1.はじまりの日
二作目の投稿です。
相変わらず下手な文なので間違っていたら指摘をしてください。
雨が降り続いている。
この雨は彼女の心をそのまま表してるように激しく降っている。
『許して、あなた。』
この日は彼女が亡くなり彼の始まりの日だ。
『隊長。そろそろ時間です。』
『ええ、分かってるわ。』
『本当にいいんですね?鎌鼬とまで言われたあなたの息子ですよ?』
『もう、悔いはないわ。』
そう言うと彼女は彼を男に渡した。
『これからどうされるのですか?』
彼女は彼に多くは望まなかった。
ただ純粋に元気に育って欲しい。
だからこそ彼女は………。
『もちろん、部隊に残るわ。鎌鼬としてではなく教官としてね。』
『作用ですか。やはり親というものは不思議ですね。』
『本当ね。他人なんてどうでもいいけどいざ子供ができるとこんなに愛しいなんて。』
『皆そういうものです。』
『そう。そろそろ行くわよ、レイン。』
『わかりました。』
◇◇◇
『うおおおおお!!!!寝過ごしたあああ!!!!』
俺は今基地の廊下を全力で走っていた。
なぜかというと、寝過ごしたからだ。
現在の時刻は午前10時、本来ならミーティングの真っ最中だ。
自動ドアの開いた瞬間俺は叫んだ。
『遅れてすいませんでした!!』
『さっさと座れゴミ屑。』
いきなりゴミ屑扱いされたがこれもいつものことだ。
『はっ!教官!!』
そんな鬼のような教官に対して敬礼。
『目覚ましのタイマーはどうしたんだよ、ジーク?』
隣の席の少年、クライムだ。
『ああ、電池切れだ。』
『おいおい。』
『そこ!しっかり聞いていろ!!』
さすが鬼教官抜け目がない。
『よし、これでミーティングを終わりにする。各自訓練に励むよう。』
『『『『はっ!』』』』
やべぇ、ほとんど聞けてねぇよ。
俺が生まれた時から育てられた施設、いや機関というべきか。
SPCは世界一を誇る軍事組織だ。
今のこの時代の現状は戦争のおかげで経済が成り立っているようなものだ。
戦争は経済の一環として捉えられるようになり国から兵士を出すのではなく、このような機関や個人から出兵するようになった。
決して人のためにもならず自分のためにもならずに、国のお偉いさんにしか利益のない無意味な戦争だ。
教官はいつも『戦争は変わった。』と呟いていた。俺には昔の戦争も今の戦争も変わらないと思うが、昔の戦争には忠というものが存在したらしい。
国のために身も心もすべて捧げるということ、それぐらいはわかる。
故に、それは愛国心と呼ばれるらしい。
だが、今のこの時代にはそれが存在しない。
さらに深刻なのが兵士への就職希望者が国の6割を越しているらしい。
子供の時から兵士に憧れ、戦うことがかっこいい思っている。戦うことが生きることだと思っている。そういう問題があるらしい。
俺みたいに幼い時から兵士として育てられた輩にはわからない事だ。
しかし、そんな俺にも悩みはある。
俺は両親の顔を知らない。
名前は一度聞いた事がある。
母親は鎌鼬という二つなを持ち、たった一本の刀で敵を切り倒して行くらしい。ある日を境に消息を絶った。
父親は英雄と呼ばれ彼の部隊は第零部隊と呼ばれその名を戦場に轟かせた。
しかし、とある任務の最中に戦死した。
要するに俺はエリートの息子な訳だ。
『おい、ジーク。』
と、そんな事を考えているといつの間にか訓練室についていた。
『あまりぼーっとしない方がいいぞ。』
『わかってるよ。』
訓練にはVRを使う場合と外にでて野外訓練を行う場合がある。
今日はVRの日だ。
『よし、訓練開始だ。』
教官の合図で世界が変わった。
崩壊した大都市だ。
一部のビルは無残にも倒れ列車や自動車が横転している。
『狙撃班は西側200mのビルでスタンバイしろ。我々は奴らを、待ち伏せしている。どうぞ。』
『こちら狙撃班。了解した。』
俺はすぐさま近くのバスの中に隠れた。
『こちら狙撃班。スタンバイ完了した。どうぞ。』
『よし。俺の合図で一斉狙撃だ。』
『了解した。』
どうやら狙撃で大半を仕留め残りを俺たちが始末するらしい。
悪くない。
が、しかし、あいつらの狙撃をそんなに信用していいのか?
腕が立つようには思えない。
俺は念のためハンドガンのM92FからアサルトライフルのM16A1に持ち替えた。
俺の予想が的中しなけりゃいいけどな。
◇◇◇
バスの中で身を隠すこと数分。
敵の姿を確認した。
いつでも攻撃ができるように体制を変える。
『狙撃班、準備を……。』
さて、どうなるか。
『スリー……。』
『トゥー……。』
『ワン……。』
『ゴー!!』
ズドン!!と腹の底を震わせる音がなる。
……………。
『敵部隊の殲滅を確認。帰投する。』
終わったか。
◇◇◇
『ふう。今日もフリーだな。』
訓練も終わり今日の予定は特にない。
『よっ!』
『うおっと。』
俺の顔ギリギリに拳が飛んで来た。
『いきなり人を殴るなって何回言ったらわかるんだよ。』
『ムリムリ、絶対ムリ。』
『あん?』
俺をいきなり殴ってきた男……。
『んで、何の用だハルキ?』
第八部隊所属、予定の訓練生。
主に偵察の役割を担っている。
『特に様はない。』
『なら話し掛けんな。』
俺は忙しいんだ。
『どうせまた引き篭もってゲームでもしてるんだろ。』
『……………。』
『図星だな。』
『まあ、とやかくは言わない。ただ目には気を付けろよ。』
『ああ、わかってる。』
そう言うとハルキは何処かへ行った。
口は悪いが根はいい奴だ。
そんなことより昨日やり残したストーリーがあるんだ。
早くやらなくては。
俺は急いで部屋に向かった。
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