占いからの学び
皆さまは占い、好きですか?信じますか?
わたくしは、ほどほどに好きです。
テレビ番組のワンコーナーとしてや、雑誌などにちょこっと義務的に載っているお遊び程度の占いなら、信じるというより楽しみます。
統計学的な占いなら、アドバイスとして受け止めます。
でも、金銭を支払って有名な占い師の方に占ってもらおうとか、道端の手相占い師に見てもらおうとまでは思いません。
わたくし、二十歳のときに雑誌の占いを信じたばかりに、酷い目に遭ったことがあります。
三年以上付き合っていた方とお別れしたわたくしは、暇な週末を過ごしておりました。暇すぎて昼寝していたのです。外が薄暗くなってきた夕方、ベッドのヘッドボードに置いてあった電話の子機(三十年前に携帯電話はまだ普及していません)が鳴ったので、寝ぼけ半分で取りました。それはエステの勧誘電話でした。
そのときわたくしが寝ぼけていなければ、雑誌の占いを見ていなければ、そんな電話に誘われてエステに行くことなんてなかったと思うのです。
わたくし、ファッション雑誌は見ません。美容室で見るくらいでした。
でも同僚の女性が非常にファッション雑誌好きでした。しかも影響されまくっていました。我々のお給料でなんて到底手の届かない雑誌の世界に、少しでも近付こうとしている方でした。わたくしもそんな彼女の影響を少なからず受け、当時女性の間で「この雑誌の占いは当たる!」と噂になっていたファッション雑誌を買って読んだのが不幸のはじまりでした。
「幸運のカギは自分磨き、エステなどに通うのも良いでしょう」的なことが書いてあったと記憶しています。
彼とお別れして運勢下り坂のわたくしです。飛び付くに決まっているではないですか。こちらが迷惑しますから絶対に来てくださいね、と妙に高圧的だったことに違和感も持ちませんでした。
金曜日の定時後、予約した雑居ビルのフロアに向かうとエステらしい受付があり、待合室には数名の女性客も居ました。
わたくしはフロアのいちばん奥の部屋に案内され、女性スタッフのカウンセリングを受けました。今のままでは数年後こんなシミだらけの顔になりますよ、というシミュレーション写真も見せられました。ほんまかいな、と思いながら、断る気マンマンだったのです。
それなのに、スタッフが関西弁のノリのよい女性に代わると、言葉巧みに誘導され、時刻は午後九時を過ぎ……、完全に思考が麻痺したわたくしは、施術半年分と基礎化粧品、美顔器で合計六十万円ほどのローンを組まされていました。
親や友達に相談していれば状況は変わっていたのかもしれませんが、自分が悪いことをしているような感覚に陥っていたわたくしは、誰にも相談できませんでした。
そして、払った代金の元は取ろうとエステに通ったのですが、それがまた落とし穴です。
ある日の施術が終わると話があると言われ、狭い、相手と膝と膝が触れ合いそうなくらい本当に狭い部屋に閉じ込められ、今度は痩身の契約をさせられてしまうのです。
そこでさすがに、このまま通い続ければ更にお金を搾り取られると気付いたわたくしは、エステに通うのをやめました。
二百万円近いローンだけが残りました。全額返済するのに五年以上かかりました。一九九九年ノストラダムスの大予言で地球が滅亡すればいい、借金もチャラだコノヤローと思いました。高い勉強代でした。
ずいぶん長くなってしまったので締めに入りたいと思います。
皆さま、占いを信じるのはほどほどに。エステの勧誘にホイホイのってはいけません。高額のローンを組まされたら誰かに相談しましょう。地球は簡単に滅亡いたしません。
以上が、わたくしからのアドバイスでございます。