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獣人国はもう目の前だ

その夜俺達は見張りを交代しながら過ごした、特に変わった様子はなく魔獣なども現れなかった。


「さて、二人とも行くぞ、おい出してくれ」


俺の命令で馬車は動き出した。


「......アルト様?顔色がよろしいようで何よりですが、何か良い事でもあったのですか?」


「うん、お兄ちゃん、元気なの」


「いや、特にそういったことはない......そうだな心の整理ができたってところか」


「心の整理ですか?まあアルト様が元気ならば私は嬉しいです!」


「私も嬉しいの」


「ありがとう二人とも。さてまだ獣人国までは掛かるが準備をしておけ、これから忙しくなるからな」


「はい(なの)」


王国を出て一夜を過ごし、早朝に出発し着々と目的地に近づきつつある。ここまでこれといって問題があるわけでもなく移動できている。二人にここらへんで魔獣などが居ないかエルフ特有の自然の力を使ってもらい索敵を行わせている。二人に確認を取ったところ近くには魔獣の反応がないそうだ、どうやら運が味方をしている。なので一旦エイミーとバロンに連絡を入れることにした。


(エイミーそれにバロン聞こえたら返答しろ)


(聞こえるわ、アルト様どういったご用件で?)


(聞こえている、今王国の使者と思われる奴らを尾行中だ)


(あら、バロンも居るのね、残念アルト様と2人で話したかったのに)


(エイミー文句を言うな、それでバロン今どんな様子だ。)


(馬車は3つ、前と後ろで護衛をしているようだ。真ん中が国から派遣された使者が乗っていると考えられる。襲うとしても俺一人では死にに行くようなものだ)


馬車が3つか思ったより多くはないな、魔獣に襲われても平気な編成を組んでいるのか?しかしまあいくら重要な事でも今の王国の状況を考えれば妥当な編成か。いや、本当に少数でも大丈夫だという事なのかもしれない。これまで魔獣たちに出くわすことはなかった、このことを考えるとどうやら国周辺の魔獣は粗方殲滅したのかもしれない。国は上手くギルドに入っている冒険者を使っているようだ、魔獣が現れても依頼で魔獣を冒険者が退治してくれる。冒険者は金と力を手に入れ国は魔獣を自ら手を下さずに減らしていくことができる......良くできているものだな。


(そうか、まあいい襲撃が目的ではないからなしっかり見張っておいてくれ。こちらが獣人国に入って夜になったら連絡を入れるそしたら合流してくれ。そこで先ほどの話を聞く)


(承った、なら俺は尾行に戻る)


バロンは通信を切った。


(......終わったの?放置されるのもゾクゾクして良いのだけど、早く私も構ってほしいわね)


(......今はどのような感じだ?ジェイクと協力し殺しているか?)


(スルーなのね、まあいいわ。ええ、昨日は4人殺したわ。そしたら他でも殺しが出てきたのよ、それには私は関わっていないのだけど。大方食料の奪い合いでも始まったんじゃないかしら)


(そうか。ならエイミー今から俺と合流しろ。ジェイクはそのまま王国に留まってもらう、ジェイクにそう伝えておいてくれ。何かあれば俺に連絡しろとも伝えろ。)


(分かったわ、ジェイクに伝えておく、合流したら私を褒めて欲しいわね♡)


(......ちゃんと命令をこなしたら褒めてやろう。くれぐれも勇者にだけは感づかれるなよ)


(分かったわ、アルト様。全てはアルト様の為に......。)


俺は通信を切った。

さて、エイミーが言うには王国ではエイミー以外で殺しが出たという事だ。これは好都合だエイミーの殺しが国民の感情を煽ったという事だろう。食料も少ない殆ど手に入らないなら他人から奪うしかないとでも思ったのだろうな。現在王国は無法地帯に近い、ならそういったことに対応するのも難しいだろう、それに国王も出てきていないらしいからな。この状況で国王は何をしているのだろうかね。




その後も順調に進んでいき、ついに獣人国と思われる国が遠くだが見えてくるところまできた。


「おい、あそこに見える城壁に囲まれた場所が獣人国で間違いないな?」


「はい、間違いありません。あそこに見えるのが獣人国となっております」


俺は馬車を運転する男に聞いた、どうやらあれが獣人国のようだ。遠くではっきりとは分からないがアルトリアス王国並みの城壁だと思う。周りは木に囲まれていて森の中にある要塞って感じだ。


(アルト様、聞こえる?もう少しで着くわ)


(随分と早いんだな、なら馬車を止めておく)


(ええお願いするわアルト様♡)


男に馬車を止めるように命令し、馬車はゆっくりと止まった。二人はなぜ止まったのか聞いてきたので予め用意していた返答を言い納得させた。案外すんなりと了承したのでそこまで気にすることでもなかったようだ。二人に食事をするのはどうでしょうと提案され食事をしながらエイミーを待つことにした。腹が減っては戦ができぬとはよく言ったものだ、まあ本当に戦が起こるとは思わんが食える時に食っておくのが賢い選択だろう。



さあ、エイミーが合流すればいよいよ獣人国での目的を始められる。バロンの話も気になる、話の内容によってはやる事も増えるだろう、さてここからどう展開していくか楽しみだな。


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