サンタクロースってなんですか?
メリークリスマス!
皆さま、サンタさんからのプレゼントは届いていましたか?
わたくしがこの制度(あえて制度と言わせていただきます)を知ったのは、幼稚園年長のときに読んだ絵本ででした。
というのもすべて、わたくしたち姉弟の誕生日に原因があります。
わたくしの誕生日が十二月二十二日、弟の誕生日が一週間前の十五日なのです。
決して裕福ではなかった両親は、二人分の誕生日とクリスマス両方のプレゼントを用意する余裕などなかったのでしょう。
幼い子どもにクリスマスを教えなくても何ら問題などありません。
ですからわたくしは、クリスマスが近付くと新聞に入ってくるおもちゃの広告を、誕生日が近付いた子どもが居る家に入ってくるものだと勝手に勘違いしたのです。
実際それを見てわたくしたち姉弟は誕生日プレゼントを選んでいたのですから。
違和感はなんとなくありました。
クリスマスに関係ない時期が誕生日のお友達が誕生日プレゼントの話をしたとき、「新聞のチラシは入って来た?そこから選んだの?」と質問したことがあります。
当然そのお友達はポカンとした表情をしていました。
わたくしはそれを見て「この子の家にはチラシが入ってこないんだ。かわいそうに。」と思ったのを覚えています。
かわいそうなのは、クリスマス制度を隠されているわたくしのほうなのに!
母にもその話をしたのですが、母がなんとも微妙な表情をしていたのも覚えています。
しかし、幼稚園で定期購入していた絵本の十二月版がクリスマスにサンタクロースが煙突から入ってきてプレゼントを届ける、という内容でした。
そこで初めて、泥猫少女はクリスマス制度を知ります。
そして母に尋ねました。
「うちにはサンタクロース来ないの?」と。
その時の母の答えも表情も、なぜかまったく憶えていません。
その年から、二十五日の朝には、枕元に大きなお菓子入りのブーツが置かれるようになりました。
ですが母は今さらサンタクロースの演技をしようという気はなかったようで、堂々とスーパーから買ってきていました。
もしかしたら、タイミング悪くわたくしが気付いてしまったのかもしれませんが。
三歳年下の弟は無邪気に喜んでいたような気がします。
そんな泥猫少女はここから数年、サンタクロースを信じているお友達に話を合わせるという大人の対応をとり続けることになるのでした。
今、クリスマスは世の中の一大イベントです。
日本にクリスマスを知らない人などほとんど居ないでしょう。
また、そうであってほしいと願います。
クリスマスを知らない子どもなど世の中に一人も居ない、平和で豊かな世界になりますように。