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私の興味の行方 2021/10/26

作者: 石田 初羽

 私の興味の始まり、創作をスタートさせたきっかけ……思い起こせばそれはイギリスやアイルランドの妖精に関する伝承から始まりました。そこからケルト神話に興味を抱き、調べていく中で『千の顔を持つ英雄』(ジョーゼフ キャンベル著)という書籍に出会います。映画監督のジョージ ルーカスが『STAR WARS』の構想を練っている時にこの本を読んで多大な影響を受けたと公言しており、そこで私は比較神話学という分野があることを知りました。更に情報を漁っていくと間もなく世界神話学説という最新の仮説に出会いました。これは現生人類がアフリカを出発した時点で既に何らかの信仰・神話を持っていたと仮定して、人類が世界中に分布を広げていく道のりと、各地に残る神話を重ね合わせて見ることで神話の派生プロセスを概観することができる、という説です。この仮説は現在では、現生人類のアフリカ起源そのものが疑わしくなってしまったことに比例して影が薄くなりつつあるようなのですが、それでも話としては他に類を見ないほどダイナミックで私は今でも気に入っています。

 この辺りまでの学びで感じたこと・考えたことを基にして作ったのがこちらになります。

https://ncode.syosetu.com/n4902em/

 こちらは何度も挫折と中断を挟みながらも、最後まで書き上げることのできた初めての小説です。完成までにおよそ2年もかかってしまいました。

 これを書き上げた当時はまだまだ神話そのものについての興味が尽きていなかったものの、笠間裕之先生の『木造ロボ ミカヅチ』を読んでそれをきっかけに一気に日本へ興味が移りました。『ミカヅチ』を基に自分なりの解釈で書いたものがこちらになります。前回の反省点を踏まえ半年ほどで書き上げることができました。

https://ncode.syosetu.com/n6249ha/

 こちらを書きながら各地の伝承を調べていくうちに、ひと際異様さを感じたのが諏訪(現在の長野県)に残るミシャグジ信仰体系でした。推定では発祥が縄文時代中期、一万年以上前にまで遡るのではとも言われています。このため、表向きは農耕民族の信仰のようでいて分析していくと狩猟民族の思想が色濃く残っているのです。一気に興味を掻き立てられました。

 このような経緯で、妖精の小径こみちから神話学を知った私は世界神話学説という大通りに出て、今一度古代諏訪の信仰をひとつのモデルケースとして潜れる限界まで深く深く潜ってみようと試みています。

 こんなことをしていて何が楽しいのかと言うと、それまでに得ていた知識がふとした瞬間に響き合う時があって、例を挙げると日本人の山に対する信仰の記述に向き合っていた時です。山を女神として崇める信仰は現代にも残っていますが、かつては山に懸かる笠雲を男神と見なしていて、男女一対とするのが日本で発生した最も古い信仰のかたちなのではないか、ということでした。

 ここからイメージの連想が始まります。

 雨によって恵みをもたらす白い雲=男神=男根=蛇という図式が諏訪にはあって、実際、頭にとぐろを巻いた蛇を戴いた女性の土偶が発掘されています。ここで世界中を見渡してみると、頭に蛇を載せた女性と言えば他にもいます……メデューサで有名なギリシャのゴルゴン3姉妹です。

 文化圏の全く異なる神話同士を「比較する」という視点で眺めてみると、思わぬ類似性に驚かされることがままあります。ギリシャの神話はそれ以前の文明国の神話から拝借されたキャラクターが多いので、メデューサも起源を辿ればもしかすると、かつてのどこかの国の大地母神であったのかも知れません。

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