第八部
眩シイ日差シが脳ヲ焼ク
殺シテ…
その一言が耳に残る。
この人達はどこから道を踏み外したんだろう。
太陽も眩しい残暑の昼下がり、和将がファミレスで殴り、重傷をおった元.仲間も病院を出て来る時期になった。
仲間達に内緒でわたしを連れて、一度だけ見舞いに行ったことがある。
和将は入院費を渡しに行くと言っていたが…
本当の所心配はしているのだと思う。
元…仲間だから。
『起きちゅーが?』
(ガラガラ)
《カズさん!?》
『ぉー。』
『調子どがいなが?』
《…すみませんでした…!!》
『なんや?』
《あの……》
『…手ぇ切ったんか?』
《ぁ…》
『リストカットか…』
《薬は…もぅ止めるて決めたんです》
《俺なんかんこと心配して…雨ん中来てくれた…大志兄さんに…》
《一生かけて償ぅて行こう思てます》
『…そか』《カズさんにもょおけ迷惑かけてしまぃました…》
『かまんがゃ』
『あん時おった連れらは病室別なんか?』
《逃げました》
『そぉか…もぅ関わんなょ』
《…はい。》
和将は帰る前に何かを言いかけ、やめた。
きっと…仲間に戻ってこないかと言いたかったのだろう。
病室を出た後、しばらく無言だった。
病院を出たころに、わたしのカバンが無いことに気づいた。
病室に忘れて来てしまった……
和将にバカにされつつも、単身急いで彼の病室へと走った。
病室に近づくと話し声が聞こえた。
電話中らしい。
病院で使うなゃ。。
しかたなく、終わるまでドアを開けずに待つことにした。
その時…聞くつもりは一切無かったのだが…聞こえてしまった…
《金魚》《明日の午後十時》《佐伯の家で》《3…》
途切れ途切れでしか聞こえなかったが…確定だった…この人は…まだ薬をしてる…
間もなく電話は終わり、勇気を振り絞って部屋の中へ入る。何事も無かった様な顔をして迎え入れてくれた
カバンを取り。
部屋を去ろうとすると、止めておけば良いのに電話のことを聞いておきたくなった。
振り返ろうとしたその時……足がもつれ、派手にぶちこけた
おでこをモロに打った
わたしが両手で額を押さえうずくまると。
彼は、大丈夫?!と心配してくれたどころか、立てる?怪我はない?と優しい言葉までかける。彼の手は暖かく、笑顔は優しかった…
お礼を言い、ドアの方へ向き直ると、彼の声が聞こえた気がした。
なにか言いました?と振り向くと
困ったようにはにかんだ顔が目に映る…あぅ…
この表情には見境なく弱いらしぃ…
和将の所まで帰ると、遅いと怒られデコピンをくらった…
瞬間。
額を打った痛みが蘇った。
『そがぃに痛かったがゃ?!』
『おぃ?』
無言でうずくまったわたしはしばらく動けないでいた。
…数時間後
病院で怪我をしたわたしは由実さん達に笑い話として話されることになった…
…和将によって…
帰る途中。
あの病室の人はどんな人なのかと和将に尋ねてみた。喧嘩は弱いが、周囲に気配りの利く優しいヤツだ。
と目を細めつつ説明してくれ、薬も始めは悪い友人に進められて断りきれずに…と言うことも聞いた。
まぁ俺らも良い友人って訳でもねーがね。
と笑っていた。
どこにでもいる普通の人だった。
その人が薬をしている…
受け入れられない現実が頭の中でぐちゃぐちゃにからまっている…
結局、和将には言えずじまいで、そのまま自宅に帰った。
その日はまるで寝れず、布団の上でゴロゴロとしているだけだった。




