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魔物資源活用機構  作者: Ichen
龍と王と新たな出会い
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188. イオライ・カパス遠征初日

 

 あんまりしつこく毎夜のことを書き記すと変態みたいだが。

 ドルドレンの活力なので重要事項。ドルドレンは愛妻(※未婚)が大好きなので、毎晩相手にしてほしい。今晩もそれは叶えられた。



 理由は3つ。理由なんて本当は要らないのだが、ドルドレンは誉めてもらえる内容をしっかり心に刻み込みたい。


 一つは、朝一でザッカリアを守ったこと。この事については、ドルドレンは当たり前だと思っていたが、イーアン的には『私を守ってくれたように、彼も守ってくれて本当に素敵な人』と改めて惚れ直し、心から感動したらしい。

 うん。俺は最高。良かった、民間人に酷いやつとか言われないで。でもそれ言うと、イーアン自滅だから(←彼女の方が仕打ちが強烈)言わないか。



 二つめは、ザッカリアに合同演習でちゃんと教えてあげたこと。これも上司としては普通なのだが、張り切り甲斐があったという実感。ギアッチがやたら褒め上げてくれた様子で、イーアンの評価が高い。素晴らしく高い。

 俺はお父さんだから、頑張るよ。ザッカリアは()()()()()()()()()()()だから、お父さんはお母さんのために・・・何かちょっと路線が変わった気もするが、まぁそういうことだ。



 三つめ。一緒に夜間飛行。良いよね、ああいうの。あんな旅は格別だと思う。また行きたい。

 どうやったって3人は無理の騎(龍)乗。二人きりだ。龍はいるけど、あれは乗り物として認めるのみ。ウィアドより頭良さそうだが、そこは別種として黙ってて下さい。浪漫ある夜空の二人旅・・・・・ああ、萌える。



 ということで。イーアンは愛情たっぷりで相手をしてくれた。ドルドレンは腰が抜けても良いと思えるくらいに満喫した。もう、本当に永遠に続けば良いのにと心底願う。ああ、幸せ。ああ、気持ちが良い(?)。愛妻は最高だ。早く結婚せねばと毎晩誓う。



 そんなドルドレンの夜はぐっすり眠れて、数時間後に無情にも朝は来る。


 はい、朝。


 あれ?と起きるドルドレン。イーアンは既に着替えていて、ドルドレンを見つめる。それは良い。だがなぜ。


「起きろ。行くぞ」


 むさ苦しいブラスケッドがイーアンよりも近い距離にいる。分厚い布団で下半身が隠れていたから良かったようなものの。何たる無礼モンだ。


「イーアン。おはよう、しかしこいつは何だ」


「おはようございます。ドルドレンはお疲れで。呼んでも起きませんでした。ブラスケッドが来て下さって」


「イーアン一人で会議に出るなんて変だろ。早く起きろ」



 寝ぼけ眼の美丈夫は朝からぶーたれて起き、『イーアン以外は朝見たくない』とこぼす。ブラスケッドが笑いながら『早く来い』と言って出て行った。


「朝から気持ちが沈む。イーアン。どうして」 「起きないんですもの。呼んだわけではないですけれど、ブラスケッドが迎えに来たので通しました」


 ふーむ・・・・・・・・ 仕方なし起き上がる。毎朝イーアンは俺の股間を気にして、赤くなりつつ目を逸らし、服を渡す。これだけで良いじゃないか。なんで男を見ないといけないのだ。


 股間は好きなだけ見てくれ。チラ見でも良いんだよ。君が望めば触ったり使ったり(?)もあり。出来れば望めることを祈る。まだ結婚しないと無理かな~と思いつつ。結婚したらどうなるやら(嬉)。


 イーアンが服を差し出すので、何も言わずに着る。着ました、と見つめると、愛妻は微笑んでそっと抱きついた。うーん。こうでないと。しっかり抱き締め返して『愛してるよ』と囁く。イーアンからも『愛してます』うん、今夜に向けて一日張り切る朝の決意。大事、大事。



 で。とっとと着替えて、今日も元気のもつ限り、張り切る。日々、労いという名の喜びが存在することと、それが自分の期待と相違ないことは大変に素晴らしい。


 イーアンの肩を抱いて、意気揚々と会議室へ向かう。


 会議もしっかり話して、『ほお』とか『はぁ』と関心の言葉を耳に入れつつ、早速遠征へ向かう意思表明をした。ら。


「俺も行こう」 「そうだな。一緒の方が早そうだ」 「大きな用事がないですから同行しましょう」 「そこまで分かってれば面白そうだな」 「じゃ弓も多めにね」



 なんだそれは。なぜ全体で移動するのだ。


 気が付けば、クローハルも、ポドリックも、ブラスケッドも、コーニスも、パドリックも行くと言う。ヨドクスは残れ。『じゃあ・・・あれか。馬車なきゃ無理だ』良いからっ。良いの、来なくて大丈夫なんだよ。


「俺とイーアンでもいける気がするが」


 一応、抵抗はする。誰も聞いていない。普通に立ち上がって、普通に連絡事項で朝一出発、とか言っている。朝食はどうするんだ。今、いつも通りに朝食作ってるぞ。おい、気が付け。


「朝、食べてけそうだ。近いからな」 「どうせ夜に出るんだろ。ゆっくりでもいいな」 「少しゆっくり出来るように、食料多く積んでおきましょうね」 「近いしね」 「久しぶりにのんびりだな」



 ――キャンプじゃないんだよ。お前たちの中の遠征はそんな程度か。命掛けたあの日々を覚えてるか(自分もそう)。

 俺とイーアンで楽しく魔物を退治するんだよ(思うに奥さんが楽しむ)。お前たちは要らないの。空気読めないの?やだ、この人達。イーアン。どうしたらいいの・・・・・



 ドルドレンの威厳はあまり効果がないまま、各隊長が自発的に遠征のために動き出したため、会議室はドルドレンを残して空になる。

 執務室の騎士が総長をちらっと見て『一応遠征3日組みますから、そちらの良い感じで。前後で適当にどうぞ』と人生の休日的日程を言い渡した。それは本来、俺が言う言葉・・・・・



 何となく力が抜けて部屋に戻る。イーアンはチュニックで待っていて、一緒に朝食へ出た。全員とは言わないが、遠征関係ないくらいの余裕っぷりで騎士たちがのびのび朝食を楽しんでいる。


 イーアンに、全体でイオライ・カパス遠征だと話すと、彼女は喜んでいた。ザッカリアも一緒、とそれが嬉しいようだった。  俺・・・・・一緒なんだよ。俺が。ドルドレンに寂しい冬の風が吹く。



 そうこうしているうちに。出発はのんびり設定で9時過ぎ。馬車もキャンプ楽しみみたいな、3日に必要ないくらいの量の食料やら何やら積みこんで5台。 ・・・・・そんな要らないだろ。3日で帰るのに。中一日だよ。何で5台も使うの。


 お風呂に帰ると、イーアンが待機陣の騎士と話している。『じゃ、4時には綺麗に洗っておきます。湯を張って』と笑顔で約束してる。イーアン嬉しそう。

 風呂入りにいちいち遠征から帰って来る人、いなかった。いないよ、いないの。普通遠征は風呂入んないんだって。お風呂、好きなの知ってるけど。おかしいよ、緊張感ないよ。皆ないけど、イーアンもない。



 ウィアドが連れてこられて、なぜかポドリックがイーアンを馬に乗せる手伝いして、『お前も早く乗れ』と命じられた。何それ。


「皆で行くと、最初の遠征みたい」


 嬉しそうなイーアンが、俺を見上げて笑顔で言う。引き攣る笑顔で『本当だね』と答える。



 イオライ・カパス遠征初日。馬上昼食も何もないくらい、4時間ありゃ、あっさり到着する距離。

 昼過ぎに余裕で野営地。のびのび焚き火。のびのび昼食。


 あー、夜まで長いな~・・・とか聞こえる、のんびりした午後。

 そこかしこで昼寝してる騎士を眺め、ドルドレンは何かが違う気がしていた。




お読み頂き有難うございます。


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