小鳥とおばちゃん
以前、ニワトリを飼っていた話を書きましたが、わたくしが物心ついたときから家には小鳥がいました。
最初の小鳥はカナリアです。
父の趣味だったのです。
三畳ほどのスペースに木箱で作った鳥かごがアパートのように積んで並べてあり、常に二十羽ほどのカナリアを飼っていたと思います。
毛色が綺麗に出るように卵の黄身を与え、残った白身部分をわたくしはよく食べていた記憶があります。
鳴き声もとても綺麗でした。一羽がさえずり始めると連鎖するように次々とさえずり始め、カナリアの大合唱になります。
カナリアはとても臆病な小鳥なので、周囲で騒がないようにと常に注意されていました。
鳥かご掃除のために外に出した際、外に逃げて行ってしまうこともありました。
ですが、わたくしが五歳くらいの頃でしょうか。父は突然、カナリアを飼うことをやめました。幼かったわたくしには事情がわかりませんが、自然と数が減っていっていたように思います。何羽かは意図的に外に放っていました。カナリアが野生で生きていけるとは思えませんが。
最後に一羽だけを残し飼っていました。
そこに、一羽ではかわいそうと青いセキセイインコを飼いました。
近所の大型スーパーに小さなペットショップが入っていて、セキセイインコやメダカ、昆虫も売られていました。ハムスターやウサギはいましたが、犬と猫はいなかったと思います。
本当は自力でエサを食べられないほど小さいうちから飼えばよく懐くのですが、わたくしはその幼い鳥の姿を恐ろしく感じ、羽の色がわかるほどに成長した幼鳥を飼いました。
案の定、あまり懐きはしませんでした。でもカナリアと違って手に乗るセキセイインコはかわいくて、鋭いくちばしにつねられても、フンをかけられてもさほど気になりませんでした。
セキセイインコですので言葉も覚えました。自分の名前の『ピピちゃん』、『カワイイ』くらいはしゃべっていたと思います。
さらに、隣のカゴのカナリアが綺麗な声で歌うので、ピピちゃんなりにマネをして歌っていました。ギャーギャーという首を絞められたかのような酷いものでしたが、本人はすっかりその気だったのが可笑しかったです。
セキセイインコは黄色い羽の子も飼ったような気がするのですが、なぜかあまり記憶がありません。
このペットショップでは、メダカを買ったり、担任の先生に番のウズラを買ったりもしましたが、その話はまた次の機会にしたいと思います。