第三話
全体的に落ち着いた色にまとめられた部屋は、当時の私が無課金でこつこつと貯めては気に入った家具を買って揃えたものだ。
あの時は、ポリゴンで分かりにくかったけど割りと使いやすさ重視にされているのがわかる。
妙にリアルに考えて作った家だからトイレからキッチン、お風呂までこだわりまくって無駄にお金をかけた。
今、思い出しても恥ずかしい。
もしも、このゲームの中で過ごすならなんて考えながら作ったのだから。
現実になんてならなくて良かったものを....
ため息をついて家を物色する。
中身の設定は、制限があったはずだ。
まぁ、持ち歩かない物をあれこれしながら詰め込んだ記憶しかないが。
なんで、旅の鞄の上限が三十しかないのか疑問だったわ。
最初に貰える旅人の袋は、上限五だったし。
ある意味リアルで、序盤は苦労したなあ。
召喚士は、たまごを召喚するジョブだったから色々召喚に必要なものあるのに上限いっぱいに食料と水、見習い召喚士初級教本、見習い魔法士初級教本に杖が入ってて相棒呼べないっていう無理ゲーだった。
あれ、後で聞いたらバグだったらしい。
最初の相棒は、ランダムで現れるからたまごじゃないらしい。
あの、序盤での苦労はなんだったのかという絶望を味わった。
教本読んで魔法覚えてもMP回復手段ないから序盤で詰んだ。
もう杖で物理攻撃してた。
相棒来るまで筋力値異常に高かったし。
抗議したくてもバグだなんて知らなかったから外れジョブだと思って意地で頑張ってたな。
普段やる気ないのに、ゲームに関しては本気出してたし。
あぁ、話がそれた。
リビングにある棚の引き出しを開けるとメモと羽ペンが入っていた。
あと、インク。
味気なさ過ぎて脱力した。
あれこれと引き出しを開けてみた。
魔法アイテムが数点と日用品のみだった。
あまり、魔法アイテムには見えないものだが。
冷蔵庫には、色々入っていた。
食事には困らなさそうだ。
地下収納にも、色々入っていたし。
食器棚は、食器が各種揃っていた。
妙に深皿が多いのは、召喚した子達用の食器だろうか。
次にリビングの左右にある扉を開けてみることにした。
左側は、書斎らしく魔法の本や召喚に関する本がこれでもかとあった。
これは、後日読むとしよう。
右側は、召喚部屋だった。
石造りの部屋の真ん中に魔法陣があれば決まりだろう。
なぜ、石造りなのかは分からないが。
取り合えず当時の私は頭が痛い子だったというのがよく分かった。
あと、召喚アイテムを適当に置くのはやめて欲しい。
結構、高価なものが多かった気がするから。
宝箱、剣、鉱石、宝石、白い木の枝等が端に適当に積まれているのはちょっと落ち着かない。
そちらは、後日なんかするとして取り合えず状況判断のために見て回らないとなあ。
リビングのはじにある階段を上がると二階だ。