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魔獣の接近

「アルト様、これからどうするのです?王国へ戻るんですか?」


「......王国」


「いや、戻らない。このままこの辺りを探索して、獣人国に行こうと思ってる。」


「獣人国......ですか?」


「あそこは、嫌いなの。王国の次に」


「まあ、エルフにとっては余り良い印象ではないだろうが。エルフの国を再建させるには必要なことだ。」


「それは、なぜなのですか?」


「......???」


二人とも首を傾げて、分からないという反応を俺に見せてくる。


「獣人国は、表向きは王国との協力関係となってはいるが、俺には獣人国は王国の属国になっていると思っている。それを確かめるのも含めて獣人国に行くのさ。まあ他にも目的はあるがな」


「分かりました、私はアルト様に従います。」


「私も、姫様と、一緒。お兄ちゃんの言うことに、従う。」


話が早くて助かる、さて。ジェイクと商人に話しておくとするか、ジェイクに逐一報告しろと言ってきたが未だ一度も報告してこない。ということはそこまで現状は変わっていなということか?なんにせよ、王国の動きをチェックするのと同時にジェイクの現状も報告してもらうとしよう。


(ジェイクに商人、聞こえたら返事をしろ......)




その頃王国では (ジェイク視点)


「ねえ、ねえ。パパ~。いつになったらおにいちゃんたち、かえってくるの?」


「そうだな~。ミウがちゃんといい子にしてたら近いうちに帰ってくると思うよ。だからいい子にしてくれな?」


「うん!わかった!いい子にしてる!」


「よし、いい子だ。じゃあパパは出かけてくるからいい子にしてるんだぞ?」


「はーい!」


私は、ミウを宿に置いて城に向かった。今は自分達の家ではなくアルト様の使っている宿屋を使わせてもらっている。なぜかというと、あそこに居ると妻を思い出して悲しくなるためだ。アルト様がエルフの集落に向かう前に許可も頂いたので問題はないでしょう。



城に着くと、中に案内された。そこには私が今着ている王国直属の魔術師の服を着た人が沢山いてよく見るとそこには勇者達も居た。整列をして国王陛下を待った。しばらくして国王様側近と共に現れて一斉に膝をつき頭を下げた。


「皆の者、良く集まった。顔を上げてくれ。今回皆を集めたのは他でもない。このアルトリアス王国に魔獣の群れが接近しているとの情報が入ったためだ。冒険者達の情報ゆえ信用は出来ると考えている。そこで我が王国直属の魔術師である君達にこれの殲滅を命令する。絶対に王国に入れさせる出ないぞ。今回の指揮は英雄レンに頼んである。後は頼んだぞレン」


「はい、国王様」


チャールズ4世国王様はレンに任せ側近と共にこの場を去って行った。


「では、魔術師の皆さん。私がレンです。知ってる方もいらっしゃると思いますが名乗っておきます。今回は私が指示しますので魔獣の殲滅頼みましたよ。作戦については......」


その後勇者の作戦を聞き解散した。私はすぐに宿に向かった。




「ただいま、ミウ。いい子にしていたか?」


「あ、パパ―!おかえりー!いい子にしてたよー」


「そうか、偉いぞ。ごめんな、食事は待っていてくれパパ少し話をしてくるから。」


「うん、わかった。本よんでる。」


私はミウから離れアルト様に報告をしようとした。

しかし、アルト様から連絡が入った。



(ジェイクに商人、聞こえたら返事をしろ......)



(アルト視点に戻る)



(はい、アルト様。ジェイクです。)


(聞こえていますアルト様。)


(ジェイクに商人反応が早くて助かる、さて、早速本題に入るとしよう。王国に魔獣が接近しているそうだ。そっちで何か動きはあったか?)


俺の質問にまず商人が答えた。


(いえ、そうなのですか!?チラホラ噂はされているのを聞いていただけでございます。)


(そうか、ジェイクはどうだ?)


(その件ですが、丁度報告をしようと思っていたところです。)


(ほう、なら聞かせてくれ)


(はい、アルト様。先ほど国王様に国王直属の魔術師が集められて私もその場に行ったのですが、そこで魔獣が接近していることを知らされこれを殲滅しろとの命令が下されました。それと今回の作戦の指揮をするのは勇者様です。)


(そうか、報告ご苦労。なら作戦内容はどのようになっている?)


(国の数キロ先に魔王国軍と戦争をしたところがあるのですがそこの王国の城壁ほどではないですが壁があるのです。そこに魔獣を誘導し魔術で囲み一網打尽にする作戦になります。)


(まあ、妥当な判断だな。城に近づけるわけにはいかないからな、だがどうやって誘導するんだ?魔獣は何処から現れるか分からないぞ?)


(それについては、簡単です。魔獣は強い力を持った者に引き付けられるのです。魔獣は人を食べてエネルギーを吸収する生き物ですから。勇者様が引き寄せてくださるそうです。)


そうか、だから最初にこっちに来た時魔獣に襲われたのか。俺の力を吸収する目的だったのかあの魔獣は。ならあの時は一体だけでよかったな。群れで来られたら今の俺なら対処は簡単だが最初の頃の俺では死んでいたかもな。


(魔獣の特性は分かった。だがすべての魔獣がそうとも限らないのでは?)


(その可能性もあります。しかし、根っこの部分では強い人間をエネルギー源に変える本能的なものがあると私達は考えています。ですがまだ魔獣の事はよく分かっていないのが現状ですが。)


(そうか、まあ何が起きてもその時対処すればいいだけの話だ。自分の思い通りに行くことなんてそうそうないからな。)


(はい、心得ています。)


(ならいい。そして最後に、お前達に言っておくことがある。俺の服従を解いてやる、この場合裏切りにならないから自分の考えを示せ。)


((!?))


(アルト様、それはどういう。)


(言った通りのことだ、ジェイク。さあ、どうする?これで自由だぞ?)


(......お願いします。)


(......そうか、商人。ならお前はこれで自由だ。『服従解除』)


商人の服従が解除されたことによりこの通信からも消えた。


(さて、次はジェイクだ。お前はどうする?)


(私は......。)


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