十八度
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もうすぐ桜が開花するそうですね。連日夜中まで仕事が続いてるので、夜桜は見れるかなぁ。
_φ( ̄ー ̄ )
浮気男はいねが〜、悪い男はいねが〜、浮気男は抹殺だ〜
なまはげのノリで今の心境を表現しています。
前世、ロクでもない男と付き合っていた苦い思い出もあり、浮気男はこの世界から消滅すればいいと思う。
なので無条件で女性に加勢するべく辺りを見回せば一組の男女の姿を発見。しかし両方ともまだ10歳ぐらいにしか見えない。
…なんだ、お子ちゃまの喧嘩か。
少女の方は濃い金色の髪で、何と今では絶滅寸前(?)の縦ロール。少し吊りあがり気味の瞳は勝ち気そうな印象の顔を更に強めている。
頭には大きな鳥の羽を使った髪飾り。ドレスはピンクに黄色やオレンジ色のカラフルなレースを様々な位置に付けたワインレッド。
しかしながらワインレッドは人を選ぶ。グラマラスな妖艶さを持つ大人の女性なら似合うだろうが、子供らしくカラフルなレースをたくさん付け、大人の女性を意識したカラー。中途半端過ぎて、、いや配色センスが壊滅過ぎて全く似合っていない。
羽の髪飾りと相まって仮装のようだ。
少年の方は大きな瞳に淡い茶色のクリクリ天パがかった柔らかい髪。
少女とは逆にやや垂れ下がる目と眉。困り顔の顔が似合う、一部のお姉様方を胸きゅんするであろう可愛らしい美少年だ。
緑と白を基調とした従者風の服を着用してしるが、主人であろう少女の背後に隠れおどおどしていたりする。いいのかそれで。
しかし修羅場では無かったか。残念だがお子ちゃまの喧嘩に用は無い。
肩を落とし、パパさんの元に戻るべく踵を返した背後から慌てて呼び止める声が上がる。
「ま、待ちなさい!貴女よ貴女、そこの銀髪の貴女よ。なに他人のふりをしてるのよ!」
「?…私ですか」
「そうよ貴女よ!!まぁいいわ。…コホン。覚悟はいいわね、わたくしから御子様を奪ったこの泥棒ネコ!」
上体を反らしながら左手を腰にあて、右手で私を指差しドヤ顔の決めポーズ。顔に似合わず愉快な性格のようだ。
「ふん、自分の罪に声も出ないようね。
大体御子様はわたくしのものよ!何で貴女みたいな平凡な顔の…顔………こ、子供が引っ付いているのよ!」
「姫様ぁ〜、無理に言葉を変えてもこの子、平凡どころか姫様よりも100倍可愛らしくて姫様よりすっごく綺麗ですよ〜。お辛いでしょうが現実を受け入れましょうよ〜」
「キイィィィッ!マリウス、貴方は黙っていなさい!!わたくしの方が遥かに超絶に美しいわよ!」
「……」
「何とか言いなさい、この駄犬!貴方わたくしの従者でしょう!?」
「で、ですが姫様が黙ってろと〜」
「…もう嫌ァ!!何でこんなのが、この、わたくしの、従者なのよー!!」
「あれ、もしかしてお忘れですか〜?姫様が事あるごとに無理難題を押し付けて〜、序でに凶暴で煩くて我が儘ばかりでしたからみーんな辞めていったではありませんか。何十人も辞めていくって、ある意味才能ですよ姫様〜」
「こ、この駄犬!今からお前のその口を縫い付けてやるわ!」
「でも姫様は裁縫が苦手なのでは?この前みたいに針で自分の手を縫い付けたりしないで下さいよ〜。あの後大変だったんですから〜」
「キイィィィッッ!!」
おーっ。
頭を抱えブルンブルンと揺れる縦ロール少女に向かいエンニチと一緒に拍手を贈る。
前世、生のお笑いライブを見る機会はなかったが、この世界でコントが見られるとは思っていなかった。
素人漫才だが、主従キャラクターの濃さとテンポ良いボケツッコミの掛け合いは高評価だ。
私たちの拍手が気に入らないのか、少女は抱えた腕の隙間からこちらをギロリと睨み付けるとふんっと鼻を鳴らす。
「この駄犬はどうでもいいわ。
いいから御子様をこちらに渡しなさい。わたくしのものよ」
「ミコサマ?…エンニチ、もしかして君の本当の名前はミコサマなのか?」
目を見開き心外だと言わんばかりに、ブンブンブンブンと否定するエンニチ。
確認してみただけだから止めなさい、首がもげる。
となると、もう一つはヒヨコ違いの可能性だがこんな目付きの悪いヒヨコがそこかしこに居る筈はないだろうし。
…いや待てよ。前にパパさんがエンニチの前にもう一羽兄弟がいると言ってたような。
なるほど。
「ヒヨコをお間違えでは?」
「んっまあぁぁぁ!そうやって誤魔化そうとしているのね。何て小賢しい」
「いえ、このヒヨコはエンニチと」
「お黙りなさい。どうせその悪知恵で御子様を誑かせたのでしょうが、わたくしには通用しないわ。
さあ、御子様。わたくしと共に参りましょう」
人の話を聞け。
縦ロール少女は自分の言いたい事だけ言い、こちらに近付く途中でなにかに気付いたのか蔑んだ目でこちらを見た。
「…あら?御子様なんですか、その粗末なネックレスは。ふん、これだから貧乏人は。
部屋に帰りましたら、わたくしがもっと素晴らしい品をご用意致しますわね」
エンニチの動きがピタリと止まった振動で、首にぶら下げていたパープルダイヤのネックレスが静かに揺れる。
あ、ヤバい。
◆◆◆◆◆◆◆
『…おや?』
「んー?どうしたシュバルツ」
『いや精霊がの、お前のところの小娘が部屋を飛び出したと言っておるのだが』
「あいつ、また授業ほっぽり出したのかよ」
『向っている先は中庭らしい。因みにセーラと二番目も中庭におる』
「…は?」
「…ほう」
「……すっげーマズイんじゃねえか、それ」
『あの小娘は我の羽を毟り取ろうとした愚か者ぞ。何も起こらないわけあるまい』
「では国葬の準備を」
「それマジ洒落にならねえから!…ん?いやでも真っ黒もセラフィーナの前で物騒なマネはしないんじゃねえか?」
『そうだな、セーラの前では、な。』
「なるほど、やはり国葬の準備をしましょうか」
「おいっ!誰か中庭に行って馬鹿娘を連れて来い!」
この主従漫才はサクサク書けました(笑)




