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昇進

俺はその後もジェイクからの連絡を待った、だが一向に連絡がくる気配がない。

報告をするのに思ったより時間が掛かってるいうことか。

......裏切りの可能性も何わけではないが。正直それは考えにくい。なぜならあいつは俺の支配を受けている、あいつが演技をしているなら話は別だがな。まあ最悪ミウを利用すればいい話だ。


「アルト様―!ミウちゃんがお風呂に入りたいと言ってますので、私が一緒に入れてしまってもいいでしょうか?」


「ああ、構わんぞ!その方が助かる!」


「分かりました!じゃあ、ミウちゃん。一緒に入ろうね?」


「うん、ミランダおねえちゃん!いっしょにはいろ!」


二人は風呂の方に入っていた。こうしてみると姉妹だな。俺は一人っ子だったからな、兄とか居ればあんな感じだったのだろうか…まあ気にすることではないか。


「しかし、連絡が来ないな。こっちから連絡は…いややめておこう。俺の存在がばれる可能性がないわけではない。大人しく待っているとするか」



それから、数時間たって連絡がきた。


(アルト様、申し訳ございません。連絡が遅くなりました、報告が終わった後、妻と娘のお墓を造っていましたので。遺体は無いのですが形だけでもと思った次第でして、報告は無事終わりまして問題なく済ませられました。それで明後日から王国直属の魔術師になることが決まりました)


(そうか、それなら仕方がない。気にするな、しっかりと埋葬してやれ。しかしだ、墓は一つでいいぞ?娘のほうは生きているからな)


(そ、それは!本当ですか!!娘は、ミウは生きているのですか?)


(ああ、奴隷商に売られていたらしく、俺が引き取っておいた。今は俺の宿でミランダと風呂を入っている、お前もこっちにこい、少し話すこともあるしな)


(はい!すぐ参ります!本当にありがとうございました。この恩は私の人生を持ってお返しします!)


ジェイクからの連絡が途切れ俺はその場から動けなかった。俺はジェイクと話している時もジェイクが最後に言った言葉が頭から離れないでいた。


なん、だと。王国直属の魔術師になるだと、この国の魔術師は魔術協会にいる魔術師だけじゃなかったってことか?ジェイクのあの言い方だと直属の魔術師ってのはエリート集団ってことだよな。 まじでか、ぬかった。ということは作戦は失敗だ。そういうことなら勇者を召喚することができる魔術師はまだ居るってことだ。完全に俺のミスだ、よく考えればあそこにしか魔術師が居ないなんてことは考えられないことだった。あそこには精々100人いるかいないかだ、そんな人数で魔王軍と戦争なんてできるはずがない。


「ちくしょうめ!また、作戦を考えないといけないじゃないか。しかしジェイクがそのエリート魔術師集団に入るらしいからな情報は入ってくるだろう。まずはどの程度のレベルなのか探らないことには全滅させるなんて夢のまた夢だ。」


「何が夢のまた夢なんですか?アルト様」


「......いや、何でもない。ただの独り言だ。気にするな」


「そうですか」


「おにいちゃん!ミランダおねえちゃんとおふろ、はいってきたよ~。せなかあらいっこしたの!」


「そう、それはよかったな。風邪ひくと駄目だからしっかり頭乾かさないと駄目だよ?」


「は~い」


......ふ、娘が出来たらこんな感じなのだろうか…俺は何を考えてるんだか。そんなの出来るはずなんてないのにな、俺はこれから多くの血を流していくことになる、そんな俺を好きになるもの好きは居ないだろう。


「そうだ、ミランダ。約束通り、明日辺りにエルフの集落に行ってみるとしよう。一通りやることは終わったしな」


「本当ですか!?ありがとうございます!」


魔術師の事は現状出来ることは少ないだろう、とりあえずジェイクが来たら聞くとしよう魔術師の事は一旦置いておいて、エルフの事について調べて計画を進めるとしよう。俺の思ってる通りに都合よく使える人材が居ればいいが、居なきゃ別の使い方をすればいいだけの話だが、出来れば優秀な人材が欲しいところだ。



俺は、エルフの件について考えながらジェイクを待った。

数時間後ジェイクが現れて、早速ミウの傍に行った。


「ミウ!!!」


「あ!パパーー!!」


二人は抱き合って再会を喜び合った…早速聞きたいところだが、もうしばらくこのままにしておくか。だが俺に挨拶もなしにいきなり入ってくるとは無礼な奴め、一応俺はお前の主人なんだが、まあ仕方ないか今回は目をつぶろう。


「......あ、す、すみません。アルトさん。いきなり入ってきてしまって、ミウの顔を見たら体が止まらなくて」


「いや、気にするな。死んだと思っていた娘が生きていたのだから。その反応は父親として当然の物だ。」


お、しっかりさん付けになってるな。ここはさすがというべきか、助かるよ。


「ほんとに、ほんとにありがとうございました」


「......パパ?泣いてるの?どこかいたいの?」


「ううん、違うんだ。これはミウに会えて嬉しいから涙が出てるだけだよ」


「そうなの?ミウもパパにあえてうれしい!」


「良かったね、ミウちゃん。お父さんに会えて、大事にしなくちゃ駄目だよ?」


「うん!」


「ミランダさん、あなたにもお礼を、ありがとうございました」


「いえ、私も妹が出来たようで楽しかったですし、お礼を言われるほどではありません」


......さて、それくらいでやめていただきたいところだ。ジェイクには聞きたいことがある。


「なあジェイク二人で話したい、少しいいか?」


「はい、分かりました。ミランダさん、ミウを少しお願いします。」


「はい、分かりました、ミウちゃんは任せてください。」


俺達は宿を出て人が少ない所で話すことにした。

さあ、聞かせてもらうとしよう。これを聞かないと始まらないしな。


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