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ダーウィンズ  作者: 秋月諏訪
3/6

02


「お疲れ様です。状況を教えてください」

「被害者はこの店のオーナーの坂本幸雄35歳男性、被害者はこの店のVIPルームの中で発見され、死因は窒息死とみられていますが、首に絞殺の後は見受けられません」


 窒息死で首に絞殺痕が無いとすると鼻と口を押さえつけ……、大の男をそのような殺し方をしようとすればそれこそ暴れまわったり、押さえつけた跡が残るはず。

 だが、被害者には争った形跡はない。

 ならば一酸化炭素などによる、中毒死や酸欠によるものと考えるのが妥当か?

 しかし、匂いからしてここで練炭等を使った形跡はない、それに、もし使ったのなら火災探知機が起動するはずだ。

 考えれば考えるほど私の思考は広がりを見せるがこれといった決定打が出てこない。


 これはそもそも殺人事件なのだろうか?


「ちょ、君、困るよ!」


 私が考えを巡らせていると外か騒がしい声が聞こえてくる。

 若い警官の静止をものともせず一人のスーツ姿の男性が現場に入ってきたのだ。

 一礼し、男性は私に尋ねる。


「初めまして、君が今回、私の助手を務めてくれるのかな?ところでいつもの彼は来ていないのかい?」


 はじめは現在の状況が呑み込めず、頭がフリーズしてしまった。

 どこかの変人だろうか?と状況を整理していくと一つ思い当たる節がある。

 そういえば今回、先輩が自分は取り調べに行くので、探偵の世話を頼むと言われていたのだ。

 きっとこの男性が先輩の言っていた探偵なのでだろう。


「あなたが……」

「僕のことは先生と呼んでくれたまえ、名前で呼ばれるのも呼ぶのも好きではないのね。君の事も助手と呼ばせてもらうよ」


 私の発言に合わせてまるで、自分の名前を遮るように被せて話しかけられた。

 さらにこちらに自己紹介させる気もない上に、変なあだ名で呼ばれるようだ。


「待ってください、あなたを先生と呼ぶのは百歩譲って良しとします。ですが私には……」

「名乗らなくて大丈夫、僕は君のことを助手と以外呼ぶ気はないので」


 また遮られた。

 そして、よくわかった、どうやら私はこの男が嫌いだ。

 人の話を全く聞く気がないこの男の耳の穴は、コンクリートで塞ぐべきではないだろうか?


 この男を先程まで止めようとしていた若い警官に先輩の推薦であることを説明し、とりあえずその場を収めてもらう。

 その間、男はこちらの騒動は他人事のように被害者を観察し続けていた。


「あんまり現場を荒らさないでくださいよ」


 男は徐に立ち上がると、被害者の居た部屋の扉を閉めたり開けたり、動作の確認を行い始めた。

 やはり、私の話は彼の耳には届いていなかったようだ。


「だから現場の物を動かすのは辞めてください!」


 私は彼の肩に掴み掛り、強めの口調で彼の行動を咎める。

 肩をつかまれたことに動じること無く、彼は手帳を取り出し、ペンを走らせると私にメモを渡してきた。


「すまないがここに書いてある事を調べてほしい、その間、僕は監視カメラの映像を確認しているから」


 肩透かしを喰らった私は、とりあえず彼のメモに目を落とす。

 メモには以下の事が書かれていた。


・科捜研に彼の口内から睡眠薬の成分が検知されていないかの確認。

・この店を最後に出た者と、第一発見者への取り調べの準備(なお面談の際は第一発見者から行うように)。


 なんて事のない内容だ、むしろこれは捜査の第一歩と言ってもいいだろう。

 ただ取り調べの順番を指定とは変わっている。

 とりあえず科捜研に連絡をすることにした。ケータイを取り出し、着信履歴から連絡先を探す。


「お疲れさま。私だけど」

「丁度良いところに!君に今から連絡しようとしていたところだ!」


 電話の相手は私の飲み仲間で科捜研に努める女性だ。


「何か分かった?」

「被害者の死因だけどやっぱり窒息死で間違いないね、一酸化炭素や青酸カリではなく、純粋に酸素欠乏症」


 被害者には外傷が無いし、と付け足す。

 だとすると、彼は間違えて寝てしまい無呼吸症候群で酸素欠乏症にないだろうか?


「それと気になる事が一つ、被害者から睡眠薬が検出されているのよ、ただそれは薬局などで買える品物だけど」


 彼女の言葉に電話の理由を思い出す。

 なぜか釈然としないが彼の予想はどうやら正解のようである。

 どの製品かなどの詳しい成分などを聞き、電話を切る。


「通話は終わったかね?」


 真後ろから男の声がした。

 驚き思わず振り返りながら後ずさってしまう。


「驚かせてしまったようですまない。こちらは監視カメラの内容とこの店の従業員の退出記録の確認は終わったので、取り調べへ連れて行っておくれ」


 呆れながらも車に先生を乗せて、取り調べが行われている、警察署へ向かう事とした。

 車内で科捜研から得た情報を先生に伝えると、にやりとした顔を浮かべた後、考え込んでしまい、警察署に着くまで口を開くことはなかった。

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