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魔物資源活用機構  作者: Ichen
烟雲の如し
2543/2964

2543. 証拠の銃再現・ザッカリアの残した予言・翌朝の緊張

※今回は長めで、6700文字と少しあります。お時間のある時にでも。

 

 ルオロフがイングに尋ねる。


「私のあの者への挑発は、あなたの役に立ちましたか」


 イングは見下ろしながら、『()()を見せてやろう』と片手を浮かせた。

 青紫の片手、そこから靄が生まれ、靄はあれよあれよという間に、金属筒が組みあがって長筒銃に変わる様子を映し出し、最後に血まみれの布袋と一緒に、どさっと床に落ちた。


「銃、ですか」


 目を丸くするルオロフに、イーアンが頷いて屈みこみ、『粗布に入れます』とイングに頼む。粗布もバサッと現れ、イーアンは長筒銃と黒々した血の袋を包んだ。


「これが証拠品でしょう。イングは再現しました。あなたが僧兵を煽り、想像した僧兵の思念から、再現魔法で現物にしたのです」


「なんてすさまじい。いえ、意のままに魔法を使いこなす御方に失礼な発言ですが、これをすさまじいと言わず、何と言えば」


 一度は、この世から消えた物質を・・・ でも、このダルナとイーアンで、アイエラダハッド復興・ティヤー開戦後の再現をこなした話を思い出し、ルオロフは『偉大です』と褒め称えた。

 見上げて感嘆を伝えた若者に、青紫の男は今回の思惑を教える。



「ルオロフ。銃の再現は済んだが、もう半分、俺の期待があった。それを聞くか」


 この問いに、はたと止まったルオロフは頷き、イングは続けた。


「神殿と僧兵の繋がりを決定する言葉だ。煽れば出そうに思ったが、なかったな。俺の期待は、お前の知る由ないことだ」


 仕方ないとばかりの言葉だが、青紫のダルナに理解をもらったルオロフは・・・『申し訳ありません』と謝った。


 僧兵であることだけは、口頭のやり取りで確認に近い状態を作ったけれど、決定打になる何かには遠く判断に難しい。だが、期待されていたと知ったルオロフは、率直に謝るだけだった。


 そんな赤毛の若者に、イングは何とも思わないが。イーアンは、違う。


 ルオロフの側へ行き、両肩に手を置いて、自分を見る若者に微笑み『有難う』とまずお礼。

 あんなに酷い言葉を投げかけられても、貴族然とした振る舞いで撥ねつけ、普段は決して私たちに見せない一面をさらしてくれた。

 無理をさせたかもと、イーアンはすまなく思う。それを丸ごと受け入れてくれたルオロフに、頭が下がる。


 ルオロフはすまなそうに微笑み、頷いて『お役に間に合わず』を言いかけ―――


「イーアン」


「謝らないで下さい」


 イーアンはルオロフをぎゅっと抱きしめ、手が浮くルオロフは少し恥ずかしいけれど。イーアンをそっと抱き返して『すみません』とやはり謝った。初めてルオロフとして・・・ヒューネリンガの館で、再会を果たした時のような気持ちが沸き上がる(※2419話参照)。


「いきなり頼んだことを、嫌な顔一つせず良くこなして下さいました。充分ですよ」


「協力は当然だけど、私は」


「充分です、ルオロフ。有難う」


「・・・はい。その」


「有難うね」


 イーアンは抱きしめたまま、顔をルオロフの胸に伏せてお礼を言った。ルオロフは、女龍の背中を抱きながら『はい』とちょっと申し訳なく、ちょっと照れて、答えた。

 見下ろせばすぐ近くに、白く立派な長い角がある。世界の空を統べる存在なのに、こんなに小さなことで、この人は私を思いやってくれる。

 家族みたいなものだと言ったイーアンの言葉(※2514話参照)がじわりと胸に沁みる。私は、イーアンの息子でもいいかな、と思ったところで、イーアンが小さく溜息を落とした。



「イングが期待したのは・・・僧兵が銃のみならず、『()()の製図を作った』のもあって」


 この話はまだしていませんでしたと、イーアンが顔を上げる。え・・・ルオロフは瞬きし『動力』と繰り返した。

 女龍は、赤い布のかかる籠を振り向き『明日にでも皆に伝えますが、二回目の会話はその話題だった』と続け、これをさっきイングにも伝えたため、強い決定打を期待したのですと言った。


「動力の製図。あの男が作ったと言うんですか」


「そうらしいです。裏付けの話は複雑で長引くため、時間のある時にと思いまして」



 *****



 ルオロフ一回目の対話は、銃の回収。

 神殿との関りが分かる証拠までは難しく、話は終了したが。

 思いがけず、それを知る者がすぐそこにいるとは―――



 ルオロフがクフムの部屋に戻り、オーリンにお礼を言った後。クフムも起きていたので、オーリンが出て行き、ルオロフもクフムに『今日は休む』と挨拶をした。


「すまない。話を聞いてもらっていいかい?」


 少し躊躇いがちなクフムが尋ねたので、扉に手を掛けたまま振り向いたルオロフは頷く。寝台に座っていたクフムは立ち上がり、『中で話した方が』と一旦、戸を閉めるよう手真似で示し、ルオロフは部屋に入って扉を閉めた。


「なんだ。何か気になることでも」


「どうか考えていたことがあるんだ。やはり誰かに話しておこうと思って」


 勿体ぶる言い方に、ルオロフは少し怪訝を感じる。さっと見渡し、部屋の中に僧侶服がないことを確認。

 クフムも、神殿に行くのでなければ、一般人の衣服を着用しているので、()()()()()聞き耳を立てられることはない、と判断したルオロフが『話してくれ』と促した。



「ザッカリアから聞いたかもしれないけれど」


「ん?ザッカリア?何を」


「そうか。彼は私にしか言わないでくれたのかな」


「クフム、ザッカリアに?」


「そう。その、私が『動力の知恵』の」


「待ってくれ。ちょっと、待て」


 また、()()・・・?とりあえずマズイ話だと気づき、ルオロフは自分の唇に指を一本立て、不安げなクフムに黙るよう伝え、寝台脇の机にある紙とペンを引き寄せ、筆談を求める。ハッとしたクフムは、『ごめん』と謝って頷き、ここから筆談。


 その内容は――― ルオロフも、走るように書かれる文字を追いながら、目を疑う。


 まさか。まさか?



 クフムが書きながら、ちらちらとルオロフを見て『あなたにしか言わないが、それはあなたが旅の仲間じゃないから』と小声で添え、それもルオロフはすぐ指を口の前に立てて、首を横に振って遮る。うんうんと、困った顔で頷くクフムからペンを借り、ルオロフも紙の下部に質問を綴る。


『いつ、とは分かるのか』


 時期を尋ねた文に対し、クフムもペンを受け取り『分からない』と正直に答えたが、急いで続きを書く。


『仲間に止められることがあれば、乗り越えてほしい。必ず、自分が今から話す現実に続く(※2444話参照)、と。ザッカリアはそう言った』


 視線が重なり、クフムの真剣な表情が、信じてくれと声を出さずに口を動かす。ルオロフも小さく頷き返した。



 ルオロフは唾を呑む。本当か。


 クフムがアイエラダハッドで使った設計図――― ゴルダーズ公の船の動力の、設計図を描いた僧侶。その男が、クフムと出会い、立場交代を望むとは。


 クフムは僧兵が、今も近くにいるのを()()()()()()()()

 ピインダン地区神殿でも、早々に引き離されたクフムは、司祭にトゥの話ばかりされていたらしいから、『件の僧兵』は『事件と関わった人物』程度しか思っていないだろう。



 あの僧兵がそうなのか。こんなことをするのが何人もいるわけがない。


 衝撃的な打ち明け話は、ザッカリアによる予知と聞いて、ルオロフは毛頭疑う気もない。とすれば、だ。


 矢継ぎ早に繋がる、続きがある。イングが私に期待した、もう一つの成果。


 あの男が、動力・銃・兵器の製図を描いた時期、神殿と修道院でクフムがそれを受け取る事実が、神殿との繋がりを確定する証拠に。


 だがこれとは別に、ルオロフの内側に嫌悪が湧く。あの男が、クフムの代わりになど・・・・・



 *****



 ルオロフは部屋に戻る前に、クフムと相談した。


 交代の予告(この話)・・・旅の仲間ではないルオロフだから打ち明けたと、彼は言ったが、何が障害になるか分からず、その上、クフムが障害を乗り越えるためには、仲間がザッカリアの予知を知っておかないとならないのでは?と、そこから切り込み、躊躇うクフムに『私から皆に伝えてはどうか』提案した。


 ルオロフは更に注意を増すように『サブパメントゥがうろついていて、迂闊に喋るのも危険』とし、不安を浮かべたクフムの目を覗き込み『この瞬間も()()()()()()んだ』と囁いた、結果。


 クフムはルオロフに頼むことになり、ルオロフは朝が来たら話すと決めた。



「ザッカリアから、口止めされてはいないようだし。それもそうか、交代するとなれば。ザッカリアは自分の予知が前以てある以上、皆がクフムを疑わないと解っている・・・あの子は本当に凄い子だ。賢いし、先を読む力の使い方が上手い。って、当たり前か」


 部屋に戻ったルオロフは、声にしない独り言でザッカリアに感心し、また彼に会える時が来てほしいと思った。

 ・・・狼男の時、ビーファライと名乗っていた自分に、精霊の祭殿に於ける希望を教えてくれたのは、ザッカリアだった(※2142話参照)。


「ザッカリア。君は留守でも、旅の仲間を導くんだね」


 でも、クフムと交代するのがあの男なんて、いくら何でも酷くないか?とルオロフは溜息を落とす。

 私が直に関わったから、こう思うのだけど・・・あんな男が何の役に立つのか。まだクフムの方が、と寝付けない赤毛の若者は、もう一つ思うこと、他にあり。



 ―――クフムを()()にと、言われそうだな。


 早く皆に教えなければいけないが、『クフムを証人に、僧兵と神殿の関りを決定する』方向へ、イーアンたちが考えないとも限らない。


 だがそれは、大して効果がないと思う。


 クフムが設計図の受け渡しをしたのは、随分前のことで、仮に相手の顔を覚えていても・・・公の場で僧兵が認めるとは思えないし。

 それに、クフムが私たちと常にいるからこそ、証人として連れてきたとなれば、神殿は私たちの息のかかったクフムの言葉を、嘘だと言いのけるだろう。同行(それ)以外の関与で、赤の他人のために『危険な証人』を名乗り上げるなんて、普通はしないのだから。


 こうしたことを思うと、最初は端的に話し、追って安全な場所で、懸念も交え伝えた方が良さそうだと、ルオロフは考えた。



 *****



 翌朝。


 ルオロフは朝食の席に着いてすぐ、皆に頼んだ。『同じ内容を、一人ずつにお伝えしたい』。

 それしか言わない貴族に、イーアンはじっと見つめた。昨日に続くのかを問う眼差しに、ルオロフは『はい』と声で返事。



「ルオロフ、それは」


「皆さんに伝えたいのですが、私が直にそうしたいので。申し訳ありませんが、一人一人お付き合い願えませんか」


 遮る若者の態度は毅然として、その他を選ばせない雰囲気を出す。怪訝そうなタンクラッドが『時間が足りるか?』と一人ずつに話す効率を質問するが、ルオロフは『一分で終わらせます』と答えを用意していた。


「誤解を望みません。そのためには私からお話しするのが良いです」


「まるで、誰かの代役みたいだな」


 茶化すようにオーリンが呟いたが、ルオロフは少し微笑んだだけ。否定しないところを見ると・・・と言いかけた弓職人に、『こうする理由を見抜いて頂けますと助かります』と言った。


 その言い方が冷ややかで、オーリンは少し気分を悪くしたが、黙って聞いていたシャンガマックは『オーリン』と名を呼び、小刻みに首を横に振った。ただ、シャンガマックとしては、ルオロフの態度を少し窘めておきたい。オーリンは目を逸らし、事情の走りを知っているらしいイーアンも困惑している。



「何かあったかもしれないが、少し嫌味っぽいぞ。ルオロフ」


「シャンガマック。嫌味ではなく、素早い()()です」


 素早い回避―― ()()()()()ように? 


 全員が視線を交わし()()()()の話かと、赤毛の貴族を見たが、ルオロフは黙って食事を続けた。宿で食べる朝食の時間は、嫌な空気が漂う無言で過ぎてゆく。


 最初に食べ終わったタンクラッドは、ちらっと二階の方へ目を向け『ミレイオはどうするんだ』と尋ねた。ミレイオは今、クフムの見張り番。


「最後にお話しします。私は食べ終わりました。タンクラッドさん、話を聞いて頂けますか」


「一分」


「そうです。止めないで下さい」


 何となく・・・とっつきにくいルオロフ。昨日、貴族の一面を出させてしまったからかしらと、イーアンは母心で後悔する(※怖かった)。タンクラッドは少し笑って『場所は』と流し、ルオロフも立ち上がる。


「ミレイオの部屋を、話す場に借りました。シュンディーンがいますので」


 言いながら、ルオロフの両手が何かを包むように動き、『結界』を意味しているのを皆は気づく。


「ほぅ・・・ってことは、シュンディーンは、一人として数えていないのか」


「そうですね。彼は普段、赤ん坊(あの姿)だと会話をしませんから」


「大人の姿に変わると、良くないんじゃないのか?」


「そうでもないです。彼の場合は」


 意味ありげだが、曖昧な受け答えで留めているルオロフに、親方は首を掻いて『ミレイオの部屋だな』と繰り返し、皆に上を指差し『一分後に誰か続け』と命令。ルオロフと親方は二階へ上がった。



「一分なんて、すぐだぜ?」


「では、私が次に行きましょうか。シャンガマック、これ食べて頂いて宜しい?」


 オーリンが時計に顔を向けてぼやいたので、フォラヴが席を立った。シャンガマックに残り物の主食を任せる。『揚げ物は朝から少し厳しい』と苦笑した小声に、シャンガマックは笑ってそれを口に入れた。


「じゃ、俺も行きます」


 騎士二人が席を離れ、階段を上がってゆくのを目で追う、イーアンとオーリン。イーアンはパクパクッと残りを口に詰め込んでそそくさ椅子を離れ、『待てよ』と止めるオーリンも水を一口飲むと、宿の厨房に『ご馳走さん』と声をかけてホールを離れた。



「昨日、何の話してたんだ?」


 上がる階段でオーリンが聞く。イーアンは『ルオロフ一分報告で全貌が』と言いかけて、不満げな黄色い瞳に『怒らないの』と注意。


「あいつ、嫌な言い方だったろ」


「ルオロフなりに、重要なんですよ。多分」


「そこは俺の肩を持つもんじゃないの」


 二階の踊り場に上がった二人の前に、親方が現れてオーリンに苦笑した。階段を上がった廊下の端で、タンクラッドは廊下奥に待つフォラヴに顔を向け『彼はもう聞いた』と教え、それからイーアンの肩に手を置いた。


「ドルドレンが戻ってからと言っていたが(※2540話参照)。二度目の僧兵(あいつ)との会話を、早めに皆に話せ」


「・・・はい」


「それと。昨日の進行具合もだ」


 親方の鳶色の瞳は、同じ色の瞳を貫くように真っすぐで、イーアンは少し怒られているような気がした。ルオロフは何を話したのだろう。それを聞く3分後まで、気持ちは落ち着かなかった。



 タンクラッド、フォラヴ、シャンガマック、オーリンが聞き終わり、オーリンと交代でイーアンが部屋に入る。すれ違った弓職人は、何とも言えないように見えた。

 部屋は、シュンディーンの結界が張ってあり、イーアンも龍気控えめで壊さないよう気を付ける。


「イーアン。質問は後です」


 部屋の真ん中に立つルオロフが、側へ来るよう片腕で招き、イーアンは彼の近くに立った。結界があっても声は控えめで、シュンディーンは寝台の上にちょこんと座って外を見ているから、聞いていない様子。


「分かりました。どうぞ」


「クフムと、あの僧兵が交代するでしょう」


 イーアンの目が見開き、ルオロフは彼女を見つめ『ザッカリアがそう予告していました』と続けた。


 昨晩、寝る前にクフムから打ち明けられ、クフムは僧兵が近くにいることも知らないが、いつ予告された交代の相手が来るかと気を揉んでいて、これをルオロフ()に話した。

 クフムは、僧兵と交代相手が同一人物と思っていないが、話を聞くに条件が一致するので、恐らく僧兵と思い、皆にすぐ伝えようと考えた。

 クフムから話をさせる危険を避けたく、自分が代弁を引き受けた。


「一分です。以上です」


「はい・・・次は、ミレイオに?」


「呼んで頂けますか」


 了解して、女龍は部屋を出る。条件の一致は何かと、そこが気になったけれど。質問は後で・・・廊下に出ると、皆の並び、既にオーリンと交代済みのミレイオが待っていた。


 ミレイオも、ルオロフの話を聞きに中へ入り、やはり一分で出てきたが、腕にシュンディーンを抱っこして、ルオロフと一緒に出てきたのは、皆の時と違った。

 心なしか、抱っこされているシュンディーンは、遠い存在が傍観しているかのように見える。



「シュンディーンのおむつ替えるわね。クフムと私の食器、厨房に下げてもらっていいかしら?」


『やっておきます』とルオロフが微笑み、ぎこちない微笑みを返すミレイオは礼を言って、馬車へ行った。ルオロフに話しかけたいのは山々・・・の皆さんは、ルオロフがクフムの部屋に入って食器を手に出てくると、その背中をじーっと眺めて見送る。


 クフムはオーリンと一緒で、『今日は何かあるんですか』と落ち着かなさそうに聞いていた。

お読み頂き有難うございます。

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