)。親方はそのままイオライセオダへ帰り、騎士4名は支部へ戻って、群がる仲間に大いに自慢話をして、楽しい午前を過ごした。

お読み頂き有難うございます。

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