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十三度

短いですが、久々の連日投稿です。

本来ならば前回はここ迄のはずでしたので。

「セラフィーナちゃんや、この上に手を置いてくれるかのう」


ガランとした室内に老人の声がよく聞こえる。

神官らが出て行くのを確認し息を吐く。

やっと呼吸が出来た気分だ。知らない大人に囲まれて無意識のうちに緊張していたようだ。


え、魔気を防いでいた結界?

勿論しっかり取った。老人が私の頭にポンポンと二回触る。終了。

……呆気なかった。こう魔法陣とか光が辺り一面ビカビカ!ってなるかと思っていたのだが、何も起こらなかった。

私も大概ファンタジーに脳を侵食されていたようだ。


老人に促されるままに水晶玉を置いている大理石に似た質感の台座に近付くと、ヒンヤリとした水晶玉の上に手を置く。

すると手を置いた水晶玉の内側からぼんやりと三つの光が浮かび上がってきた。

私の横で屈んで水晶玉を覗き込んでいた老人が破顔し、私の頭をポンポンと触って言った。


「ほぅ、セラフィーナちゃんは三属性持ちじゃのう。どれどれ」


三つの中の一つが緑色に淡く光って消える。


「これは風の四等星じゃの」


よし!風ゲット!これで火が来れば温風ヒーターだ。冬でも寒くないぞ♫

さあ、次は火よ、来い!

次に黄色が強いクリーム色に似た光が先ほどより強く光る。


「ほう!珍しい、レア属性祝福のしかも二等星じゃ。可愛らしいセラフィーナちゃんにピッタリな魔法じゃぞ。

正確には増幅、相手の身体能力や魔法を増幅することが出来るんじゃ。

つまり、セラフィーナちゃんがお爺ちゃん強くなれ〜、とお願いするとお爺ちゃんが強くなるんじゃ。最も術者、つまりセラフィーナちゃん自身は強くはならんがの」


ち、火じゃなかったか。

祝福とやらは温風ヒーターが強力になるわけじゃなし、無双も出来ない使えない魔法だ。まあパパさんたちのサポートに使えるならいいか。

さぁ、火火火〜、暖か熱々火よ〜。

そして最後の一つが光った、瞬間。


ーーカッッッ!!!


今までの比ではない攻撃的な光が閃光となり部屋中を一瞬で清白色に染め上げた。

ま、眩しい!め、目が、目が〜っ!

眩しさでギュッと目を閉じていた私の耳に老人の呆然とした声が聞こえた。


「……ゼ、ゼ……」


あん?呼吸困難か?


「……ゼ、ゼロ、0等星じゃ、と…」


ゼロ?0等星って最高位ランクの……いや今はそれよりも属性、属性は一体なんだ?火の属性は赤だった筈なのにあの光は青白い色をしていたぞ。嫌な予感しかしないのだが。

漸く目のチカチカが収まりゆっくりと目を開くと、固まった家族たちの姿。

…0等星とはそんなに凄いのだろうか?まだ魔法を使った事がないので今一ピンとこない。



「……セーラ、0等星?」

「何の冗談すか?」

「…耄碌されましたか?」


「誰がボケたジジイじゃ!いいかよく聞け、セラフィーナちゃんはレア属性、氷の0等星じゃぁぁっっ!!」



………………はい?


…………こ、お、り?…あの冷たい?

ツルツルの冷え冷え?…


は、は、はいいぃいぃぃっっ!!??





◆◆◆◆◆◆◆





「…はぁ、長生きはするもんじゃのう。

おい、ハンソンこの事態を理解しておるのか?歴史上四人目の0等星じゃぞ。

初のサミローダ国出身、初のレア属性、初の女性、初めてだらけじゃ。しかも公爵令嬢で御子様の守護付き……どうなる事になるか想像もつかんわい」

「それがどうしましたか?私たちの望みはセーラの平穏のみ。それを邪魔するものは国だろうが神殿だろうが何であろうが…」

「排除します」

「全て消滅」

「全員暗殺すね」

「……シュババババッッ!!(無数の蹴り)」

「お前ら聖職者の前で物騒なセリフを言うでないわ!」

「私たちに国を落とされないよう、頑張って下さい。お祖父様」

「…は?お祖父様って」

「ああ、ダスティには言ってなかったかい?私の一人目の妻は大神官の娘、つまりこの方の娘だ」

「……どええええっ!?マジっすかー!?」

「わっはははは!なんじゃその間抜けヅラは。わっはは、マジも大マジじゃ。

ロンとセラフィーナちゃんとは血が繋がってはおらんが三人とも可愛いワシの孫じゃぞ。

なんじゃ、噂の《雷撃》はなかなか愉快な性格をしておるの。平民出のレア属性雷、確か三等星だったか」

「俺の事はどうでもいいすよ。それよりセラフィーナ様は知らなかったみたいすけど?」

「それがねぇ、お祖父様に口止めされたのさ」

「仕事で正体を明かすなんて嫌じゃ〜。こんな辛気くさい場所ではなく、ワシは海の見える最高のシチュエーションで夕日を背にカッコよく正体を明かすんじゃ〜」

「はぁ、」

「可哀想に、セーラはお祖父様の存在を一生知らないままになりそうだね」

「可愛い孫の為に神殿の方は宜しくお願いしますね、お祖父様」

「ルイスは打算まみれで可愛くないの」

「お祖父様、ファイト」

「ロンはもう少し感情を込めておくれ」

「……煩いジジイすね」






孫馬鹿お爺ちゃん、書いていて楽しかったです。

目が〜の場面。分かる人には分かりますよね(笑)


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