嫉妬は怖いよ
俺は今ジェイクの家の前に来ている、ジェイクから通信が来て俺は先にミランダに宿に戻るよう命令し今に至る。配下からも俺に通信できるのは初めて知ったな、それならなぜ今までやってこなかったのかは不思議だが、これについては後で聞くことにしよう。
「それで、どうゆうことだ。簡潔に話せ。」
「は、はい。朝帰ってきたら嫁と娘の姿がなく血眼になって探したのですが、見つけることが出来なくて。アルト様に助けを求めるのは愚かな行為だとは思ったのですが、もう頼るしか他に手が無くて。お願いします!アルト様!嫁と娘を助けてください!」
「まあ事情は何となく分かった、それで?なぜ助けてくれなんだ?ただ二人で出かけてる可能性があるとは考えないのか?」
「その可能性はないと思います、私は何度も嫁に魔術で通信を試みましたが繋がらないんですこんなこと今まで一度もありませんでしたから」
明らか、ジェイクの顔が曇っていく。最悪の展開でも想像してるのだろうか。
「ふむ、通信が途絶えているか。ジェイクが言うのが正しければ何かあった可能性は高いな。なら誘拐と想定して、お前の家族それとジェイク、お前たちに恨みを持った奴に心当たりあるか?」
こういうのは、大体恨みを持った奴の犯行ってのが多いからな。さっさと捕まえないといつまでもジェイクがこんな調子じゃ、邪魔になるだけだ。まあこの場で殺しても良いのだがまだジェイクには役に立ってもらわなくちゃいけないからな。それは最後の手段としてとっておこう。
「いえ、特に心当たりはありません。嫁は人当たりもよく人気がありましたし、恨まれるような事もしないと思います。」
人気があるか......ああ、何となくだが想像出来ちまったぞ。高い確率で男関係だな、それがどういう関係は分からないがな。
「おい、お前の嫁に前の旦那や恋人に心当たりあるか?」
「い、いえ。嫁に前の旦那が居たなんてことは聞いたことがありません。それはないと思います......前の男......あ!!一人います、ドミニクという男なのですが。同じ魔術師です。」
あ、ビンゴ。一番の容疑者がでたぞ。ドミニクか、同じ魔術師なら魔術を妨害やら出来るかもな。
「なら、ドミニクという男が怪しいな。だが、どこに居るか分からない。これだと探しようがないな」
「はい、私にも......待ってください、誰からか通信が来ました。」
なぜか、俺にも聞こえてきた。配下にしているからだろうか断片的であるが聞こえてきた。
(よ...と...めは...ずかった とり...くば まじゅ...かいに こい)
「あ、アルト様!嫁と娘が!魔術協会に!」
「ジェイク落ち着け、俺にも何となく聞こえた。間違いなく誘拐されているな。それとお前に用があるみたいだ。」
「......は、はい。そのようです。では早く魔術協会に向かいましょう!付いて行ってくれますか?」
「ああ」
「ありがとうございます」
俺達は魔術協会を目指して走っていった。
こんな形で魔術協会に行くことになるとは、思ってもみなかったな。これなら今計画を実行に移すとするか。
俺とジェイクは魔術協会に来た。入口の前では2人の男が立っていた、考えてる暇もないので俺を認識できないようにする。
「どうしますか?アルト様?......あれ、アルト様?」
「安心しろ逃げたりしない、力を使っただけだ、さっさと行け。俺も後ろから付いていく」
「あ、はい、分かりました。」
ジェイクは入口に向かった。男達に引き留められた、まあ予想はしてたがな。
「ジェイクさん、お待ちしておりましたよ。ドモニクさんがお待ちです。」
「......お前達、やっぱりドミニクからの通信だったのですね」
どうやら、こいつらもグルのようだな。名前を言うあたり隠す必要はないみたいだな、そうとなるとこいつらがジェイクをどうするか検討はつく。
そんなこと考えてるうちにジェイクは男二人に連れていかれた。おっと、見失わないように付いていかなきゃな。俺もジェイク達の後を追った。
「ここは、訓練場。」
「早く、入れ」
男達にせかされジェイクは入っていった、俺も扉が閉まる前に訓練場とやらの部屋に入った。
「やあ、ジェイクさん。お待ちしておりましたよ」
「ドミニク!なぜ、私の嫁と娘をさらったのです!私に用があるなら私だけを狙えばいい。妻と娘は関係ないはずです!それに私はあなたに何かをした覚えはありません。」
「だからこそですよ、それに私はあなた達が許せなかった。本当なら私の嫁になるはずだった、それをお前が奪った。そして何をしたか知らないですが上官になるはずだったのに私ではなくあなたが上官になった。私から女も地位も奪っておいて何かした覚えはありません、だと?ふざけるなあああぁぁぁぁ!!!
......ふ、興奮しすぎたようですね、まあ話はこれくらいにしてすぐにあなたを嫁の所に送ってあげましょう。」
「な、い、今......なんて」
「ふふ、あなたの嫁に会わせてあげると言ってるんですよ。まあ死ななくちゃ会えませんがね。」
「......ああ、ああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!許さない!!許さない!!許さない!!殺してやる!!!」
「フレイム!!」
ジェイクの手に魔法陣が浮かび上がり、魔術が発動...するかと思ったが発動する前に魔法陣が消滅した。
「な!?なぜだ!?魔術が発動しない!ドミニク!一体何をした!!......ま、まさか!?」
「そうです。私は禁術である禁忌第Ⅱの魔術を使用したんですよ、まったく大変でしたよ禁術は大量の人間の血が必要ですし人間の血で魔法陣を描く必要がありますからね。
もう、お分かりいただけたでしょう?まああなたの嫁だけでは足りませんでしたからね、あなたの友達の血も使わせていただきました。見てください、これを!まさに芸術!!これで、ここ一帯の人間は私以外魔術を発動することはできない!!さあそろそろ皆の下に送ってあげましょう」
「そ、そんな。」
こいつ、ただの嫉妬野郎じゃないか。悲しいね おっとそろそろ、やばいか。さて、計画を実行しますかね。遅れて登場するあたりヒーローってところか?
まあ俺がヒーローなわけないがな。
「おっと、少し待ってもらうとしよう。」
俺は力を解除し姿を現した