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シーン6:学園からの離脱
学園の門は、いつもの位置に、いつもの形で存在している。
重厚でもなく、簡素でもなく、通過するためだけに十分な構造物だ。
主人公は、必要最低限の荷物を手に、その前に立つ。
特別に整えられた服装ではない。
儀礼を意識した様子もない。
見送りはない。
名前を呼ぶ声もない。
鐘は鳴らない。
式典の準備も、記念の言葉も存在しない。
学園は、彼女を送り出さない。
同時に、引き留めることもしない。
門は、ただ開いている。
それは判断ではなく、状態である。
通ることを許可しているのでも、促しているのでもない。
通過を妨げていないだけだ。
主人公は、その意味を正しく理解する。
ここで終わることは、拒絶ではない。
歓迎されなかったわけでもない。
役割が消えた以上、儀式が成立しないだけである。
彼女は一歩、外へ踏み出す。
振り返らない。
振り返る理由がないからだ。
門の向こう側で、世界は続いている。
学園もまた、背後で変わらず機能し続ける。
その境界を越えた瞬間、
主人公はヒロインではなくなる。
ただ一人の個人として、
次の場所へ移動するだけである。




