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エルフの姫

「......ここは契約を結ぶ場所......それに貴方は......私は一体」


どうやら、覚えていないらしい。支配されている時の記憶は解除されるとともに消えるらしい。なぜそうなるかは不明だが俺としては都合がいい。


「ミランダ姫、さっきまでの事を簡単に説明ますね。」


俺は、ミランダ姫にここまでの流れを簡単に余計なことは言わずに話した。

話したところで姫様が頭を下げた。


「そうですか、本当にありがとうございました、助けていただき感謝します。」


「い、いえ。頭をお上げください。一般人の私に姫様がこのような態度をとるべきではありません。」


「いえ、命の恩人に対して当たり前の対応だと私は思います......それに、私はもう姫ではありません。エルフの国は10年前に滅びているのですから。 それと、ミランダ姫ではなくミランダと呼んでください。」


「......わかりました。ミランダ姫、いやミランダ。」


ミランダには悪いが早速本題に入らせてもらおうか。


「まずは、私はアルトと言います、こっちに居るのが、アーロンです。 ミランダには聞きたいことがあるんですが聞いてもいいでしょうか?」


「アルト様、アーロン様ですね、分かりました。それで、なんでしょうか?私に答えられる事ならなんなりと」


「では、あなたはどうやってこの10年間を生き延びてきたのですか?なぜ、今回まで見つからずに生きてこれたのか、教えてもらいたいのです。」


こんな20歳にも満たないような少女がどう、10年間を生き延びてこれたのか。

不思議でしょうがなかった。


「......分かりました。では最初からお話しします、10年前に起こったことから今に至るまでの私の物語を」



~10年前~

私はまだ8歳の頃でした。そのころにはもう王国との戦争にほぼ負けていて領土も3分の2以上奪われていました。しかし、私達エルフは人間とは違い生まれながら誰もが魔術を使える種族なのです。なので、最終防衛線いわばエルフ国の城壁で国王軍を何度も退けていました。このままいけば少しずつ形成を逆転していくことができるはずでした。

......ですが、ある日を境に次々に兵士たちが変死していったのです。原因が特定できず、兵士は疲弊しその2か月後には城壁を突破され国の中に侵入を許してしまった。国民は、殺され綺麗な女性は捕虜になり奴隷にされていきました。私の父上はもう駄目だと思ったのでしょう、私を逃がし降伏しました。

それから、私は森を彷徨い、空腹に耐えられず倒れてしまいました。私は死を覚悟しました。

そんなところに一人の人間の女性がやって来て私を村まで連れて行ってくれたのです。

そこは、人口の少ない村でした。そこでは、エルフの私を国に知らせることなく匿ってくださいました。ほどなくして、村の人に聞いてエルフの国は滅んだと、国王と女王は処刑されたと聞きました。

私はこの時、なぜ自分だけが生き残ってしまったのか。あのまま死んでしまってたら楽だったのにとずっと考えていました。それを、村の人たちは励ましてくれて、私に寄り添ってくださいました。私は、非道で邪悪な人間しか見てこなかったので。人間にもこんなに優しい人たちが居るのだと初めて知りました。それからの私は村の人と一緒に生活をしていきました。この生活がいつまでも続くようにと願いながら。それから10年が過ぎて村の人と新たな人生を始めて私はここで一生を過ごすのだと思っていたのですが、3週間前村に国の人達がやってきたのです。

「ここに!エルフの王の娘らしきエルフが居ると情報を得てやってきた!直ちに身柄を引き渡せ!これは、王の命令だ!」

馬に乗った男がそう言った。私は家の中に隠れていました。

少しして、村長がやって来ました。

「そのような人物はこの村にはいない、すぐに立ち去られよ。」

「…ほう…そうか、あくまで匿うか。なら、王への反逆とみなす」

男は剣を出し村長に向かって振り下ろした。その光景を見ていた村の人たちは悲鳴を上げ逃げまとった。

「皆の者、この者たちは王へ反逆した。蹂躙し。 あぶりだせ!」

すると、男達は次々に村の人たちを殺していきました。私は足がすくんで動けなかった。私のせいで村の人たちが死んでいくのをただ見てることしかできませんでした。私とよく遊んでくれた少女が死体になってるのを最後に見てそこからは、あまり覚えていないのです。

気づいた時にはすでに、私はあの男達に捕らえられ、奴隷として売り飛ばされ今に至ります。



「これが、私の10年間です。」


「それは、大変な......いや、私が何を言っても意味はないですね。これはあなたにしか分からない、苦しみも悲しみも他人には決してほんとの意味で理解できる人はいませんから」


「アルト様......。ありがとうございます。なんだか、話を聞いていただけただけでも少し、気が楽になったような気がします。」


「礼を言われるほどではありません、ですが、一つだけお聞きしたい。あなたは、これから何がしたいですか?」


俺は別に姫を助けることが目的じゃない、その後が目的だ。エルフに恩を売りつけられるからな。だが、話を聞いてそれは、無理だと分かった。俺が思ったより状況が悪い。となると、この姫をどうするか。ミランダが何をしたいのか聞き出さなくてはな。


「私は......私は、国を、エルフの国をもう一度。人間に虐げられてるエルフを開放し新たなエルフの国を作り上げたい」


......国を再建したいか。正直今のままじゃただの夢で終わるな。力も知識もない、それと問題は王国だけじゃない魔王国もある、ただただ、潰されていく未来しか見えないな。そんな、お先真っ暗なミランダに協力するほど、俺は優しくない。まあ今のところはな。


「そうですか、ミランダ。あなたの考えは分かりましたが、ですが今のままでは潰されて終わるのが関の山です。」


「......はい。仰る通りだと思います…なのでどうか、アルト様。力をお貸しください。」


「......すいませんが、私は協力できませんね。決定打がない、それに私は国の再建に役立つよな力は持ち合わせていないのです。情報もなさすぎる今の現状ならなおさらです。」


「......そうですか。いえ、すみません助けていただいた身でありながら図々しいことを言ってしまいました。」


「ミランダ、私は国の再建の協力はできないと言っただけで、身を隠す手伝いくらいは出来ますよ

......ミランダがそれを望むならですが。ですがあなたの立場上奴隷として過ごしてもらうことになってしまうのですがいかがですか?」


「え!? アルト様......ありがとうございます。私にはもう行く場所も帰る場所もありません、奴隷として私を傍に置いてください。」


「分かりました、では、奴隷契約をします。奴隷の紋章を見せてください。」


俺は、奴隷契約するためにミランダに紋章を露出させた。ミランダは少し頬を赤く染め奴隷服に手をかけ右の胸の上をあらわにした。そこには、紋章が刻まれており、俺は自分の血を人差し指と中指につけ紋章に触れた。


「汝、我を主人と認め。奴隷となることを望むか」


「はい、望みます。」


ミランダの奴隷の紋章が赤く光った。


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