表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ゲーのヒロインに転生するも王子が好みではない  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/26

シーン6:対立イベントの消失

本来なら、

ここで噂が立つ。


誰かが見た、という話。

誰かが聞いた、という尾ひれ。

二人の名前が、

意図せず同じ文脈で並べられる。


次に、誤解が生まれる。

説明されない沈黙や、

切り取られた一場面が、

意味を与えられる。


そして、公的な衝突。

呼び出し、糾問、

形式張った場での対峙。


物語は、

その順序をすでに用意していた。


だが、何も起きない。


噂は立たない。

素材が存在しないからだ。


誤解も生まれない。

切り取れる場面が、

最初から用意されていない。


公的な衝突に至っては、

起案すらされない。


世界はイベントを準備していた。

だが、起動条件を失った。


誰かが失言をしたわけでもなく、

誰かが動かなかったわけでもない。


ただ、

摩擦が生じる配置そのものが、

静かに消えていた。


物語は進行を止めない。

時間は流れ、

日課は続く。


だが、

「次に何が起きるか」という予定だけが、

消失する。


線路は残っている。

だが、

行き先が書かれていない。


世界は、

戸惑いを表に出さない。

それでも、

内部で何かを探し始めている。


物語は壊れていない。

ただ、

予定を失ったまま、

静かに走り続けている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ