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タイムショックな面接

 わたくしの人生で面接の経験はそんなにないのですが、大きなものは三つあります。

 人生初の高校入試の面接試験、高校卒業後に就職した会社の面接試験、現在働いているドラッグストアの面接です。


 高校入試の面接では、面接官は二人。

 滑り止めの学校だったものの、人生初の面接に緊張しながら練習どおり名前や住所などを無難に答えていきました。

 そして最後に、入学したらどんな部活に入りたいですか、と質問されたのです。

 部活に入る気など微塵もなかったわたくしは一瞬答えに詰まりました。ですが、五年生の学芸会の劇でそれなりに台詞のある役に挑戦し周りに褒められたことを思い出し、「演劇部に入りたいです。」気付けばそう答えていました。

 演劇部が有名な学校ではなかったと思うのですが話は思いのほか掘り下げられ、アドリブで本当に演劇が好きな人を演じていたと思います。

 楽しみにしていますね、とにっこり微笑まれ面接は終了しましたが、もしその高校に入学していたとしたら、入部は必須だったように思います。


 就職の面接試験はいきなり失敗から始まりました。

 緊張して部屋に入ると、面接官は男性ばかりが四、五人ずらりと並んでいました。おじさまは得意なわたくしですが、さすがに圧倒されます。

 当たり前に名前を名乗るところまでは良かったのですが、次に「どちらの方からいらっしゃいましたか。」と聞かれたのです。の方、と問われたのでわたくしは「〇〇の方から来ました。」と答えました。

 少しの沈黙の後、面接官は爆笑です。「住所を言ってください。」と質問し直されました。

 最初からそう言ってよー、と思いました。これ、わたくしが悪いんですの?

 でも、皆さまが爆笑したことで場は温まりました。掴みはオッケーです。開き直ったわたくしは落ち着いて面接を進めました。

 この面接では、高校時代に一度だけあったクラブ活動時間(部活とは別物です)に読書クラブを選んだことを掘り下げられました。

 読書クラブは二時限分、図書室で自由に読書するクラブで、雑誌を読んでも良かったのです。でもわたくしはたまたま、難病患者の闘病記を読んでいました。おかげで、どんな本を読んだか、どんな感想を持ったかを聞かれてもすんなりと答えられ、無事、面接を終えることができました。

 もちろん結果は合格でしたよ。

 それにしても、わたくしの次の方、部屋から爆笑が聞こえてきて驚いたでしょうね。何かネタを披露しなければいけないと思ったかもしれません。申し訳ないことをいたしました。


 わたくしの現在の職場の面接もかなり印象的でした。

 面接官は、エリアマネージャーと面接に使った店舗の店長の男性二人。質問者はエリアマネージャーでした。

 こちらも名前、住所、家族構成などを順番に聞かれたのですが、問題はそのテンポでした。とにかく早いのです。

 チッチッチッチッ……と秒針の音が聞こえてくるようで、クイズタイムショックの回答者になった気分でした。一瞬でも躓いたらゲームオーバーになるかのようで、とにかくスリル満点なのです。

 十数問をなんとか遅れなく答え、最後に質問ありますか?と聞かれました。何か言わなければいけないような気がしたわたくしは、

 「重い物をずっと運ばなければいけないような作業はありますか。」

と聞きました。

 わたくし、大学の教科書販売のアルバイトをしたことがありまして、その時は広いキャンパスの中、重たい本の入った段ボールを何箱も何往復も運び続けるという過酷な作業があったのです。

 それを連想しての質問だったのですが、わたくしの口調もおかしかったのでしょうか。半笑いで「台車を使ってもらうので大丈夫です。」と答えられました。

 最後に店長に、

 「夏休みなどの長期休暇中、お子さんはどうされるのですか。」

と聞かれました。当時娘は小学二年生でしたのでわたくしは、

 「私と夫の両親も近くに住んでいますし、本人の意思次第では児童館にも行かせようと思います。」

と答えたのですが、こちらも笑って「わかりました」と言われました。

 わたくしにはどこが笑いのツボなのかわからなかったのですが。

 唯一思い当たるとすると、小学二年生に本人の意思という言葉がミスマッチだったのでしょうか?どなたか教えてくださいませ。

 こちらも無事合格いたしましたので、現在まで働かせていただいております。


 ちなみに、面接がタイムショックのようだったと感じたのはわたくしだけだったようでございます。

 同じくエリアマネージャーの面接を受けた方三人に確認したのですが、皆さまそんな感想は持たなかったそうです。

 煽ったのはわたくしだったのでしょうかね?


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