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過去との決別そして彼はアルトとなる

今回は短いです。

俺は未だに夢を見る、あの時の光景を......



車の中で見た彼女と親友の楽しそうに話す姿......



真相を聞けずにあっけなく事後で死んだ俺......



もう、あの世界の草凪悠人はもう居ない......



俺はアルトであって悠人じゃない......



忘れたはずなのに......



未練はない......もう彼女の事は好きでもない......だけど......



なぜ一緒に居たのか......なぜ親友は嘘をついたのか......



なぜ俺を裏切ったのか......知りたがっている俺も居る......



「裏切られてなんかいない、理由があるはずだ。お前だってそう思ってるのだろう?」


何時からいたのか分からない、そいつは自然と現れた。しかも見覚えのある顔で......。


「誰だ、お前は......まさか俺か?」


「そう俺はお前だ、草凪悠人だ」


「そんな男はもう居ない俺はアルトだ」


「いいや悠人もアルトも同じ俺らじゃないか、なぜ捨てようとする?」


「......。」


「お前は帰りたくないのか?元の世界に美香と和也が居る世界に」


「戻ってどうするんだ、それにあの世界で俺は死んだんだ。もう戻ることはできない」


「なぜお前は帰る努力をしていない、今の現状を受け入れようとするまだ戻れないと決まった訳じゃないだろ」


「......。」


「きっと美香と和也も心配している」


「心配?死んだ人間をどう心配するんだ」


「......。」


「お前は確かに俺だ。それは認めよう、だがお前は俺の弱い部分あの世界に未練がある俺自身、捨てたはずの俺だ。もう一度言う俺はアルトだアルトとして生きていく」


「それで本当にいいのか?お前は知りたいと思わないのか理由を......」


「......構わないさ、でも知りたいと思ったのは事実だ、そしてそう思った俺はお前だ悠人。この世界に来てなお甘さが残る弱い俺だ。俺はこの世界で生きるために過去の......弱い自分を超える。それにな俺はやることが出来た俺はこの世界を手に入れる、せっかく女神様から力を授かったんだ面白い事しなくては勿体ないだろう?」


「......そうか、俺らしいな。お前は選んだのか過去を思い出を消し、この世界で生きることを......なら俺からはもう何も言うことはない好きに生きろ俺......いやアルト」


「......ありがとうと言っておくよ、心の中で思っていたこととケジメを付けることができた俺はこれからアルトとして多くの血を流し、手を汚すだろうが必ず俺は目的を果たす。これが過去との決別だ」


「......ああ、そうだな」


俺の目の前に居るもう一人の俺は光に包まれ消えていった。消えた時俺の中で何かが変わった気がしたそれが何かハッキリ分からないがもうあいつらの事は何とも思わない。これで心身ともに本当の意味で悠人である俺自身と決別しアルトになったのだと思った。


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