町へ行く
国王との謁見が無事終わり、フィオナとルークは王城から出て魔術師の宿舎がある方へ足を進めた。
「お疲れさまっす。今から何したいっすか? 今日はオレがマティアスさんの代わりに甘やかす日っす」
「あぁ……やっぱり私、甘やかされてたんだね」
「そうっすよ。でろでろなんで諦めて受け入れるしかないっす」
こうもはっきり言われると、逆に清々しくなる。
「私に同情してくれてるからだよね。嬉しいけど普通にしてほしいな。望みを聞いてもらわなくても、もう十分幸せだからこれ以上は良いよ」
しみじみのんびりと告げると、ルークはピタリと足を止めてポカンと口を開けた。
信じられないものを見たような顔をしている。
「え、マジ? あんだけあからさまなのに気付いてないとかマジっすか?」
「まじって何? あからさまに甘やかされてるってことは、ちゃんと気付いてるよ」
フィオナはこてんと首を傾げた。気付いていると今話しているところなのに、何がマジなのかが分からない。
彼女は全く理解していなさそうで、ルークはどうしたものかと悩んだ。
マティアスが彼女を女性として愛しく思っているのは誰の目から見ても明らかなのだと教えようか。しかし自分が教えたことにより、彼女が彼に対してよそよそしくなってしまったら……
──うん。止めといたほうがいいな。
「いや、それでいいっす」
「??」
彼は余計なことは言わないでおいた。余計なリスクは負わずに無難に過ごしたいのだ。
「で、何したいっすか?」
「……結局聞くんだ。何だろう。散歩がしたいかな。この辺りは来たことがなかったから」
「散歩っすか。了解っす」
二人はこのまましばらく王城周りを歩くことにした。
「ねぇ、私がお世話になってる建物って宮廷魔術師の宿舎なんだよね。ルークも住んでるの?」
「オレは二階に住んでるっす。あそこは魔術師の拠点でもあり宿舎でもあるから皆はホームって呼んでるっすよ。隣の建物は騎士の拠点で、マティアスさんはそこで過ごしているっす。ちなみにフィオナさんがいる部屋は超VIPルームっす」
「やっぱり」
そうだろうとは思っていたから驚きはしない。でもなぁと希望を口にする。
「普通の部屋に移動できないかな」
「無理っすね」
「どうしてもダメ?」
「文句があるならマティアスさんに言って欲しいっす。権力を振りかざして好き勝手してるのはあの人っすから」
そう言われてしまうともう何も言えなくなる。マティアスにはすでに却下されているのだ。
「うん、もういいや」
「そうそう。人間諦めが肝心っす」
二人で顔を見合わせて苦笑いし、しばらく散歩をしてからホームへと戻った。
「すんません、自分ちょっと限界っす」
「分かった。行ってきて」
建物に入ってすぐのところでルークはトイレを訴えた。彼女を五階の部屋まで送る余裕がないため、廊下に待たせて向かうことにする。
「ほんとすんません、しばらく動けなくするっす」
「はーい」
フィオナは両手を差し出した。ルークが左の枷に向けて魔力を飛ばすと、彼女はみるみるうちに体の力が抜けていき、その場にぺたんと座り込んだ。
呪印の発動を確認すると、彼は走ってトイレに向かった。
どうやら左手の枷に施された呪印は、体から力を奪うものだったようで、彼女は手を軽く握るのが精一杯なほど力が抜けている。
呪印士ってすごいなぁとしみじみ感心しながら座って待っていると、後ろから歩いて来た人物が自分の目の前でピタリと足を止めた。
上を向くのも一苦労だけどなんとかグググと顔を持ち上げて、目の前の人物の顔を見上げる。
長い前髪を真ん中で分けた黒髪の男性は、何だか見覚えがあるなぁ、戦ったことがある気がするなぁと考えた。
「こんにちは」
「……」
彼は挨拶を無視し、無言で右手をそっと前に出す。彼女は何だろうとじっと見ていると、バシャッッと頭上から水が襲った。
「はっ、魔力を封じられてるとただの弱っちい女なんだな」
投げ捨てるように言い放ち、びしょ濡れのフィオナを蔑んだ目で見下ろす。
彼女はきょとんとしていて全く動じていない。
「……あ、いつも水で攻撃してきてた人だ」
水を頭から被ったことにより、この人はよく水の渦などで攻撃をしてきた人だと思い出した。もちろん彼女はその攻撃を押し返したり凍らせたりしながら難なく対処していた。
彼は平然としているフィオナにピキッと青筋を立てるが、彼女は淡々と話し掛ける。
「ねぇ、ちょっとお願いがあるのだけど」
「何だよ」
彼は不満そうに緑色の目を細めながら口を開いた。
「あのね。後でこの水片付けておいてもらえるかな。このままだと通りがかった人が滑っちゃうから」
「はぁ!? ならオマエが拭けばいいだろ」
彼は少しだけ声を荒げたが、彼女は動じることなく答える。
「そっか。そうだね。でも濡れたまま雑巾を取りに行ったら廊下を濡らしちゃうし……どうしようかな……」
「……」
どこまでものんびりゆったりマイペースに話すフィオナに調子を狂わされ、彼は顔をしかめて無言になった。
「っっあー! グレアムさんこのやろう、何てことしてんすかー!」
トイレを済ませたルークがばたばたと走り寄ってきた。そのままフィオナの枷にそっと触れて、体の力を奪っていた呪印を解除する。
「グレアムさん、さっさと水を消すっす」
「っっだよ、うっせぇな。元々そのつもりだったっての」
面倒くさそうに言い放つと、彼はすぐに水を消し去った。まともに動けるようになったフィオナはよっこいしょと立ち上がる。
「ありがとう。私フィオナって言うの。よろしくね」
彼女は何事もなかったかのようにのんびりゆっくり穏やかに自己紹介をするので、グレアムは眉をひそめる。
「はっ、変なヤツ」
そう言い捨ててさっさと立ち去ってしまった。
「私って変なんだ……」
フィオナは変なヤツと言われてちょっぴり悲しくなり、か細い声で項垂れた。
「変じゃないっすよ。変なのはあの人の方っす。いい年して恥ずかしい」
「ほんと? いい年って、あの人いくつ?」
「二十三歳っすよ。あれで自分より年上だなんて信じられないっすよ」
ルークは腕を組みながら顔をしかめている。
「そう。マティアスと同い年なんだね」
「そっすよ。マティアスさんも大概アレっすけどね……フィオナさん、一人にしてすまなかったっす」
「気にしないで」
二人は階段を上りフィオナの部屋に向かう。部屋に着くと彼女は胸元のリボンを外した。シャツの一番上のボタンも外してふぅと一息吐く。首元までしっかりかっちりとしているのは苦手なのだ。
ルークと椅子に座っておしゃべりしていると、給仕の人間がワゴンを押して部屋に入ってきた。
手早く二人分のお茶を淹れ、焼き菓子などを並べ終わるとさっさと退室していく。
ココットにはハチミツとジャムがそれぞれなみなみと入っていて、フィオナはマティアスの顔を思い浮かべてふふっと笑った。
皿に小さなマフィンを一つ取って、ジャムをたっぷりとかけてからパクっとかぶりつく。
飲み物は温かい紅茶。口の中をスッキリとさせるために、こちらには何も入れずに飲む。少しの間だけど水浸しになった体に温かい飲み物が染み渡る。
「ねぇ、ここの人たちっていい人ばかりだね」
「頭から水ぶっかけられたばっかなのに、何でそういう感想になるんすか!?」
「だって、あからさまな悪意を向けられたのはさっきが初めてだったから。水をかけられて、あぁこれが普通の反応だよなぁって思ったんだ」
「あーなるほど。それはっすね……」
ルークは、フィオナが敵だったにもかかわらず、あまり悪意を向けられていない理由を話しだした。
フィオナが戦場で誰も命を落とさないよう手を抜いていたこと、こっそりと味方であるはずの帝国魔術師の攻撃を妨害していたこと、深手を負った王国の魔術師や騎士が撤退できるよう手助けしていたこと。
「……え。何で知ってるの?」
絶対にバレていない自信はあった。遠隔で魔術を放つときは、その場に魔法陣を描く必要がある。
自身が魔術を放つとき描いた陣は腕輪と同じ金色の光を放っているのだ。なのでバレないようこっそりと魔術を使うときだけ、白い光を放つように手を加えていた。完璧に隠しながら行っていたのに何故バレていたのだろうと驚く。
「気づいたのはマティアスさんっす。そんでフィオナさんを捕らえたことを機に皆にバラしたんすよ。皆、不自然に思ってたことが多々あったみたいですんなりと納得したっす」
「……そうなんだ」
なるほど。だからレイラも普通に優しくしてくれて、廊下ですれ違う人たちの視線にも悪意を感じなかったのかと納得する。
敵視されるよりはずっといいけれど、ちょっとだけ恥ずかしくなったフィオナだった。
* * *
「フィオナ、今日は町に遊びに行くぞ」
マティアスと朝食を食べている時に、彼女は唐突にそう言われた。
「……まち?」
まちというのはあの町だろうか。町に遊びに行くとマティアスは確かに言った。言葉の意味をゆっくりと飲み込み、そしてじわじわと喜びが湧いてくる。
「わぁぁ……」
町だ。町に行ける。フィオナはうきうきしながら若草色の半袖ワンピースに着替えた。同色の丸襟と細くて黒いリボンがついたものだ。裾には控えめにフリルが付いている。
髪はいつものように後ろで緩く編み込んだ。
「ハンカチは持ったか」
「ポケットに入れたよ」
「羽織るものを持つんだぞ」
「今日は暖かいから良いよ」
「ダメだ。今は暖かくても曇りだしたらすぐに気温が下がるからな。羽織るものを持っていけ」
「うん、分かった」
彼は今日もいいお母さんぶりだ。フィオナは言われた通りにクローゼットから黒いカーディガンを取りだして手に持った。
マティアスは黒いズボンに白いシャツというシンプルな格好で、腰にはもちろん神器である蒼い剣を携えている。
「アクセサリーは着けなくていいのか? 宝石箱にあるものは好きに使っていいんだぞ」
そう言われ、フィオナはどう答えようかと悩む。もちろん着けたいに決まっているけれど、お高そうなものばかりなので遠慮しているのだ。
「えっとね、このワンピースだけでも可愛くて満足だから、着けなくて大丈夫だよ」
「アクセサリーは苦手なのか? それとも気に入るものがなかったのか? それなら別のものを用意するが」
あぁ、これは良くない流れだと彼女は焦って弁明する。
「ううん、違うの。どれも素敵だから選べなくて……そういうのは着けたことがないから苦手かどうか分からないし」
マティアスは彼女が遠慮していることに気付き、ドレッサーの引き出しを開けて宝石箱を取り出した。
蓋を開け、さてどうしようかと考える。
好きなのを選べと言っても選ばないだろうし、畏まらなくていいようシンプルなものにしようか。いや待てよ、そう言えば今日行くつもりの場所にはゆらゆらと揺れるアクセサリーは控えた方が良さそうだな。
何だかんだと考え、髪留めを一つ取り出した。
「髪留めならさほど気にならないだろう。今日はこれをつけて行って、途中で嫌になったら外せばいい」
そう言って右耳の上辺りに取り付けた。
「……うん」
フィオナは小さく返事をして、ドレッサーの鏡を覗き込む。漆黒の髪留めには小さな七つの宝石が散らばっていて、夜空の星のように輝いている。
彼女の頬がうっすらと染まり口元に笑みが浮かぶのを確認し、マティアスはこれでよしと満足する。
「それじゃ行くか」
「うん」
部屋を出て長い廊下を歩きだす。道中で出会った魔術師たちにペコリと頭を下げて階段を降りていく。
外に出ると王城がある方とは反対に歩きだす。
門を出て並木道を数分歩き、大きな橋を渡ると城下町に到着した。
フィオナはどこに行きたいかという問いに『どこでも』と答えたので、彼が好き勝手町を連れ歩くことに決まった。
しかしマティアスは注意深く観察しているのだ。彼女がじぃっと何かを見つめる瞬間を見逃しはしない。
フィオナは、『あ、あそこ何の店だろう』『あ、あの行列はなんだろう』と思ったところにマティアスがピンポイントで行くので、喜んで後を付いて行った。
一時間半ほど経った頃にはマティアスはいくつもの紙袋を手に持っていた。彼女が興味を抱いたであろうものを何も聞かずに片っ端から購入していったからである。
「ねぇ、私も荷物持つよ」
「却下だ」
「えー……」
一瞬で断られてしまったので仕方なく諦める。
昼食は彼女が食い入るように見つめていた屋台で購入し、ベンチに腰かけて食べることにした。
「こういうの初めて食べるんだ」
「そうか」
フィオナはチキンと野菜がたっぷり入ったホットクレープにかぶりつく。マティアスは彼女の口の端についたソースをさっと拭いてあげた。
食事を終えるとまた少し町をぶらぶらと散策し、彼が事前に予約をしておいた場所へと向かった。
壁に大小の肉球が描かれた建物に到着し扉を開けた瞬間、彼女は目を大きく見開きキラキラと輝かせる。
店内のいたるところに猫がいる。ここは猫喫茶だ。
予約席に座るとすぐに、フィオナの膝の上に一匹の黒猫がぴょんと飛び乗った。
「ふわぁぁ……」
フィオナは感動し、両手を中途半端に前に出したまま震えている。
「触ってもいいんだぞ」
「……うんっ」
マティアスに促され恐る恐る猫の顎下を撫でると、猫はすぐにゴロゴロといいだし、自分で喉をフィオナの手にこすりつけるような仕草をした。
「わぁ……可愛い……」
あまりの可愛さに感動して頬を紅潮させる。
「あぁ。可愛いな」
マティアスは猫を一切見ずに言いながら表情を和らげる。その目には彼女しか映っていないが、当の本人は猫に夢中なので気付いていない。
黒猫を愛でながら話していると、店員が注文を取りに来た。
この店では飲み物や軽食をいただけるというので、フィオナは甘いミルクティー、マティアスはコーヒーを注文する。
黒猫はぴょんと膝から飛び降りて何処かへ行ったので、名残惜しく感じながらもしばらく椅子に座りながらミルクティーを飲む。
しかし足元にすり寄ってくる猫たちを構いたくてうずうずしだした。
「あっちに猫のおもちゃが置いてある。行ってくるといい」
「っっうんっ」
フィオナはパアッと顔を輝かせすぐに向かい、円形ラグの上に座り猫じゃらし片手に夢中で数匹の猫と触れあった。
マティアスは頬杖をつきながらコーヒーを飲み寛いでいる。
こちらは進んで猫と触れあう気はなさそうだが、たまに膝に乗ってくる猫を優しく撫でていた。もちろん常に目線の先には猫と戯れるフィオナがいる。
猫喫茶は城下町で人気の癒しスポットである。完全予約制なので時間いっぱいまでしっかりと堪能し店を出た。
「あのね、私、動物は何でも好きだけど猫が特に好きなの。だからマティアスが偶然あの店を予約してくれててすごく嬉しかった」
「そうか。それは良かった」
彼は涼しげな顔でいるが、もちろん偶然などではない。
彼女が動物図鑑の猫のページをよく見ていたことや、部屋の窓から中庭で寛ぐ猫をじーっと見ていたこと、散歩中はきょろきょろしながら猫を探していたこと、数あるタオルの中から猫の刺繍入りのものをよく使用していたことを知っている。
猫は好きかと確認をとってから連れて行っても遠慮がちになると思い、あえて聞きはしなかったのだ。
店を出てから少し歩いたところで、彼はピタリと足を止めた。
「そこのベンチで荷物と一緒に少し待っていてもらえるか。あそこの角を曲がった先の詰所で用事を済ませてくる」
「うん、分かった」
言われるがままベンチに座ると、彼は横に紙袋を置いた。
フィオナが手首を前に差し出すと、マティアスはフッと笑う。
「ここに鎖はないぞ」
「あ、そっか」
「では行ってくる」
あれ、何もしなくて良いのかな? と思いながらも、彼の用事を邪魔してはいけないと大人しく待つことにする。先程の可愛かった猫を思い出しながらぼーっと空を見ながら待っていると、十分ほどでマティアスが戻ってきた。
「待たせたな」
「ううん、全然」
再び歩きだし町の大図書館へとやって来た。三階建ての大きな建物で広い庭があり、建物の中と外に読書スペースがある。
「俺はいくつか頼まれている本を探す。君は自由に過ごしていてくれ。庭に出ても構わないが敷地外には出ないでほしい」
「うん、分かった」
しばし別行動することになった。フィオナは館内を見て回り、気になった本を手に取っていく。
本を五冊選んで右手に抱えて庭に向かった。端の方に一人用の席を見つけたのでそこに腰かける。
「なんか……自由だなぁ……」
今まで丸一日の休みなんてなかったのに、この国に来てからは毎日が休みだ。こんなに贅沢な暮らしでいいのだろうか。捕虜なのに。
「早く役に立てるようになりたいな」
力が戻ったら、今度は自分の意志で人のためになれるように働こうと心に決めている。
一時間ほど読みふけっていただろうか、数冊の本を片手に持ったマティアスがやって来た。
「そろそろ帰ろうと思うが借りたい本はあるか」
「えっとね、これとこれ良いかな?」
「分かった。手続きをしてくるから残りの本を片付けてきてくれ」
「はーい」
マティアスは彼女の手から二冊の本を受け取ると、表紙の猫の絵を見てふっと笑った。
手続きが終わると、マティアスはカウンターから預けていた荷物を受け取った。
図書館を出てホームへと戻ることにする。
少し肌寒くなってきたので、フィオナはカーディガンを羽織った。
「すまないが、本を届けてくるのでここで待っててくれ」
「うん」
マティアスは行きと同じく詰所へと向かったので、フィオナはベンチに座って荷物と共に待った。
今日は一日楽しかったなぁと雲が増えてきた空を見上げる。
数分経つとマティアスが戻ってきた。
「待たせたな。それでは帰るか」
「うん」
帰り道は行きに通らなかった道を通って帰ったので、ホームに到着した頃にはマティアスが持つ紙袋は倍に増えていた。
フィオナの部屋に戻ると、彼は机の上に大量の紙袋をどんと置く。
「これは全て君の物だ。好きに使うといい」
「えぇ? これマティアスの買い物じゃなかったの?」
「君のだ。そして返品は受け付けないから、使うなり処分するなり好きにしてくれ」
「……」
フィオナは彼が購入しているところを隣でずっと見ていたから、紙袋の中身は自分が気になっていたものばかりだと知っている。
そして遠慮しても聞いてもらえないということも知っている。
「……マティアスありがとう」
素直にお礼を伝えると、マティアスは満足気に微笑む。
「どういたしまして」
今日一日、彼女が楽しむ姿が見られて、どんなものを好むか知れて、それだけで彼は大満足だ。