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「……それでむざむざ取り逃がしたの」

「はあ」


 長々と伸びる食卓。整然と並べられた蝋燭の灯りが、白いクロスを明るく照らしている。今すぐにでも晩餐会が開けそうなこのテーブルに乃麻一人、ケーキを口に運んでいる。


「馬鹿ね」


「うぅ」

「馬鹿、お馬鹿、大馬鹿。ケーキと拳銃、どっちが大切かの区別も付かないの、この機械人形」

 千明は返す言葉もなく、床に正座させられている。もっとも帰宅して初めて犯人の素性を知った彼には、それもいささか酷な話だが(普段ならケーキか拳銃か、と聞かれれば、乃麻は迷いなくケーキを選ぶであろうし)。


「千明」

「はいっ」

 厳しい口調に、千明はピンと背筋を伸ばす。

「お父さまはこの島が大好きだったわ。お父さまが帰ってくるその日までこの島を守るのは、娘である私の務めよ。まして同級生まで毒牙にかけられたからには、黙って見ているわけにはいきません」

「はい」

「命令よ。次に犯人に遭ったら、何を差し置いても必ず捕えなさい。これ以上、被害者が出る前に」


「……結局僕がやるんですか」

「いい?」

「はいっ」

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