128話
「よくも私を殺したなーッ!この野郎がーッ!」
「俺を殺してくれた恨み!晴らさせてもらうからな!」
「ぶっ殺す!ぶっ殺して元の世界に戻る!」
「この恨み晴らさでおくべきかー!」
「使える能力が無いからって殺しやがって!許さねえ!てめーのモツ引きずり出してモツ鍋にした挙句阪神タイガースが優勝しようがしまいがカーネルおじさんよろしく道頓堀の中にぶち込んでやるよ覚悟しろオラアアアアアア!」
「なら私はモツ抜かれたあとの死体切り離して占星術殺人事件してやるわよオラアアアアアア!」
「サッカーしようぜ!ボールはこいつの生首な!」
「生首のデコに肉って書いてやるぜ!」
「おなかへった!」
「ばなな!」
「待って!救世主の皆、待って!怖い!すごく怖い!」
やんややんや、と、溢れる人々の声。
これらは全て、『救世主』の声である。
あの穴の底と天国と地獄を反復横飛びして、うっかり俺が生き返らせてしまった……『捨てられた救世主』達、なのである。
白骨死体転がる穴の底で俺が仲間達に相談したのは、『この救世主達を生き返らせて、元の世界に帰したい』ということだった。
……いや、死んだ人を俺の独断と偏見で生き返らせるということについて、ちょっとは考えた。考えたとも。
が……目の前に居る彼らは、皆一様に召喚された人達だ。要は、この世界の人達ではない。この世界に来たことが本意であったとは思えないし、殺されたことについては当然、本意じゃなかっただろう。
ならばやっぱり生き返して、元の世界に帰すのが筋だろう、と思った。ので、生き返らせた。
ちなみに技術的には何の問題も無かった。異世界反復横飛びができるぐらいなので、天国と地獄と現世を行き来するぐらい、何の問題も無い。そして生命の実は大量にあるので、やっぱり問題ない!
……そして、まあ、俺は彼らを生き返らせた後、彼らの身に何が起きたのかを簡単に説明して、それから、元の世界に戻れるように異世界間反復横飛びするつもりだった。
が。
殺された救世主達は……。
……そもそも、何故彼らが『殺された』かといえば、『変な能力しか持っていなかった』からであり、何故『変な能力しか持っていなかった』のかといえば……『救世主という物に対して変な知識をチョイスしてしまう程度に変な人だったから』なのであろう。多分。不本意だが多分そういうことだ。俺も変な人か。うん。まあそれは仕方がない。不本意だが。
と、まあ、白骨死体だった彼らは皆、生き返って事の顛末を説明された後……揃いも揃って、こう、言ったのである。
『自分を殺した奴に仕返しの1つでもしたい』と。
ということで、ここに集いしは自由意志で集まった大量の救世主達である。
救世主が1人でなければならないなんていうルールが無かったとしても、いくらなんでも多すぎる程度には多すぎる救世主達である。
「こ、これって……これって……なんか、すごく、すごい……あー!なんて言ったらいいの!?これ、なんて言ったらいいのー!?」
「……救世主が2人、なんてことで驚いていられないな、これは……」
「救世主がいっぱい」
「ふはははは!愉快!これは愉快だ!よくやったぞ、タスクよ!」
目の前の『救世主がいっぱい』という現象について、エピやカラン兵士長は割と頭を抱えてしまっている。ユーディアさんは非常にそのまんまな感想をくれただけだし、魔王ルカス様はむしろお喜びであらせられる。
「さあ救世主の皆さん!今こそ自らの能力を使って!悪しき魔王を倒す時だーッ!」
そして俺もまあ、ノリにノッている。こんな面白い事目の前で起きていて興奮しない訳にはいかない。
そして何より……ついさっきまで死んでいた、救世主諸君が、一番興奮している!
「いくぜーっ!総員、攻撃せよー!」
俺が号令をかけると同時よりもむしろ速いぐらいのタイミングで、救世主達は怒涛の攻撃を始めたのであった。
「くっ……た、例え、誤った救世主が何人いようと!私は地上の王として幸福を」
「くらえ!顔発光!」
モルスが何か言いかけたが、途中で遮られた。
とある救世主の顔と服が凄まじい光量を放ったことで、闇の化身であるモルスには多少の目くらましになったらしい。
でもなんで光るのがそこなんだ。顔と服。尻よりはマシだが。成程、使えねえ!
「羽虫が!うっとおしいぞ!」
続いてモルスが闇を頭上で渦巻かせる。
渦巻いた闇は暗雲のようになり、暴風を伴い、やがて嵐となって吹き荒ぶ。
が。
「これは嵐か、嵐じゃないのか!雨風じゃなくても嵐なのか!嵐であることを祈ります!ということで嵐判定入ります!……静まれええええ!」
救世主の1人がそう叫ぶと……消えた。
俺達を飲み込む予定だったはずの闇の嵐は、消えてしまったのである。
「嵐だった!嵐なら消せます!嵐だけだけど!」
「ということは嵐以外の、目の前に迫る闇の大津波みたいな奴は」
「これは駄目です!逃げよ!」
が、消せるのは嵐限定らしい。成程、使えねえ!
闇の大津波は顔面発光救世主が発光している間にルカス様がなんとかしてくださいました。流石の魔王様だぜ。
「お前達が数で勝負するというならばこちらにも手があるぞ!」
そして闇の大津波が消えた後、その向こう側に居たのは、数多の闇の獣であった。
……しかもその中に、モルスが居ない。
「しまった、紛れ込まれたか!」
どうやらモルスは闇の獣たちの中に自らも変身して紛れ込んだらしい。敵将が分からないってのは困るぞ、これ。何せ、一番強い攻撃が何所から飛んでくるかが分からない訳だから。
「いいや分かるんだなあー!これがよー!どんなに紛れ込んでも俺にはお見通しなんだぜーっ!」
しかし相手が相手ならこちらもこちらであった。
「俺の能力は!『従者の中に紛れ込んだ王を見つけ出す能力』!そこの闇ウサギ!てめえが王だーっ!」
……すごい能力者が居たものである。
「すごい!偽物の中から本物を見つけ出せるのね!」
「いや、相手が王とその部下とか配下とか手下とかの時に限る」
「その能力ニッチ過ぎない?」
「うるせーっ!だから殺されたんだろうがよこっちはよー!」
成程、使えねえ!
「如何に私がどこか分かろうが、そんなものは関係無い!」
しかもこちらが『あいつがモルス』と分かったとしても、あまり関係無かった。
闇で形作られたそれらは、一斉に、俺達に襲い掛かって来たのである。成程、分かっていても攻撃を当てたり、攻撃を避けられたりするかはまた別の問題なわけだ。
しかしその傍ら、顔面発光救世主や魔王ルカスの他に、光る何かが現れる。
「……え、火?」
「火!火熾してる!」
そこにあったのは、焚火である。何故か火が熾されていた。
そして火を熾していた救世主は、迫りくる闇の獣たちに向けて、叫んだ。
「おなかすいたなー!」
するとその途端……俺達に、奇妙な感覚が襲ってきた。
……具体的には。
「ヤバい!何これ!何これ!?食い物を与えないといけない気がしてきた!カニ○ン食うか!?○ニパン食うか!?」
「ふはははは!何やらよく分からぬが余のおやつのカ○パンをやろう!」
「わ、私の飴、食べる?」
「……ジャムパンの残りで良ければあるぞ」
俺達はそれぞれ、持っている食べ物を焚火の周りに積み上げ始め……そして。
「私はあげられる食べ物を持っていない」
ユーディアさんは。
「だから私自身が食べ物に」
「やめろ!やめろユーディア嬢!火に飛び込もうとするな!やめろ!このっ……くそ!タスク!ユーディア嬢にパンを!パンをおおおおおおおお!」
ユーディアさんは勢いよく焚火に飛び込もうとしたが、カラン兵士長が羽交い絞めにすることでなんとか止められた。ナイスだ、兵士長!
救世主達は俺が事前にカ○パンを布教していたおかげで、それを献上することでなんとか凌いだらしい。
だが、食べ物なんて持っていない闇の獣たちは。
「……見てタスク様、凄い勢いでみんな火に飛び込んでく……」
「すげえ眺めだな……こええ……」
燃え盛る火の中に自ら飛び込んでいく敵。自ら火に飛び込んで焼かれていく敵。怖い。滅茶苦茶怖い!
「……お前、こんなにすごい能力持ってて、なんで殺されたんだ?」
「ぜんっぜん解析してもらえなかったし、こっちも説明できなかった!」
だろうな!
その後も、『神聖なものを売っている市場を荒らす能力』を持った救世主が即席で市場を作ってぶち壊すというとんだマッチポンプかつ多大な攻撃を行い、『人を生き返らせる能力』を持った救世主が死んだ救世主を生き返らせ、『滅茶苦茶遠くの音が聞こえる能力』を持った救世主が「雪降ってる地域で女の人2人がジャムパン取りあって喧嘩してます!」と実況を始め、『他人の心を読める能力』を持った救世主が「そこの人、あの銀髪の人に惚れてますね?」と言い出して某兵士長の精神に攻撃し、『月や太陽を触ったり撫でたりできる能力』を持った救世主がちょっと月を磨いてきたために月の模様が1つ減り(俺達にはそう言われても全く分からなかったし、戦況にも何の影響も無かった)、『姿を隠すことができる能力』を持った救世主がモルスに奇襲を仕掛けようとして失敗していじけて隠れっぱなしになり、『湖の上を歩ける能力』を持った救世主が闇の湖の上を歩き、『自分の前世を10000代ぐらい遡って見られる能力』を持った救世主が1人で楽しそうにし、『解脱できる能力』を持った救世主が幸せそうにどこかへ消えていった。
……成程。
何故、こいつらが殺されたのか、よく分かる……よく分かるぞ……!
だが。しかし。
……そうして救世主達が色々やったりやらなかったり、やっても何の効果も無かったりしながら大騒ぎしている間にも、着実に攻撃は積み重ねられた。
何だかんだ言って、救世主達は目くらましとしても壁としてもかなり優秀だったし、戦う能力が全く無かったとしても、1つだけ微妙な回復系能力を持っていたりしたのだ。どうやら、回復系の能力を1つ持っている程度じゃ魔王を倒せないと判断されて殺されていたらしい。まあそう言われてみればそうである。
「ざまーみろ!お前が出しに出しまくった救世主達のせいでお前、死にかけてるんだからなざまあみろおおおおおお!」
「カーネル!」
「道頓堀!」
「サッカー!」
「肉!」
……そして、まあ、救世主達に色々言われまくったモルスが怒りのあまり、冷静な判断を失った、みたいな、そういう効果も、あった、と、思う……。
そして。
何だかんだやりつつも戦況は俺達に有利に動き……遂にその時は訪れる。
最後の一撃は予め決まっていた。
「ごめんね、救世主の皆!これだけは譲れないの!」
数々の救世主の間をするりと抜けて、エピがモルスの眼前に飛び込む。
「おのれ、できそこないの救世主共が……!私は、ルカスを殺し……この地上を、神、を……!」
既にボロボロになっていたモルスが反応したが、放った攻撃はエピに届くことなくパン壁に阻まれる。
速く振り抜かれた鞭は、流星の如く宙を滑り……そして。
ぴしん、と。
ただ静かに鋭く音をさせた鞭が、モルスを消滅させたのだった。
静まり返った黒い部屋の中が、ふっ、と、明るくなっていく。
「闇が……消えた」
やがて、重く揺蕩っていた闇が全て消えると、顔面発光救世主の光が部屋を満たすようになり、すっかり部屋は明るくなった。
「……やった、あ……」
エピが小さく呟くと、一拍遅れて歓声が上がる。
救世主達が喜んだり遠くの音実況したり解脱したりする中、俺の袖が引かれる。
「どうしよう、タスク様」
エピは俺の袖を引っ張りつつ、少し困ったような笑顔を浮かべ、俺を見ていた。
「なんか……全然、魔王をやっつけた、っていう実感が無いの」
俺は、そんなエピの背を軽く叩いて……俺もきっと、エピと同じような笑顔を浮かべながら、言った。
「俺もだ」
「やっぱりね、救世主の人達のインパクトが大きすぎたと思うの」
「うん……それは本当に……」
しばらくして、救世主諸君を無事に全員元の世界に送り届けて……俺達は反省会を開いた。
「あれは面白かったな。あの火を焚いた奴だ」
「面白いものか!ユーディア嬢が火に飛び込みかけたんだぞ!?」
「無性に食べ物をあげたくなったので」
「ユーディア嬢もユーディア嬢だ、何故『自らが食料になる』なんて発想になる!」
「私自身その発想は無かった。気が付いたら天啓のようにその発想が閃いていた」
「あ、元ネタがそういう救世主なんで……」
「元ネタ!?元ネタとは一体!?」
……と、まあ。
割と、インパクトの9割方を救世主諸君に持って行かれた感はあった。俺達が魔王を倒した、という感覚は、無い。ほぼ、無い。
が。
「うーん……まあ、とりあえずこれで魔王モルスは倒されたんだし……」
まあ、やることはそんなに多くないよな。
「とりあえず、地上、見てみるか」
地面をパンにしてぶち抜いて外に出てみると、いつの間にか空の端が白み、ニワトリが声高らかに朝を告げていた。
……何ら変わりのない、元々の、平和な朝であった。
「どうしようタスク様、なんにも変わってない」
「うん」
地上に出てみても、やっぱり、魔王が倒されたというかんじは無かった。
唯一何か変わった事があったとすれば、操られていたと思しきプリンティアの人々が我に返って不思議がっている事ぐらいだろうか。
壊れた城も、街並みも、相変わらずだったし、特に元々世界が脅かされていた訳でもない。
極々小さな範囲で起こっていた出来事が改善された程度で……俺達が世界を救った、とは、言い難い、と思う。
いや、あのまま魔王モルスと神の統治下においておいたらこの世界、間違いなく滅びたとは思う。ごく一部の人だけ新世界とやらに連れていかれて、残りの人達は本当の意味での地獄を味わったんじゃないかとは、思う。
だが、事前に防いでしまったがために、何ら、変化が無い!世界を救った感が皆無である!
「……でも、これでいいのかもね」
エピは昇り来る朝日にその頬を照らされながら、穏やかな表情で街並みを見ていた。
「……ね、タスク様」
「ん」
「これで私達の旅も、終わりね」
穏やかながら、少しだけ寂しそうなエピを……。
「ま、第一ラウンドは、な!」
フライパンで小突いた。
「わっ」
エピはフライパンで軽く小突かれて驚いたような声を上げ……そして、きょとん、としてから、手を握ったり開いたりした。
「え、ええと、今ので私、『神の玉梓』じゃなくなったのよ、ね?」
「ああ」
元々、そういう話だったからな。
エピはこれで『神の玉梓』なんて運命から解放されて、1人の普通の……いや、少々普通じゃない鞭の腕を持つ女の子ではあるが……まあ、普通の女の子として、生きるのである。
が。
「……タスク様あ」
「うん」
エピは、へにゃ、とした笑顔で、俺を見た。
「どうしよう、なんにも、変わってない」
なのでやっぱり俺も似たような顔で、返すのだ。
「うん……ま、それでいいのかもな」
さて。
こうして世界を救い、しかしその割には自他ともに全くその実感が無い俺達であったが。
一応、旅は終わりを告げた。
その後俺達は『第二ラウンド』に出かけるべく、まずはファリー村へと向かった、のだが。
「かにぱーだな!」
「これは……タスクの仕業、なのか……?」
「カニ○ンがここまでなるとは思わなかったんですよ本当に」
ファリー村は最早すっかり、○ニパン村であった。
カニパ○テーマパークとして観光業に力を入れ始めたファリー村は、村のあちこちにカ○パン像が建設され、或いはカニパ○をモチーフにしたグッズが販売され、人々はカ○パンを食べ、笑顔でカニパ○グッズを買い求め、村の中で笑い合い……。
「タスク様分かる?自分の故郷がかにぱーちゃんの総本山になってた気持ち、分かる?」
「嬉しい?」
「ううん、なんか、こう、嬉しい、じゃなくて……!なんかちがうかんじの……!複雑な……!ううん、みんなが笑顔なのは、良いんだけれど……良いんだけれど……!」
エピが頭を抱えている。うん、まあ、正直俺も、頭を抱えたいかんじはする。
こう、なんというか、うっかり、近所の池にホテイアオイとかクレソンとか投げ込んじゃったら在来種の植物を駆逐して池が外来種だらけになっちまった、みたいな、そういう罪悪感みたいな、取り返しのつかない何かを感じてはいる。
「よいではないか、かにぱーは世界を救う!余は名実ともに魔王となった今、かにぱーを世界中に広め、平和へと導いていくぞ!」
「ああああ、かにぱーちゃんが……かにぱーちゃんが、世界中に広まっていくよう……」
「今更だろう、タスクは世界中のあちこちをパンにしているのだからな……」
「おいしかった」
……ふと。
村中がカニパ○だらけになっているのを見て、俺は、思いついた。
「なあ、エピ」
「う、うん?」
「折角だから旅の2周目が終わったら、移動式カニパ○屋、やらないか?」
結局。
俺とエピが、移動式カニ○ン屋をやることはなかった。
何故ならばエピが、『なんか……なんか、かにぱーちゃんだけ、ひたすら売り歩くのは……なんか、嫌!』と言った為である。うん、知ってた。
ということで、旅を終え、5人で2周目の旅に出て、それも終えた俺達は……。
「いらっしゃいませー!」
今日も元気に、エピの声が店内に響く。
ほわり、と美味そうな香りの漂う店内で、今日も何人かの客がトングとトレイを手に、棚に所狭しと並んだパンを選んでいる。
うちのパンは安くて美味いと専らの評判である。美味さは日々研究中だし、安さは……まあ、原価が、0だから……。
店舗の1つは、エスターマ王国にある。こっちは主にカラン兵士長とユーディアさんに任せているが、メインはパンよりもワインである。カラン兵士長もユーディアさんもそこそこに酒豪なので、まあまあ楽しくやっているようだ。
それから、移動販売式の店舗が世界中を巡っている。これは魔王ルカスが治世の間の暇つぶしにやってくれている。超絶イケメンがいきなり空飛ぶ店舗と共に現れて「かにぱーは要らぬか!」って始まるので、中々インパクトが強い。
そして、もう1つは……プリンティアの、再建途中の王都と……俺の、元の世界に。
異世界間反復横飛びに何の支障も無い俺達であるから、文字通り世界を股に掛けた店舗展開も可能であった。
更には、『異世界間の店舗同士を繋げる』という離れ業も、やはり可能なのであった。
こっちの店舗は俺とエピがやっている。
「はい!かにくりーむぱん、できたてですよー!」
エピが新しくできた『かにくりーむぱん』を棚に陳列していく端から、どんどんと消えていった。この『かにくりーむぱん』がうちの看板商品である。単に俺とエピの好きな物の折衷案であるが、これが中々美味くできた自信作である。
……と、まあ。
そんなわけで。
「エピ、ちょっと『仕込み』するから奥行ってくるぞ」
「はーい、タスクさ……じゃなくて、ええっと……タスク!」
今日も、パン屋『パンの国』は、繁盛しているのであった。
完結しました。後書きは活動報告をご覧ください。
また、近々新連載が始まります。速いと明日、遅いと来月頭からです。
詳しくはこちらも活動報告をご覧ください。
尚、その間にも短編や番外編などが出てくる可能性があります。
多分、この話の番外編が出てきます。1つは確実に出ます。