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発言する白血球

作者: はやまなつお


気が付くと高層ビルの屋上のテラスに座っていた。

景色は中東の首都のビジネス街のように見える。


見渡す限りビルが続いて多くの人間が蟻のように動いている。

目の前にテーブル。向かい側に白い30歳ぐらいの男が座っていた。


作業員のような服。ただし白1色。髪の毛、皮膚、目の色も白。


白い男

「結論から言います。あなたは白血病ではありません」


「これは・・夢だろう・・・私は・・・39度の熱が続いてベッドで寝ている・・・。

何の病気かは知らない。ではない、と言われても・・・」


「言い直しましょう。あなたはこのまま医者の言うとおりにしていたら

1ヶ月で死にます」


「ほう・・・未来予測・・・説明を」


「高熱が1週間続いている。この後、やっと連れて行かれた

病院は熱冷まし薬を処方します。


でも熱は、体に毒が入ったので、その毒を

殺すためにわざと発熱させています。


白血球は熱冷まし薬を異物として攻撃して食べ、

薬の成分で白血病細胞に変わります。


そして発熱させる信号サイトカインを白血球は作り出せず、

発熱は中止。熱は下がる。


一定時間で薬の効果が切れてまた発熱、検査で白血病細胞が発見されて

白血病の治療が開始されます。


本来は血液をきれいにすることで白血病細胞は正常に回復します。

しかし化学薬品は毒であり、服用を続けることで体を悪くしていきます。


そしてガンと診断されます。

強力な抗がん剤で、髪はすべて抜けて体は弱ります。


正常な白血球が弱った状態である白血病細胞を、悪の元凶と誤解して、

退治する目的の抗がん剤は、ますます白血球を白血病細胞に変えて、本体あなたを死亡させます。


せっかくあなたとコンタクトできて御自分の体を見ているのですからご案内しましょう」


透明で四角いエネルギーバリヤが展開、私をのせて高層ビル屋上から空中を移動。




街路。「いたぞ!」「つかまえろ!」

3メートルほどの怪物(熱冷まし薬)を、白血球(白服男の集団)が

取り囲んでナイフや棍棒で倒す。そしてバクバクと食べる。


「ううッ!」半怪物化して倒れる白服男たち。


案内の白服男

「あれが白血病細胞です」


「・・・・ううむ」


「そして抗がん剤が来たら」


5メートルほどの金属のウニの怪物。鞭のように伸びた刺を見境なく刺していく。

刺された(擬人化された)細胞、赤血球、白血球たちは即死してしまう。


「白血病細胞を殺す目的で来ているのに実際は正常細胞を壊しています。

百害あって一利なし。こいつはあまりに強力で手に負えません」


「解熱剤から、白血病、抗がん剤コースで1ヶ月であの世行きか・・・。

 現在は、えーと、まだ病院に連れて行ってもくれない状態だ。


 陸上自衛隊に入ったが初日に異常な性器検査

 (手袋をはめた医者が前のアレを手でむいて調べ、後ろを開いて点検。

 もちろん予告なし)があって

 ・・・まるでホモの奴隷を点検するような屈辱的な・・・。


 はいってる奴らはヤクザ暴走族不良の集団で、真面目の私は異分子で

 攻撃されてストレスで疲れがたまってるところを、強制予防注射で1週間高熱・・・

 ではどうすればいいんだ?」


白服男(白血球代表)

「熱冷まし薬の処方を受けないことです」


「しかしそれでは訓練ができない」


「今の状態で熱を下げてもどうせ仕事できる状態にはなりません」


「・・・ううむ」


「抗癌剤治療で髪が抜けるほど弱っては危険。

 それから血液をきれいにする、まともな治療法は時間が、かかります」


「わかった。決心がついたよ」




そして私は陸上自衛隊の訓練所のベッドで目を覚ました。

高熱が出ている間も、ヤクザの子分になった蛆虫共が嫌がらせを続けていた。


私は自衛隊を辞めた。

自宅で1ヶ月休んでやっと回復できた。


手本は大沼四廊の医学書「がんの盲点 白血病は、がんではない」、

そしてやはりアニメ「はたらく細胞」。

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