表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ゲーのヒロインに転生するも王子が好みではない  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/68

シーン2:身分の縮小

宿の部屋は、街道に面した簡素な造りだった。

窓から見えるのは、城壁ではなく、次の町へ続く道だけである。


主人公は荷を広げ、持ち物を一つずつ確認する。

動作に迷いはない。


まず、装飾品を外す。

指輪、留め具、細工の施された小物。

価値があるからではなく、必要がないから、布に包み、別の袋に入れる。


次に、家名を示す証を取り出す。

それは身分を否定するためではない。

使う予定がないという判断に基づき、携行品から外される。


衣服も同様だった。

仕立ての良いもの、高価であることが分かる布地は選ばない。

動きやすく、目立たず、説明を要しないものだけを残す。


これは変装ではない。

誰かを欺く意図もない。


彼女は自分が誰であるかを、手放してはいない。

ただ、それを外部に提示する理由がなくなっただけだ。


語られなければならない立場ではなくなった。

記録される役割も、期待される属性も、ここには持ち込まない。


袋の口を結び、残すものと置いていくものが分かれる。

選別は、感情を伴わず、整理として完了する。


この時点で、主人公は、

肩書きによって識別される存在ではなくなる。


彼女はこれから、

説明される人物ではなく、

ただ、通過していく一人の旅人になる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ