『おじさんのかさ』
昨日わたくしが住んでいる街はほぼ一日中、雨が降ったり止んだりしていました。こんな天気の日は、自分が外出するときに雨が降っていないと傘を持って出るかどうしようかと迷いませんか。
このような状況のとき、わたくしが必ず思い出す童話があります。それが『おじさんのかさ』です。
わたくしが小学校一年生のときの教科書のいちばん最初に載っていた長い文章だったと思います。
わたくしの記憶のお話の内容を書きますと。
おじさんは新品の黒い傘を持っています。その傘が大切すぎて、雨が降っていても使いません。
たったこれだけです。
このお話からわたくしが学んだのは『本末転倒』でした。
そのため、本末転倒だなと思う状況のときにたびたび「おじさんのかさみたいだね」と言うのですが、二十年前くらいまでは、わたくしと同年代の方にはなんとか通じていました。
でもだんだんと同年代の方にも通じなくなり、歳の差が十もあると全く通じません。
そもそも教科書に載っていたお話なので、出版社が違う教科書を使っていた場合も通じません。
どんなに話が通じなくても、わたくしにとって『おじさんのかさ』は強烈に印象に残っている童話なのです。
というお話を今日は皆さまにするに当たって初めて、『おじさんのかさ』についてGoogle先生で調べてみました。すると驚きの事実だらけでした。
まずこの作品、作者は佐野洋子さんという絵本作家さんだったのですが、わたくしには名前の漢字違いの同姓同名の知り合いがおりまして一つ目のビックリ。
次に、佐野洋子さんの代表作が『100万回生きたねこ』で二つ目のビックリ。
この絵本を知らない日本人はいないのではないかというくらい、有名な作品ですよね。わたくしはなぜか比較的大人になってから知ったのですが。
そして、『おじさんのかさ』のねらいが楽しく音読することだったことを知って三つ目のビックリ。
すっかり忘れていたのですが、ポンポロロン、ピッチャンチャンという楽しいオノマトペが使われていました。その部分を「どんな歌だと思う?」と担任の先生がみんなに質問していたことも同時に思い出しました。たしかに楽しい授業でした。
考えてみれば、小学一年生の最初の文章に教訓が書いてあるなんて堅苦しすぎですね。わたくしはなんと可愛くない子どもだったのでしょう。どおりで、本末転倒の例えとして『おじさんのかさ』を引き合いに出してもほとんどの方に通じないはずです。むしろ通じた方が奇跡でした。
これからもわたくしの中では『おじさんのかさ』イコール『本末転倒』ですが、他人には通じないことを肝に銘じることにいたします。
皆さんにも忘れられない教科書のお話、ありますか?