おばちゃんがアルバイトで学んだこと
わたくしの人生初アルバイトは、高校一年の夏休み前に始めたドラッグストアでした。
そうなのです、現在のわたくしのパート先もドラッグストア、人生初バイト先もドラッグストアです。同じドラッグストアではありませんが。
高校生のわたくしは、とにかく自由に使えるお金がたくさん欲しくてたまりませんでした。わたくしは商業高校に通っていましたので、学校でアルバイトが禁止されているということもありません。
求人誌を見るよりもとりあえず電話をかけてみろ、という母のアドバイスに基づき、最初は近所にあった和菓子人気チェーン店の路面店舗に電話をかけました。すると、ウチでは募集していないから道路向かいにある大型ディスカウントストアに問い合わせてみるように、と逆にアドバイスされました。大型ディスカウントストアには生鮮食品を取り扱っている店舗を中心に、生花店やファストフード店、ドラッグストアも二か所に分かれて出店していました。
なんとなく食べ物を扱う自信がなかったわたくしは、ドラッグストアに電話をかけたのです。電話に出た女性は「募集はしていないのですが」と言いながらも店長に取り次いでくださいました。それでも面接をしていただき、夏休みの少し前から採用となりました。
当時はまだ土曜日の午前は学校がある時代でしたので、土曜日の午後と日曜日、レジ打ちを中心に品出しもするのが主な業務でした。従業員は店長、副店長以外はほぼ大学生と高校生のアルバイトでした。
わたくしはここで高校時代の三年間、従業員の皆さんと本当に仲良く楽しく過ごしました。バイト終わりに食事に行ったり、カラオケに行ったり、人生初彼氏もできました。本当に、楽しい思い出しかありません。
高校卒業後に就職した会社を出産前に辞めてからの社会復帰は、娘が幼稚園に行くようになってからです。
ママ友に誘われて近所の大学で試験官のアルバイトを数回しました。試験官のバイトは難しいことは一切ありませんが、とにかく眠気との闘いでした。
その大学ではほかにも、学内の本屋での棚卸業務を数回と、一度だけ春に教科書販売もやりました。いずれも単発ですし、紹介者がママ友なので特にトラブルもなく過ごせました。
娘が小学生になってから本格的にパートに出ようと思い、近所のパン屋で働くことにしました。
店構えも制服もお洒落なそのパン屋はオープンしてから一年ほど経っていたと思います。
でも、初日から雲行きは怪しいものでした。面接で言っていた条件とすべてがなんとなくずれていて、職場の雰囲気もあまり良いとは言えません。前任の店長は失踪するように辞めており、就業記録も消えていたようでした。先輩たちはオープン時から働いている方々で、なにかにつけて「わたしたちのときは大変だった」と言い、こちらを見下してきました。わたくしを含め四人が同時に採用されたのですが、一人は翌日には辞めていきました。いつも、誰かが誰かの悪口を言っていました。パンを作る方々の業務は過酷で、皆さんとても疲弊していました。
食べ物を扱う仕事ですからお客さまも厳しい方が多く、わたくしは注意ばかりされていました。ここは全面的にわたくしが悪いと理解していますので何も言い返せません。
ですが、人間関係がとにかく最低でした。わたくしはいつも嫌味を言われ、無言で押しのけられ、鼻で笑われました。大人になって初めて、昼間の公園で一人で泣きました。
それでも仕事に慣れると周りも少し優しくなりました。頑張れるかな、と思ったタイミングで若い社員の女の子と面接がありました。遠回しに辞めろと言われていると感じました。そこまでして続ける意味はありませんでしたので、約三か月で辞めました。給料は最後まで手渡しでした。
わたくしが辞めたあと近所のママ友もそこで働きましたが、一週間で辞めました。やはり、いざ働き出したら条件がまるで違っていたそうです。
その数年後、そのパン屋は母体が変わり、今も営業は続いています。
パン屋でわたくしは学びました。
やはり、自分は食べ物を扱う仕事には向いていないということ。
そして、働くときは新規オープン店を狙うこと。
現在働いているドラッグストアがオープンしたのは、それから約一年半後のことです。
新聞の折込チラシで求人を見つけ、やっぱり自分に向いているのはドラッグストアだよな、新規オープンだし、と応募しました。
最初の頃に人間関係の多少のゴタゴタはありましたが、今は適切な距離感を見つけ快適に働いております。人員の入れ替わりはありますが、やはり初期メンバーはほぼ残っていますし、お客さまも「やっぱりいつメンだよね」と思っているとかいないとか。
皆さま、職場でいちばん大切なのはやはり、人間関係です。
そして良い人間関係を築きやすいのは、初期メンバーになることです。
新規オープン店、狙い目でございますよ。