不思議なお話
只今、二十三時五十五分です。
明日の投稿時刻まで五時間しかありませんのに、ネタが取っ散らかったままでございます。
というわけで、私情をあまり挟まなくてもよいお話を淡々と書かせていただきたいと思います。
これは不思議体験です。心霊体験ではございませんので、あしからず。
わたくしが現在住んでいる住宅街の歴史はかなり古く、造成されたのが一九七〇年だそうです。わたくしが生まれる前から存在しているということですね。
そのため、お年寄りが多いです。
我が家のお隣の片方は大学生用のアパートなのですが、持ち主の方は当時八十歳近かったのではないかと思います。引っ越しのご挨拶に伺った時、奥様は入院されていてご主人が応対してくださいました。学生が迷惑をかけるかもしれないけれどよろしくお願いします、というようなことをおっしゃっていたと記憶しています。顔を合わせれば優しい笑顔で挨拶をしてくださるおじいちゃんでした。
持ち主同様アパートにも年季が入っていましたが、貸す相手は大学生です。それなりの設備が整っていないと借り手が現れないためでしょうか、娘が幼稚園年中の年、外壁などの少し大掛かりな工事が入りました。工期は春先の二か月ほどで終了したと思います。
工事が終わって少し経ってから、持ち主のおじいちゃんが亡くなりました。
工事が始まったあとに入院されていたようです。我が家からも心ばかりの香典を包みました。
それからひと月と少し経った夏の日中のことです。
もう少しで娘を幼稚園に迎えに行くという時刻にインターホンが鳴りました。
モニターを見ましたが誰も映っていません。たまに押してすぐにフレームアウトする方がいるので、出なければまた鳴らすだろうと待っていると、案の定もう一度、呼び出し音が鳴りました。
ですがやはりモニターには誰も映っていません。
それに、歩道から玄関までは少し距離があるので、足元はアスファルトとはいえ多少の足音が聞こえるはずなのですが、インターホンの音以外の一切の音は聞こえませんでした。
少し気味が悪くなりドアを開けるのが怖かったのですが、もう娘を迎えに行くために家を出なければ間に合いません。
思い切ってドアを開けましたが、やはりそこには誰も居ませんでした。
あとから考え付いたのは、おじいちゃんが工事のことを気にして最後の挨拶に来てくださったのではないかな、ということでした。おじいちゃんが亡くなってからたしか、四十九日後くらいだったような気がしましたので。
怖さから一転、心がほっこり温かくなりました。
それから数年後、今度は斜め向かいのお宅のおじいちゃんが亡くなりました。
この方は町内会の副会長を務めたこともあるような方でしたが、他人に干渉しすぎるところがあり、少々トラブルも抱えている方でした。
実際、わたくしも少し苦手な方でした。
ですが我が家の娘にはとても良くしてくださり、娘が一人で家の前の除雪をしているとさり気なく手伝ってくれたりもしていました。
そんなおじいちゃんが亡くなった年の冬のある日のことです。
その日の午前中は少し吹雪いていて、土曜日か日曜日だったのでしょうか、夫も二階の自室に居ました。わたくしと娘はリビングで各々好きなことをしていたと思います。
するとインターホンが鳴りました。モニターを見ても誰も映っていません。風も強い日だったので、風が鳴らしたのかな、とも思いました。何かのテレビ番組で、強風がインターホンを鳴らすことがある、と見た記憶があったからです。
再びインターホンが鳴りましたが、やはりモニターには誰の姿もありません。
雪が積もっているので誰かが来たなら足跡があるはずですが、それもありません。
わたくしと娘は少し怖くなり二階の夫に訴えましたが、夫はそもそもインターホンの音に気付いておらず、特に何も感じていないようでした。
こちらの話は強風の影響説が濃厚でしょう。
ですがわたくしは、雪が降る日におじいちゃんが娘を心配して来てくれたのではないかな、と思っています。
皆さまには不思議な体験、ございますか?