表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ゲーのヒロインに転生するも王子が好みではない  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/37

第5章:断罪されない悪役 シーン1:断罪準備の不発

評議の間は整えられていた。

床は磨かれ、椅子は数を揃えて並べられ、中央の演台には布が掛けられている。式典用の配置も、学園集会用の導線も、いずれにも転用できる曖昧な準備が施されていた。


人は集まっていた。

教師、関係者、立ち会うはずの役職者。誰もが開始前の空気を共有している。しかし、開始の合図だけが届かない。鐘は鳴らず、名前は呼ばれず、誰も前に進まない。


理由は単純だった。

告発が存在しない。

被害の申告が存在しない。

感情的対立を裏付ける証拠も、どこにも見当たらない。


誰かが中止を宣言する必要はなかった。中止するための理由も、宣言する権限も、いずれも必要とされなかったからだ。人々は立ち去らず、かといって始めもしない。予定は延期という形で宙に浮かされ、そのまま参照されなくなっていく。


布は外されず、椅子は使われない。

会場は壊されないが、上演もされない。


断罪イベントは失敗しなかった。

ただ、起動条件を満たさなかった。

「未起動」という状態のまま、記録にも記憶にも強く残らず、静かに消えていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ