241. 新年の夜
寝室に連れて帰って。
イーアンをベッドにそっと下ろしたドルドレン。ちょっと見つめてから、自分の窮屈な盛装を脱ぐ。脱ぐのにも時間がかかる盛装。やっとこさ全部脱いで、きちんと吊るしに掛けてから、普段のズボンだけを穿く。
「イーアンは。さすがに脱がしちゃ」
いや。脱がして良いのだろうが。でもダメな気がする・・・・・
ベッドに横たわる、ドルドレンの愛する人は美しいドレスに身を包み、スースー眠っている。この服が皺になったら、それも悲しがりそうな。どうしたら良いのだろうと悩む旦那さん(※未婚)。
じっとイーアンを見つめる。いろんなことを思い出すドルドレン。ほんの3ヶ月前までは、一人で孤独に過ごしながら生きていた。
「その一ヶ月後に。イーアンと出会うなんて思わなかったな」
そっと眠るイーアンの頬を撫でる。指先の温かさに微笑んで、ドルドレンは屈みこんで愛する人の頬にキスをした。その時、ふっと腕が絡みついて、イーアンに抱き寄せられるドルドレン。
「ん?起きたか」
イーアンが目を開いてニコッと笑う。とろんとした目つきでドルドレンの首をきゅっと抱いてキスをする。
上半身は裸。ドルドレンはそのままベッドに入って、イーアンの背中を掻き抱きながら夢中でキスを繰り返した。イーアンもそれに応える。何度も何度も口付けしながら、舌を絡めながらお互いを求める二人。
「この服を脱いでもいいですか」
はーっと息をついた笑顔のイーアンが小さな声で訊ねる。愛妻(※未婚)の首筋に唇を吸いつけてドルドレンが『早く』と促した。笑いながらイーアンが身をよじる。
「手伝って。背中に留め具があります」
よいしょと妻を裏返し、さっさとボタンを外すドルドレン。部屋が明るいだけに見やすい。興奮しやすい。よく見える。たまらない。
背中の止め具を腰まで開けると、素肌を全開にするイーアン。背中を出したまま振り返る愛妻に、ドルドレンは本能に従う。がばっと襲い掛かって、夢中で服の残りを脱がせてベッドの下に美しい服を落とす。
「イーアン。どんなに美しい服でも。イーアンの裸に勝ることはない」
そう思いの丈を言いながら、目一杯、体中にキスをするドルドレンに、遠慮なく感じるイーアン。愛する人の顔を両手で掴んで引き寄せて、その灰色の瞳を見つめてから力強くキスをする。
「あなた以外の誰が、私の人生に現れてもこうはなりません」
熱っぽく悩ましげに口付けを繰り返すイーアンに、ドルドレンの身も心もドロドロに溶ける。抱き合って密着して、どうやってもお互い以外の誰も入れないほどに愛し合う。
愛してるよ。愛してます。何度も何度も繰り返す言葉。体中で感じあう気持ち。
二人の大切な、一番最初の日の夜。
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