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逝きたい人・へ  作者:
9/11

第九部

ムセカエル甘イ香リニ変ナ汗ガデル

忘れてた…人生で一番嫌いな日。

わたしの誕生日。

母が気合いを入れて作ったケーキ。

サイズ15号

親戚の姉が持って来たケーキ。

サイズ8号

友達が毎年くれるケーキ。

数4個。サイズ五号以上。

和将がくれたケーキ…二段。

ふざけんな。

甘いモノが嫌いなことを毎年毎年何回も言っているのに。

なぜか今年も部屋はケーキだらけになる…。

気持ちは嬉しい…だがチリだって積もるんゃがょ。

後輩がケーキを持って来た時はすべて食べ尽くすまで見張られた。

胸やけ、吐き気に襲われ。ケーキをどう始末つけるか悩んだ。

かけると由実姉さん達に食べてもらおう!

暇な人。と言う条件で呼んで見た。やる気でかけると由実さん達はわたしのマンションまで来た。酒を持って…

宴会が始まる。

減って行くケーキに喜びを感じていると暴れん坊将軍のテーマソングが聞こえた。

かけるが携帯をいじると曲は止まった。

なんとも言えない趣味だと思う。

かけるの笑顔が深刻な表情に変わった。

急に立ち上がるとわたしを呼んだ。

かけるの方へ向かうと、和将が聞きたいコトがあるからわたしを広島まで連れて帰って来てくれとのこと。

かけるが急いで?!と急かすので何かあったのかと思いそのままかけるの車に乗り込んだ。

…数時間後和将の自宅に着き呆然とする。

『誕生日おめでとう!』

【よ…よかったやん?!】

『もっと嬉しそうな顔せぇや』

「騙したくせに」

『普通に呼んだら由実さん達取って来いひんやん』

「…で?このクソデカいケーキは?」

『この前のじゃしょぼすぎやん』

『喜べや』

「デカすぎ…」

「誰が食べるの…」

『お前』

「ふざけんな」

『ああ?!』

「なん?」

「まさかとは思うけど」

「わたしが甘いモノ嫌いなの忘れてない?」

『は?!』

「クソばか…」

『うせやん…』

久しぶりに和将の手料理を満喫していると、かけるが何の気なしに話題を振って来た。

あいつ今何してんだろなぁ

…は?

ほら。あの…

ぁあ。あいつか。

さぁな…全然連絡取ってねぇが…

…わたしは“あいつ”が誰か想像が付くと同時に青ざめた。

病院での電話の内容を話すの忘れてた…

しまった…言わなくちゃ……でも!!

和将はなんて思う?…怒るかな…

…怒るよね…

…なんて言おう…

彼まだ薬してるみたい…?

悪い仲間とまだ連絡取ってるっぽいよ…?

病院で立ち聞きしちゃいました…?

…考えがまとまらない

そんなことを考えながら、フォークでグラタンを無意識にかき混ぜていた。

和将がわたしを呼ぶ声がしだいに大きくなる。

かおりっ!!!!

ビックリし過ぎてフォークを落としてしまった。

ふとグラタンに目をやる。。。

和将の自信作の見目麗しさは、後形も無く消えてしまっていた。


『どしたんぞ』

『顔色悪ぃがょ』

『風邪でも引いたんが』

「ぁ…ぃゃ…」

【気持ち悪いの?】

【寝室行く?】

「大丈夫…」

『なんや、次は何でなやんどんゃ』

「…っ!」

「悩んでなんか!!」

【…嘘つけないんだね…】

『隠しきれんもんを無理に隠そうとするからゃが』

「…ぁ…その…」

『なんや』

『うんこか?』

「…あ?」

『なんや我慢しとんやねぇがゃ』

「違うっつの」

「ご飯中に汚い。」

「くそばか」

『自分だってクソゆうたやろげっ』

「微妙に意味が違うの!!」

『クソはクソゃがょ!!』

『それ以上になにがある!!』

「クソクソ連呼すんなバカ!!」

「かけるも何か言ってよ!」

【…うんこ我慢したら体に悪いよ?】

「ありがと…殺意が芽生えたょ…」

【顔笑えて無いよ…】

『うんこの話しまだするんがゃ』

「あんたのせいでしょ」

『…ゴメンナサイ』

後日談、その時わたしの目の中に2人は恐怖と危機感を感じたらしい。

それはささやかに語り次がれていくことになるが、まだまだ先の話しである。

その日は、目眩を感じるほど一瞬で時間が通り過ぎて行くように感じた。

…そして、悲しい人達の行く末を目の当たりにしてしまう。

今でも脳裏にこびりついて離れ無い忌まわしく辛い思い出が…良く晴れた星空の下で蘇った。

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