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七度

遅くなりました。m(__)m

不定期更新になりそうです。



ある日、ヒヨコが一匹増えていた。


いや、アサシンヒヨコが分身の術を会得したのではなく物理的なものだ。

昼食を早目に終え、その所為かお昼寝を何時もより早い時間に目覚めた私の顔の横から見下ろす宵闇色のエンニチと対照的な白いヒヨコ。

純白の羽と金色の瞳が綺麗で神秘的だ。因みにパッチリうるうるお目々の保護欲を誘うヒヨコさんである。


……どこのどなたかな?



「…エンニチの恋人?」

ブンブンブンブンブンブン。

エンニチが頭がもげる勢いで拒否反応を示した。違うらしい。


「…お友達?」

これには白ヒヨコがコクコクと同意をした。

ふむ、エンニチの友人か。

同意をした白ヒヨコにエンニチの飛び蹴りが炸裂するがヒラリと優雅に躱した。

をを、ダスティさんを沈めてきた必殺技を回避するとはなかなかやるな。尚も執拗に攻撃を仕掛けるエンニチと舞うように躱す白ヒヨコ。

お友達と言われ照れているのか?エンニチはツンデレなのか?戯れる二羽の姿とボッチの私。

くっ、何故か負けた気分になるぞ。



どちらにしろエンニチの友人ならば飼い主として持て成さなければなるまい。

エンニチと白ヒヨコのじゃれ合いを一時中断させテーブルの上に乗せる。ソファーに置いてあるクッションをテーブルに置き二羽を乗せれば簡易ソファー代わりだ。

そのままキッチンに移動しオヤツを置いてある氷石の入った戸棚を開ける。

氷石とは私の掌サイズぐらいのつるりとした青白い石で、その名の通り氷の魔法を内蔵している。持続時間は約半年で箱の中に入れ扉を閉めれば中は冷え冷え冷蔵庫になるのだ。

とても便利エコである。

この戸棚にはダスティさんの手作りオヤツやパパさんやブラザーズ達が買ってきたお菓子があり自由に食べていいとの許可も貰っている。

ふむ、今日のオヤツはダスティさん特製プリンか。プリンの上にはクリームとチェリー、皿にはスプーンまで付いている。

最近ダスティさんに何か心境の変化があったらしく、細やかな心配りを見せるようになった。多少気にはなるが良い傾向なので放置している。

私とエンニチの分しかないので私の分をお客様に譲る事にしたのだが。

…白ヒヨコよ、何故そんなに驚いている。私がそんなに意地汚く見えるのか?

エンニチ、それは君の分だから食べていいのだよ。足で皿を私の方に押し付ける男前な姿に不覚にも胸がときめくじゃないか。白ヒヨコも真似しなくて宜しい。


「じゃあ、三等分にしよう」

「?」

「ピヨ?」


歪にはなるが二つのプリンをスプーンで三等分にし、クリームとチェリーはエンニチと白ヒヨコに。

元日本人としておもてなしの心は大事である。

二羽が嘴を上手に使い食べるのを横目で見ながらフルフル震える魅惑の菓子にスプーンを入れる。

…うまっ。素人なのでプツプツとしたスが入っているのはご愛嬌だが、ご近所の奥様方には及ばないものの最近ダスティさんの料理の腕前が上がっている。初めは焼くだけしか出来なかった腕前が飾り付けや丁寧さが加わり見た目も合格だ。


甘さの余韻に浸っていると、先に食べ終えた白ヒヨコがお礼なのかスリスリと身体を寄せて来るとエンニチも反対側から負けじとスリスリして来る。


ナンダコレ、可愛いじゃないか。

遂に私にもモテ期到来か。



その後、何故か白ヒヨコがちょくちょく部屋に遊びに来るようになった。


最近のお昼寝は右にエンニチ、左に白ヒヨコ。二倍ヌクヌクで幸せである。





◆◆◆◆◆◆◆




「……シュバルツ様、せめて当家に来るなら来るで一言いただきたかったです」

『親が我が子の様子を見に来て何が悪い』

「雛の姿で行く必要があるのですか」

『その方が楽しいだろう?余程我がそなたの娘に近づくのが気に入らなかったのであろうな。ククク、二番目は我を排除しようと必死だったぞ』

「エンニチ様は独占欲がお強いですから。私たちも睨まれています」

『我もそなたの娘を気に入ったぞ。二つしかない菓子を二番目と我に譲るとは思わなんだ。本当にあれはそなたの娘か』

「正真正銘私の娘です。セラフィーナは聡明で神秘的で愛らしく美しく可憐で思いやりに溢れる素晴らしい娘なのです!」

「セーラは文字もすぐに覚え、この歳で計算も読み書きも出来る才女なのです!」

「セーラは、可愛くて優しい」

「将来美人決定!世界中の男どもが列をなしてセラフィーナ様に求婚しに来ますぜ!」

『……お前達の溺愛はよく分かった。

まぁ、確かに愛らしく心優しい娘だな。その辺の女子どもに爪の垢を煎じて飲ませてやれ』

「「「「 勿体無い!(です) 」」」」

『そ、そうか』




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