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逝きたい人・へ  作者:
1/11

第一部

桜舞ゥ入学式ノ日

私は公園でせせこましく挨拶をしている母を尻目に

少し曇りがちな空を見上げた

こんな日くらい晴れろゃね…

罪も無い天候に悪態をつきながら買ったばかりの携帯をいじる

新着メールナシ

寂しさが増す。

おめでとうぐらい言ってくれる友達はおらんのかゃ…

鼻と口から空気がありったけ漏れる。

新しい制服も着て一時間で飽きた。

汚れようがシワになろぅが気にもしなくなり、地べたに座りこむとヒンヤリとした冷たさが背筋を震わせた。

母はまだ来ない

挨拶から井戸端会議へと変わった母達の姿はシバき倒したいぐらい楽しそうだった。

後が怖いからやらないけど…

そのとき

『なんしちゅうが?』

「…は?」

後頭部から聞こえた外国語…でゎないが理解できない方言にマヌケな声をあげる

と、同時に振り返ると…

派手な金髪が目に入る。

しかも逆さまで…座らずにもたれかかっていたベンチに人が座り話しかけて来た。

しかも…男。

そして…不良…さん?

『聞いとん?』

「はぃ?」

首だけ後ろに反り逆さま、ダレた生首…に見える男と目が合う

…キツネ?

男の第一印象はそんなもんだった

「なんて言ったの?」

…やばぃ…タメ語だょわたし…

『だけん、何しちゅうがぁ?』

理解できた。

「何もしてない…ですょ」

『そなん?暇なん?』

微笑とも言い難い中途半端な笑顔でわたしを見る。

まだ母は来ない…しばらく話した結果、金髪パッと見不良キツネ男は広島人で友達の里帰りに興味でついて来てこの街にたどり着き観光中らしぃ。

…話し方は友達のが移るらしい。

わたしの知らない世界にあまり興味はなかった…が。

逆さまキツネは実はたれ目で…まともに見ると…かっこぃい。 キツネと言うよりは…子犬?

急に興味が湧いたのは顔だけではなかったことを弁明しておこうと思う。

バイクがあった。

カワサキと書いてある。大きく、かっこぃい青いバイク

彼はよほど暇らしくわたしなんかに話し相手を求めて来た。無謀な人だった。

しかしわたしも暇人だった

彼の押しもあり…

母に電話。あっさり了解を得た。子を思う母の愛情に悩んだ ちょっとは 心配しろよ 『ねぇ、名前なんて言うん?!』

「…え?!」

『なーまーえ!!』

「…なんて!?」

(ゴツッ)

「痛っっ!!?」

『名前じゃダボ』

「…かおりです」

『クドいゎダボ』

「聞こえなかったの!!」

『どんな漢字?』

「へ?」

『…』

「ごめん聞いてなか…っっ」

(ガッゴツッ)

「痛っ!痛い!!」

今わたしはバイクにまたがり生まれて初めての二ケツを体験している。

男の運転は荒く、体全体でものすごいスピードを感じる

気分は…悪くなぃ

だが、ヘルメットと風で会話は一切聞き取れ無かった

おかげで頭突きを二…ぃゃ…三発も頂いた。

まぁ…信号で止まった後のゎ自分の不注意だけど…

あと、ダボとはバカの意味を示しているらしかった

街中を通り過ぎ見たことの無い小さな公園で止まった。

小さな子供達が可愛らしく砂場で遊んでいる

わたしが降りると男も降りて、自販機に向かった

わたしは公園に入りブランコに座ると目に入る子供達の観察に集中していた

おままごと…かな?旦那らしき子が座って奥さんの作るドロ団子…もといご飯を待っているらしかった。

微笑ましく、癒やしゃんなぁと考えてた最中

(ゴツッ)

「!!!?っ」

『アレ食べたぃんか?』

「何すんの…」

『んっ』

「くれるん?」

『2つはのまんやろ普通』

「気持ち悪…」

『あ?』

「ゴメンナサイ」

『違う』

「…アリガトウゴザイマス」

『素直に飲めゃ』

「あい」

『…で?かおりの漢字はどんなやつなん?』

「えとね、香水の香に布を織るの織だょ」

『良い名前ゃな』

『香りを織るんゃ』

「ありきたりでいやだょ」

『いいやん?綺麗な名前やと思うで?かおり、』

「…」

『何?』

「いや…」

『何?俺に惚れたんか?』

「は?」

『俺モテるけのぉ』

「あ?」

『恥ずかしがらんでええけっ』

「有り得ない〜」

『そうなん?』

「キショ…」

『…ぁあ?』

「何でもナイデス」

『面白いゃっちゃなあっ』

「喜んで頂いて結構ですわ」

気がついたら隣のブランコに腰を下ろし炭酸飲料を飲んでいる。

名前が綺麗だなんて…言われたの初めてで…気恥ずかしかった…

顔が赤くなってないか不安になった…

涙が出そうになった…

自分がわからなくて…怖くなった

そっけない態度で自分をおさえこんだ。なんなんだろ…それからはいろいろあった。子供にまざって砂遊びしたり

バイクの乗り方を教えてもらったり、楽しくて、時間が過ぎるのが早かった…

夜7時を回り…家まで送ってもらった…なごり惜しくて…わたしから番号を聞き、別れた。明日広島に帰るといっていた…

PM11;00

携帯を見てしまう、かかってくるはずも無いのに

AM01;00

眠れない。今日の男のことを思い出してしまう

AM03;00

起きてるはずはないと思い、少しだけ鳴らしてみることにした。

緊張する。コール音が耳に響く

3コールめに、怖くなって切った。なぜか罪悪感がある。

もう寝ようと布団に入る

AM04;30

着信に気づく。

切れた。

ビックリして携帯をみると…あの男だった

嬉しさで頭が真っ白で、言い訳を考えて無かった…

電話がつながると、『どがいしたんぞ?!』と言われ急に困った。

『なんかあったんか?』

「ぃゃ…」

『ぉい?どした?』

「な…んしてるかなって思って…?」

『は?』

「…」

『今なんじよ?』

「4時…45分ですね」

『なんかあったんか思ったがよ』

『電話しても出んしな』

「ぁー…ごめんなさい…」

『なんや?暇やったんか?』

「起きてるとは思わなかった…」

『悪かったな起きてて』

「ぃや…ビックリした」

『…今日楽しかったなぁ』

「ぁ?ぁ…うん」

『何あれだけ奉仕してかおりは楽しいなかったんかぁ?』

「楽しかったです」

『ゃんなっ』

「名前」

『は?』

「名前聞いてない」

『言ってなかったけぇ?』

「聞いてなぃゎダボ」

『コノヤロ』

『…かずまさ』

「へ?かずまさ?」

『そう、かずまさ』

「…どんな漢字?」

『和風の和に大将の将』

「へぇ…強そうな感じがする」

『やろ?まぁ俺強いしねっ』

「なん?」

『わざとやったら殺ス』

「ゴメンナサイ」

『わざとやったんか』

「ぁー…ぅん?」

『ぉい?』

「うちらこんなんばっかやね」

『誰のせいゃと』

「スミマセン…」

『ははっ謝ってばっかやな』

「誰のせいで…」

『あ?』

「嘘です」

『ははっ本当に面白いなっ退屈せんゃん』

「…それわドウモ」

『なぁ、彼氏とかおるんか?』

「なんで」

『男の顔が見てみたい』

「オヤスミ」

『悪かったって』

『ごめんてっ』

『おーい?』

「…なに?」

『で?おるん?』

「おったらかずまさみたいなんについていかんゎ」

『よおゆうた』

「ごめんなさい、いません」

『よし。俺と付き合ってみる?』

「は?」

『お前の耳腐っとんか』

「腐ってない」

「てか…冗談やめて、キショ」

『ゆうたなコラ』

『なんかかおり面白いけ付き合ってみんか思たがよ』

「…」

『嫌か?』

朝、起きると。

携帯を見た…夢やないよね…彼氏いるんだよね…

ぅわ…恥ずかしい…変な感じ…

結局あの後、即答で付き合うと言ってしまった…

ぁあ…失敗したかな…にやける顔で考える

自分が情けない…

一生の思い出に…

なるとは思わないまま、

わたしはただ浮かれていた。

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