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シーン3 世界の態度の最終確定
ここで、世界の態度が最終的に確定する。
世界は、彼女を押し出さない。
進むべき方向を示さず、背中を叩くこともない。
同時に、引き留めもしない。
踏みとどまる理由を与えず、残留を価値づけることもしない。
期待は設定されない。
是正は行われない。
補正という名の介入も発生しない。
この振る舞いは、偶然の産物ではない。
第七章「世界の再計算」で行われた処理が、ここで最終形に至った結果である。
主人公を、
物語を進行させる主体としても、
結果を回収すべき存在としても、
扱わないという判断。
世界は、彼女を「登場人物」として認識しない。
その瞬間、世界は一歩退く。
前景から外れ、舞台装置としての主張を失う。
評価し、選別し、意味づける装置としての機能は、ここで完全に停止する。
残るのは、
出来事が起き、時間が流れ、
誰かがそこにいる、という事実だけだ。
世界はもはや、語られようとしない。
背景として存在し、
それ以上の役割を引き受けない。
この確定によって、
主人公は守られることも、試されることもなくなる。
そして同時に、
物語もまた、彼女から手を離す。




