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星空を手にいれた日

作者: 尾立昂

作者の実体験をほぼほぼ投影してみた。

所謂、実話を基にしたお話です。

ある日、私は星空を手に入れる方法を知った。


帰宅途中の電車の中、いつものように暇つぶしがてらツイッターを眺めていると、

フォローしている夜空を専門的に撮影している写真家(カメラマン)の呟きに目が止まった。

きっと彼のフォロワーから同じような質問が相次いだんだろう。

「Canon PowerShot G9 X」とその撮り方、実際の写真が紹介されていた。



携帯の発展で人との繋がりや情報も普及されたけど、

顕著に変わったことは、日常生活に写真機(カメラ)が溶け込んだことだと思う。

私の子どもの頃は、写真機(カメラ)はちょっと贅沢な大人の玩具だと思っていた。

今じゃ何気ない瞬間も瞬時に記録できるのだから。


ただ、どんなに高性能(スペック)を謳ったって夜空は手に入らなかった。

撮ったところで画質の荒い夜の色にぼやけた月の輪郭が写るだけ。

私が欲しいのはすぐ眼上に広がっている夜空。

包み込んでくれる暗闇に散らばる星粒の瞬き、突き刺すように眩しく輝く月光。

その神秘的な美しさや感動だというのに。



次の休日、さっそく購入した。

これで夢が叶うかもしれない。

そう思えば即、清水寺の舞台から飛び降りれた。

神様も応援してくれたのか、その日の夜空は雲一つなかった。

ベランダにでて、小さな三脚に写真機(カメラ)を固定。

写真家(カメラマン)の言う通り、取り扱い説明書通りに

星空モードにして、フラッシュを焚き、ゆっくりシャッターボタンを押した。


そこには、深緑のような明るい黒の中に砂銀のような星粒が点々とあった。

「都会の空にも星はあったんだ」と思い出した。

子どもの頃は見えていたはずだったのに、電子機器からの電光や負いに侵された目は

いつしか都会の夜空から星をすっかり消していた。


確かに星は私の手中に入った。

私の夢は叶ったのだ。

でも、何故だろう。

心どこかで空しさと渇望を感じていた。












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