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魔物資源活用機構  作者: Ichen
出会い
18/2942

17. 野次馬の想い

(※イーアンの部屋に聞き耳を立てる取り巻き目線です)

 

 西の11。


 その部屋は今、スポット状態であった。



 中にいるのは、総長ドルドレンと珍客の女性。

 西の寮の騎士たちは、部屋の前に貼り付いていた。壁に耳をつけている輩は6名。それ以上は貼り付けないので、極力近くに詰めて内情を伺っていた。


 扉が開きそうになる度に一斉に走り去り(この時、足音は立てない)、部屋に上手く逃げ込む者もいれば、部屋まで間に合わず素知らぬ顔で廊下を歩いている振りで済ませる者がいた。



「総長が女と食事」


 女性を部屋に残して食堂へ向かったドルドレンの姿を見た誰かの一言から、烏合の衆が寄ってたかってスポットに密集した。


 先ほどはノーシュが不敵にも室内に押し入って、結果殺されかけて逃げ帰ったのもあり、戦々恐々の張り詰めた緊張感を共有しながら、懲りずにバレないように部屋の壁に密着する。


「俺が食事配達してから、何か落ち着いたみたいだな」一人の騎士がドアに耳をつけてボソッと呟いた。


 ドア横の壁に片耳を貼り付けた別の騎士が、人差し指を口に立てる。


「よく聞こえないな」「もうちょっと・・・・・ 大きい声でお願い」「何か今、笑い声したぞ。楽しそうだ」「あの中年の女の人だろ? 総長が一緒にいるの」「総長は親切だけど、笑顔ってあんまり出さないからな。さっき見たとき冷えたよ」「俺はハートが熱くなった」「それはいけない方向だろ」「いや、あの人男から見てもカッコイイから」「女の人が好きだったんだな」「魔物戦の時は鬼みたいだけど」「総長っていつも眼が笑ってなかったよね」「あの女の人にデレデレに見えたけどなぁ」「年上好きか」



 囁きながら、後ろで言いたい放題を喋りまくる野次馬。



「でもあの女の人、挨拶したとき良い人そうだったな」「見かけない顔つきだけど、別にブスとかじゃないしな」「俺、あの人平気」「あの、俺も多分あの人イケる」「総長に埋められるぞ」「でもあの人、しばらくここにいるんだろ」「総長が留守の時って・・・・・」「俺が世話しても良いかも」「お前無理だろ、あの人は親くらいの年じゃないか」「親くらいの年でも他人だ」「総長、何で一人占めしてるんだ」「あの女の人、どこから来たんだろ」「なんだっけ、イーアン?」「名前は良い感じだ」「俺好きかも」



 ひそひそ井戸端が熱を増してきた時、ガンッと鍵を叩く音が突如響き、一斉に全力で部屋へ逃げる(足音は立てない)。



 扉をゆっくり開けたドルドレンが、大きく溜息をついて空の食器を乗せた盆を差し出した。


「暇なやつ、何十人かいるだろうからこれ、下げてくれ。」



 そーっと部屋から顔を出した数名の騎士が、何事もなかったようにひょこひょこ近づいてきて、盆を受け取った。






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