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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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白一色

作者: 海野 さや
掲載日:2026/11/05

 産み落とされた時から、私はその場所にいた。


 白い壁、白い天井、白い床、白いトイレ、白いベッド、白い布団、白い服、白い人形……


 食べ物と排泄物(はいせつぶつ)だ(・)け(・)は色が付いていると教わった。


 私は『ホワイト』という名前で呼ばれていた。


 色の白という名前だそうだ。


 ある程度のコミュニケーションを取れる位の物事は教わっていたらしい。


 先生という人は、私と同じ白一色の物に包まれて、色々な事を教えてくれていた。


 自分は人間という生き物で、白一色の美しい、何の汚れもない『ホワイト』なんだと言われていた。


 私と違って『ブラック』もいれば『レッド』や『ブルー』といった色もあると教わった。


 でも、その色は見たことがないし、教わらなかった。


 だから、食べ物の色に白以外のものがあるのはわかるけど、その色が何色かはわからなかった。


 頭がチクチクしだすと、ガーッと音のするバリカンというものでツルツルにされた。


 こぼれ落ちる細かい白ではない色も、何色か教えてもらえなかった。


 でも、相手が話している内容はわかる。


 ある程度の言葉もしゃべることができる。


 いつも食事を持ってきてくれる人は、全身真っ白で覆われていて私と同じ白だった。


 食事を置いていくと、直ぐに部屋を出ていく。

 おしゃべりをするのは、先生とだけ。


 物心付いたときからずっと同じ生活。


 生きるというのは、そういうことなんだと思っていた。


 寝て、起きて、食事をして、先生と話して、寝る。


 それが日常だった。


 ある時、目が覚めたら、真っ白いベッドのシーツや服や下着が見たことのない色に染まっていた。


 私の身体の中から食べ物が出てきたのかと思った。

 そして、お腹も痛くなって叫んだ!


 慌てて駆け込んできた先生は、身体は白かったけれど、顔が白ではなかった……


 頭には私がバリカンで剃られて落ちる色、その他にも知らない色が顔にいっぱい付いていた。


 更にパニックになった私は、先生の食べ物のような色の顔に飛び付いてかじった。


 先生は勢いで倒れて、そのまま静かになったので、出された食事を食べ続けた。


 固くていつもの食事と違って、全然美味しくなかった。


 初めて出た部屋の外は、見たことのない色でいっぱいだった。


 自分の部屋の中から見える正面の壁だけは、キレイなホワイトだった。


 隣の部屋は、先生の顔から出ていて、私のベッドや服を汚した色のドアだった。


 先生が握っていた鍵の束に、同じ色の鍵があった。


 その鍵を使って、鍵と同じ色のドアを開けてみると……


 中には私と同じ年頃の人間が、同じ色で統一された部屋の中にたたずんで怯えていた。


「私はホワイト、あなたは?」

「僕はレッド、君の身体にも僕と同じ色が付いているけど、ホワイトもキレイな色だね」


 今まで感じたことのない、不思議な気持ちになった。


 鍵と同じ色のドアを次々と開けていく。


「私はホワイト、あなたは?」

「私はブラック、他の色を2つも初めて見たわ」


 たくさんの色と出会い、たくさんの色を知った。


 私は急に恐ろしくなった……

 先生?あなたは何色だったの?

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― 新着の感想 ―
怖いもの見たさに読みにきました。 ぞくっとするお話ですね。鍵の束、色の数だけあるのかな。先生いったい何色集めていたのかな……自分以外の色を知ったこの子たちの未来はどうなるのかな。 すごく不安になって心…
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