第三十一話『魔弾の射手』
忍者軍団の装備品を回収した私は、新スキル【合成】を使って今の自分の戦い方に合った新たな武器を作成した。
そしてそのまま、アルエさんと共に建物内へと入っていく。
凄惨な光景が、目の前に広がっていた。
巨人族も利用するのを想定してか、天井も壁も縦横に突き抜けて広い廊下__そこが、辺り一面、火と血の海と化していた。
「隊長!」
その廊下を突っ切った先にある貴賓室に、文字通り私たちは飛び込んだ。
「シ、シェバトリオン卿、か……っ?」
息も絶え絶えに、剣を杖のように立てて、床に片膝を突く隊長は言った。
彼の全身は、決して浅くない切り傷から溢れる血と、返り血でドス黒く濡れていた。
「何をしている、シェバトリオン卿……早く、妹を連れて逃げろ……!」
「隊長を放ってなど行けませんっ!」
アルエさんは彼の右腕を掴んで、さらに腋へと肩を入れた。
「よせ、私は助からない……良いかよく聞くんだシェバトリオン卿。奴らは、ただの賊ではない……明らかに……」
ずるり、と隊長は崩れ落ちる。
「隊長! しっかりしてください!」
床に倒れたまま動かない彼を、アルエさんは必死に起こそうとする。
「てい、とへは……帰るな、シェバ……あの国は、もう……」
血の混じった咳をし、大きく息を吸い込んだのち、隊長は言った。
「わ、我々が気付かぬうちに、内側から侵略されていたのだ……もう、何年も前から……長い、なが、い年月をかけて、ゆっくりと……」
「誰が……いったい誰が⁉︎ この襲撃も、もしやその者が⁉︎」
その問いかけに、隊長は答えてくれなかった。
代わりに__
荒い足音を立てて、遥か前方の曲がり角から、私たちを襲った集団と同じ格好をした連中が、こちらに向かってくるのが見えた。
「お姉ちゃん……ごめん。今は、立って」
言いつつ私は、腰のホルスターから新たに作成した『武器』を抜き、狙いを定める。
私はソレを両手で構え、そして、
「“ゲスタ・ダノールム”」
唱え、引き金を引いた。
ぱあん、と軽い音が大気に響く。
同時に、銃口から流れるように放たれた魔弾の群れが、光の尾を引きながら忍者軍団へと伸びていく。
私が新たに作成した武器__それは『銃』だ。
魔砲銃【オティヌス】。
一度に十発の太矢を放ち、山向こうまで遠く離れた敵の師団を壊滅させたと言われている、とある隻眼の主神が持っていたとされる弩。
それがこの武器の名前である。
「死にたい奴からかかってこい__」
撃ち抜かれた仲間を押しのけて、なおも近づいてくる忍者軍団。
そんな彼らに向き直って、アルエさんは剣を抜いた。
「__などと甘っちょろい事は言わん。誰に雇われたのか、どこの手の者なのか、貴様らは恐らく口を割らないだろう。だが、どうでもいい__貴様ら全員の息の根を止めるまで、今宵の私は止まらんぞ‼︎」
床を蹴って跳んだアルエさんの後を追うように、私は走り出す。
__この人……怒ることあるんだ。
そんなことを、頭の隅で思いながら__




