13話
13話
麻美はガンさんに「毎日、居場所を変えるのには何か事情があるのでは?」と、ガンさんにうつむき加減で落ち着いた口調で聞くと、ガンさんは「私も気になっていました。ただ時間的に無理な旅をされています…」と、声を絞った。すると麻美も「私も同じことを考えてました。秋田から九州に行ける物でしょうか…」と、ガンさんの目を見て麻美は続けた。
ガンさんは麻美に内緒で若い刑事達に「誘拐の疑いがあるから極秘で捜査しろ」と、命じた。そんなこととは知らない麻美はガンさんに言われ皆実の写真を数枚手渡し、写真は何枚もコピ―され刑事達に配られた。毎日のように応答を繰り返す麻美と皆実のことから少し離れていたガンさんは警察の元後輩の大幹部を訪ね警察を上げて皆実の行方を追うように働きかけていた。
総勢300人体制で警察は皆実の行方を追っていたが、一向に手がかりの無いまま一週間が過ぎたが麻美と皆実のメールは続いていた。そして警察は皆実の存在が妙だとも考えていた。メールなら本人でなくても打てる。そして本人に成りきる事も出来ると。するとガンさんは麻美に「奥さんと皆実さんしか知らないことをメールで話して下さい」と、笑顔だが目は鋭くなっていた。