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たったひとつが欲しかった
〝君は雑草だね″って、昔誰かが言った。
惹き寄せられずにはいられない眩さと、愛された証のような真珠の肌。
こぼれ落ちる日の光のような天真爛漫な微笑みと、惜しみなく分け与えられる優しさの礫。
聖女という肩書きが体現するかのような美しさを持つ彼女が、私の姉だった。
人々は彼女に惹かれ、彼女を褒め称え
ある者は婚約者にと熱心に求婚し
ある者は国を救って欲しいと渇望し
ある者は命を賭けてでも守りたいと忠誠を誓った。
けれどその誰も、彼女の妹には目を向けなかった。
初めから妹など、いなかったかのように。
生まれ落ちた時から、両親も、愛する恋人も、全て。
全ての人の気持ちが姉の存在に向けられる中で、
彼女の気持ちが崩れ落ちていくのは、当然のことだった。
たったひとりでいい。
どうか、たったひとりでいい。
私を、私だけを愛してくれる人が、欲しくて欲しくて堪らなかった。
これはそんな彼女の、魂の願いが通じた物語。