お菓子とロウソク
本日十月三十一日は数年前から盛り上がるようになったハロウィンですね。
ですがわたくし、「お菓子をくれないとイタズラするぞ」と聞くと「ロウソク出せ」を思い出すのです。ほとんどの方は「何のこっちゃ?」だと思いますが、わたくしもある地域に住んでいたときだけの風習でしたので調べてみました。
どうやら、北の大地特有の『ロウソクもらい』という七夕の風習のようです。
そもそも北の大地の七夕は八月七日なのですが、これは旧暦に基づいたもののようです。
この日に子どもたちが「ローソクだーせ、だーせよ」と歌いながら近所の家にお菓子をもらいに練り歩く、というのが『ロウソクもらい』です。
ですが、わたくしが生まれ育った地域ではこの風習はありませんでした。
高校一年のときに引っ越した先の地域で初めて出会ったのです。
当時わたくしは高校生でご近所付き合いを直接する年齢ではありませんでしたので、母が近所の方にあらかじめ聞いたのだと思います。そして母が下した決断は。
「玄関フードに鍵をかける」。
雪国以外の方に玄関フードとは何かを説明いたしますと、玄関ドアの外側に風除けや雪の吹き溜まり対策として設置するガラス張りの空間のこと、でございます。
当時わたくしが住んでいた家にはこれがありましたので、ここに鍵をかけ、子どもたちがチャイムを鳴らせないようにしたのです。
やはりこの風習、賛否両論あるのです。
お菓子をくれと練り歩く同年代の子どもが居る家、もしくは、孫のように子どもを可愛がる年配の方の家でしか受け入れられていなかったのですね。
結果、不参加の表明として、玄関フードがある家は鍵をかけ、ない家は玄関ドアに鍵をかけ居留守を使う。そうやってやり過ごすのが七夕の夕方の風習でした。
高校生のわたくしは、子どもたちの歌声を聞きながら二階の自室の窓から外を眺めていたのです。
現在わたくしが住んでいる地域でもこの風習はありません。実際、廃れ行く風習のようです。
正直、わたくしも実体験がない風習です。大人目線でしか見ていませんし、昨今のご近所付き合いを考えても仕方のないことではないかと考えます。
なんだか少し淋しい雰囲気になってしまいましたが、わたくしの疑問は解けました。
『ハロウィン=ロウソク出せ』ではない。
めでたしめでたし、でございます。