クリスマスケーキ
いつまでクリスマスの話題を引っ張るんだ?と思われるかもしれませんが………。
皆さまはクリスマスにケーキ、食べましたか?
わたくし、幼い頃からケーキにだけは恵まれています。
というのも、わたくしが小学五年生になるまで父が某老舗洋菓子店に勤めていたからです。
ですから誕生日のケーキだけは豪華にどーんとワンホール、きちんと姉弟分用意されました。
わたくしと弟の誕生日は一週間違いなので、二週間連続でです。
ただ残念なことに、幼い頃のわたくしはケーキがそれほど好きではありませんでした。
当時はケーキといえばバタークリーム。少し黄色がかったクリームはとても甘くて濃厚、全体的に重いです。
おそらく胃腸の働きが非常に悪かった子どもの頃のわたくしにとって、それは負担でしかありませんでした。
ですが父は甘いものが大好きで洋菓子店勤務ですし、両親はケーキが嫌いな子どもなど世の中に存在しないと思っていたことでしょう。
せめてもの抵抗として、チョコレートクリームのほうが味も好きでしたし若干軽めだったので、誕生日ケーキはいつもチョコレートクリームにしてもらっていました。
食べるのは苦手でも、ホールケーキというのは見た目が華やかで気分が盛り上がりますよね。
「たんじょうびおめでとう」と書いてあるチョコプレート、メレンゲでできた動物の人形、歳の数のロウソク。全部ちゃんと飾られていました。
ですが我が家は、誕生日が終わってもケーキの宴は続きます。
売れ残ったクリスマスケーキを二十四、二十五日と父が持ち帰ってくるのです。
冷蔵庫に入りきらず、玄関に積み重ねられたホールケーキの箱たち。
わたくしはもう食べられませんが、父と母はご飯代わりに何日も朝からケーキを食べ続けていました。
甘いものが大好きな父も、さすがにだんだん辛そうになっていったのを憶えています。
そんなわたくしも、今はケーキが好きです。
そして変わらず、好みはチョコレートケーキです。
でも、ホールケーキにそれほど魅力は感じません。
同じ味を食べ続けるより、色々な味を少しずつ楽しみたいと思ってしまいます。
やっぱり、ホールケーキには軽いトラウマがあるのかもしれません。