奴隷オークション開催
奴隷オークションが始まった。エルフや獣人や人間の女性、男性が次々と落札されていった。
そして、最後の奴隷が姿を現した。
「皆様今回の目玉は、なんと!10年前我がアルトリアス王国に敗れた後行方をくらませていた、エルフ王の娘!ミランダ姫です!」
おおーーと奴隷オークションにやってきた人達がから歓声のような声が響いた。
男達は、姫を邪な目で見つめた。人間の醜い部分があらわになる瞬間だ。
そして、どんどん金がかけられていった、白金5個、15個、30個と金額は上がっていった。
「白金100個だ!」
その高額な金額を出した者はクレイブだった。
あたりは、ざわついた。その後クレイブの出した金額を超える額を出すものはいなかった。
「それでは、これで、落札とします。今日は奴隷オークションにお越しいただき誠にありがとうございました。」
落札した者は、別室にいき奴隷契約を結び、そうでないものはその場を後にした。
落札した者は次々と規約を終え帰っていった最後にクレイブが執事と共にやってきた。
「どうぞ、クレイブ様。こちらに、今回は誠にありがとうございました。クレイブ様のご支援頂いて今回も私達、奴隷商人も大変助かりました。」
「ふむ、それはよい。こちらとしても奴隷が簡単に手に入るのだから。だが、面倒ごとは起こすなよ?」
声の圧力ともいえる迫力で釘をさした。
「え、ええ 存じ上げてますとも。クレイブ様には面倒ごとが起きないよう細心の注意を
払ってますので。」
そして、商人の男がそういうとミランダ姫と魔術師がきた。
「さて、奴隷契約に移らさせていただきます。おい!始めろ!」
「了解致しました。ではクレイブ様、右手の甲に傷をつけていただきます。さあミランダ姫クレイブ様の右手に左手を乗せなさい。」
ミランダ姫は、クレイブの右手に手を乗せた。
「汝、この者の奴隷となれ。ここに永遠の忠誠となることを命ずる」
「はい。」
ミランダ姫は答え、そしてミランダ姫の体が輝きを放った。
「......完了いたしました。これにて、奴隷契約を終わりにいたします。」
魔術師は、そう言って、頭を下げた。
「クレイブ様、本日はどうもありがとうございました。今後とも良い関係でいたいものです」
「ふむ、今日はご苦労であった。資金援助は今日の功績をたたえ増やすとしよう。では、おい行くぞ!ミランダも私についてこい」
クレイブが言ったが秘書とミランダは動かない。
「何をしている、ミランダ命令だ私についてこい、お前もだ…アーロン」
「いえ、クレイブ様私は、あなたの命令はもう受けません。受ける必要がないのです。」
「何を言っている、アーロン。私の命令は絶対だと忘れたか!」
「忘れてませんとも、そのうえで言ってるのです。分かりませんか?」
そう言いながら秘書、アーロンが魔術師のほうに歩いてきた。
「こうゆうことです。」
アーロンは魔術師に対し頭を下げた。
「これは、どういうことだ、貴様何者だ!」
「貴様何者だなんて、ありきたりなこと聞くなよ、クレイブ様。俺はただの魔術師ですよ。あなたをはめた、ね」
魔術師いや、俺はフードを取った。
やばい空気を察したのか商人がこの場から逃げようとしたが、無意味だ。
「止まれ」
俺は力を使い動きを止めた。
「貴様、こんなことして、ただで済むと思うなよ......な、なに!体が、何をした貴様!」
クレイブも動こうとしたが無意味だ商人と一緒に動きを止めたからな。
「それは、お前も俺の手のひらの上だからさ......あんたと話すのも退屈なだけだ。アーロン、ちゃんと殺す機会作ってやったぞ」
「ええ、どうもありがとうございます......これで、私の両親も報われる。」
アーロンはナイフを取り出しクレイブに向けた。
「や、やめろ!助けてくれ!金なら、いくらでも出す、だから殺さないでくれ!」
「ふざけるな!私の両親も助けを求めた、けど!それをお前は!自分の運命を恨むんだなと嘲笑うように殺した!自分だけが助かれると思わないことだ!お前の死をもって俺の両親に償え!」
「や、やめろおおおおおおおおお!!!!」
アーロンはクレイブの頭にナイフを突き刺した。クレイブが死んだことにより俺の命令も解けクレイブは倒れた。
「ふう......それでは、私は次の目的を果たしにまいります。それではのちほど。」
そういって、アーロンは部屋を後にした。
びっくりした、あんな怒りのこもった言葉、ここに来て初めてのことだ聞いたぞ。まあ両親の敵なら熱くもなるか。
しかし、やけに落ち着いているな、目的を果たした後の虚無感だろうか。さてと、じゃあ
こっちもやりますか。
「さて、次はお前の番だな。奴隷商人さん、どうする?選択肢をあげよう。1、ここで、俺にクレイブ殺人容疑で殺される 2、死ぬ 選べ。 」
「どっちも、同じじゃないか!何が選べだ! この悪魔め!」
「何を言ってるんだ俺は、れっきとした人間だぞ?それとも、魔王にでも見えるか?」
まったく、何が悪魔だよ…待てよ。こいつを使うか。
「しょうがないな、殺しはしない。だが、俺の言う通りに従ってもらう。 服従しろ。」
「......何なりと、お申し付けください。主様。」
「さて、最初の命令だ。これまで通り過ごし、今回のクレイブ殺害の容疑を魔術師の行いにしろ。」
「ですが、それだと主様に容疑がかかってしまいます。」
「お前が気にすることだじゃない、お前は俺の言う通りにやればよい。夕暮れ時くらいに報告しろ。あと数時間ある。俺はまだやることがあるからな、すぐ来られても困る。分かったなら行け。」
商人の男はその場を去った。 よしこれで、どう動くかな。
それと、今回の件で今までは自我を失った状態のいわば操り人形のような服従だったが。あいつに関しては自我を保ったまま俺に服従させるようにすることができた。これなら、他人に怪しまれないで済む。服従の効力が上がったってことだよな。
少しして、アーロンがやってきた。どうやら、終わったようだ。
「今回は、ありがとうございました。長年の目的であるクレイブをこの手で殺すことができたのもあなたのおかげです。」
「俺にもこいつには消えてもらいたかっただけさ。で?しっかり伝えたか?」
「はい、間違いなく。クレイブが何者かに殺されこと話。クレイブ家は崩壊したと、クレイブは死んだことによりあそこに居た者は解放され、部下たちも喜んでいました。」
「喜んだって、あいつ相当嫌われてたんだな。そのほうが助かる、敵討ちだーとか言って攻め入ってもらっちゃあこっちが困るからな。」
「その心配はありませんよ、みな、あのクレイブの独裁者のような行いが気に食わなかったようなので。 それと、何か私にできることがあれば言ってくださいこの恩はしっかりと返させていただきますので。」
恩を返すか、こいつの力は使えるが俺にとって厄介なのはあの時分かった。
ほんとに、あの時はかなり困惑したぞ。色んな意味で。
~クレイブの屋敷での事~
「え!???????」
俺は、後ろを向いたそこにはあの時の秘書が居た。とっさに距離をとった。
「あなた、あの時の。どうしてまたここに?」
......は?なんでこいつ、普通に聞いてくんの?普通怪しい奴が居たら捕らえるだろ、何考えてんだこいつ。それと、あの時?まさか!あの時も俺が見えていたのか?
「お前、なんか特別な力を持ってるのか?」
「私は人より見る力は優れていましてね、生まれ持った才能でしょうか。私は傍観者という称号を持って生まれてきたものですから。」
「傍観者?」
傍観者ってあの傍観者か?見ているだけでそのことに対して関わろうとしない人。
......そうか、だから見る力に特化したのか。これは使えるかもしれないぞ。というか俺はなんでこんな普通に会話してんだ。調子狂うな。
「私の称号の効果は空間認識能力、物体の位置や方向、大きさといったものを正確に判断し認識する能力。なので、見る事に関しては得意なのですよ」
「なぜ、それを俺に話す?お前たちを殺す人間かもしれないだろ?」
「あなたが、私達を殺すはずなのなら昨日来た時に簡単に殺せたはずです。ですが、あなたはそれをしなかった。だから......」
「だから話した、か? 馬鹿か、あんた。そんなんじゃ、その内死ぬぞ?」
「そうかもしれませんね、ですが死ぬ前にどうしてもやらなくてはならないことがあるのです。協力してくれますか?」
俺は、その話に乗った。利害の一致ってやつだ、それに俺の計画が速やかに実行できると考えたからだ。
~今に戻る~
まさか、こんな身近に俺の持つ『支配者』のような特別な力を持ってる奴が居るとは思わなかった。それに、これほどまでに計画が速やかに実行できるとは思わなかった。
俺がアーロンに伝えた段取りはこうだ。まず、エルフの姫との奴隷契約には俺がとった行動が必要だと書物に書いてあったと信じさせた。ここはさすが、秘書だけのことはある。俺なら確認するが、任せきっていたクレイブの失態だろう。次にアーロンに商人にもクレイブと同じように信じさせた。クレイブ家と奴隷商人の間で関係を持ってることはアーロンから聞いていたので。普段、奴隷契約にタち合わない人間を用意させれば気づかれないとふんだからだ。
最後に俺が魔術師になりすまし、先に姫を服従させ契約したように見せかけアーロンがクレイブを殺して、この結果というわけだ。
......今改めて思ったがアーロン、力使ってないよな?俺に対して、効果的な効果だけなら正直邪魔になる可能性のほうが大きい。服従させればいい話だが効かない場合もある。どうしたものか。まあ、でも今は。
「あんたの協力のおかげで俺の段取りがスムーズに事が進められた。このことに関しては感謝している。」
「......いえいえ、こちらこそ。助かったので それでは、エルフをどうしましょうか?」
そうだったな、こいつには本当の目的は話していなかった。話す必要もなかったしな。
さてと、ほったらかしにしてた姫様に何があったのか聞かせてもらうとしよう。
「解除」
俺はそう言いミランダ姫の服従を解いた。